三毛田
2025-02-13 21:33:21
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02 02. 腕の中に抱えきれないほど

2日目
大きな愛

02 02. 腕の中に抱えきれないほど
 相手へ抱く愛情が、視覚化されるとある寄物。
 それは、採点銃のように数字で表されるのか。それとも、形や大きさがわかるものなのか。
 ヘルタに聞いてみたけれど、明確な答えはわからない。
『実験体になって。拒否権? あるはずないでしょう』
 って言われてしまえば、逆らえない。
 それを持って、列車に戻る。
 皆に事情を説明して、奇物を持ってもらう。
 手のひらサイズの、ハート。色も、それぞれ違う。
「丹恒、お願いします」
「ヘルタの実験に付き合わされていると言っていたな」
「そうなんだ」
「お前は、色々な人間を引き付ける魅力があるからな」
 ふと目を細めて、奇物を受け取り。
「あれ?」
「どうした?」
「えーと……
 説明しようとしたところで、彼の背後にその体よりも大きなハートが浮いていることに気づいた。
 手のひらどころか、腕の中に抱えきれないほど大きなもの。
 しかも、色は赤。
「穹?」
 あっちこっち視線を動かして、答えない俺を丹恒は不思議そうに見ている。
 もしかして、丹恒って俺のこと好き?
 他の人と同じじゃなくて、彼らと比較できないくらいものすごく。
 そして、丹恒にその自覚はない。
 これは、本人が自覚するまで放っておいた方がいいのだろうか。
 それとも、自覚させてしまった方が良いのだろうか。俺には判断が難しい。
「ううん。実験に付き合ってくれて、ありがとう」
「どういたしまして。これくらいであれば、いくらでも手伝おう」
 そう言って、奇物を俺の手に握らせる表情はとても柔らかくて。
 ドクンと、心臓が一度だけ跳ねる。
 もしかしたら、俺も彼のことが。
 今はまだ多分とか、きっととか、不確定なもの。
 いつか、確証を得ることが出たら、伝えよう。その時に、丹恒が自分の気持ちを自覚してくれていたら嬉しいなって。
「なあ、丹恒」
「ん?」
「これから、お前にたくさん迷惑をかけると思う。それでも、見捨てないでいてくれたら嬉しいなって思うんだ」
「お前の奇行には、少し慣れてきたからな。決定的なことをしない限りは見捨てない」
 と少々苦笑し。でも、こちらを見る表情は柔らかい。
 その表情にキュンともきた。
 ああ、駄目だ。
 彼に転がり落ちた。確定。
「ヘルタのところに、報告に行ってくる」
「気をつけて。パムが、今日の夕飯は、オムライスだって言っていた」
「本当? じゃあ、さっさと帰ってこないと」
 そっと丹恒の頬を撫でてから、資料室を出る。
 俺が出ていった後、座り込んで動けなくなっていたのを俺は知らなかった。