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Rana
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レノシス(短編)
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熔けた心臓
レノ✕シスネ
「今年もまた凄い量ね
……
」
レノのデスクの端で山積みにされた色取り取りの包みを眺め、感心したようにシスネが言った。今日は世に言うバレンタインデーで、それらは全て社内の女性社員たちが彼に贈ったものだった。
普段は賑やかな調査課のオフィスが、今だけは静けさに包まれている。たまたま全員が会議や任務に出ることになり、そこにはレノとシスネの二人だけが残されていた。レノは椅子にもたれ掛かったまま、片手をシスネに向けて差し出す。
「お前もくれるんだろ」
「そんなにあるのにまだ欲しい?」
「シスネの分は別」
そう言うとシスネは少し笑って、自分のデスクのキャビネットから綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
「レノのチョコはちゃんと用意してあるわよ。ツォンやルードとお揃いだけどね」
「
……
やっぱ要らねぇ」
シスネの言葉で途端に気分の萎えたレノが手を下ろせば、彼女は不思議そうに首を傾げた。
「なによ、怒ったの?」
「別に」
「しょうがないじゃない。レノだけ違ったら不自然でしょ?」
困った子供を諭すように言われて、レノが益々つまらない気持ちになって沈黙すると、シスネは小さく溜息をついた。
「いいわよ。要らないなら自分で食べちゃうから」
そう言うと、躊躇う事なくその場で包みを剥がし始めたシスネを見てレノは面食らう。
「おい、ほんとに食う気かよ」
「当たり前でしょ。捨てるなんて勿体ないし」
これ結構高かったんだからと言いながら、シスネはチョコレートを口に押し込む。繊細なデコレーションが施されたそれを次々と咀嚼していくその様子に、どこか不穏なものを感じてレノは怖々とシスネを見つめた。
「
……
あの、シスネちゃん」
「何?」
「やっぱり食う」
「あなたはそっちのチョコでも食べたら?」
あっさりと言い捨て、視線で机上を示すシスネにレノは思わず苦笑する。むくれていたのはこちらの筈なのに、いつの間にか立場が逆転していた。
「機嫌直せよ、と」
シスネの手を掴んで引き寄せながら、甘い声音で囁いてみる。だが彼女は顔色ひとつ変えずに、徐ろにハート型をした真紅のチョコレートを一粒摘み上げると、無言でレノの口元へと差し出した。戸惑いつつもそれを受け入れれば、ノワゼットの濃厚な甘みと仄かなベルガモットの香りが口内に広がる。
「
……
おいしい?」
レノの反応を窺うように、彼が食べ終わるのをじっと待ってからシスネが訊ねた。甘いものがそれほど得意ではないレノにとっても、癖がなく上品な味わいのそのチョコレートはとても美味しく感じられた。レノが頷くと、シスネの表情はようやく綻んだ。
「忘れないで。こんな事するの、あなたにだけなんだから」
悪戯っぽく微笑むその姿に言葉にならない感情が込み上げて、レノは衝動的に彼女へと口付ける。シスネの柔らかな唇はチョコレートよりも甘いような気がした。
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