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しゃどやま
2025-02-12 21:19:02
2022文字
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【雨戴】きんのひかり
雨戴で童話パロしてる。
むかしむかしあるところに、高い塔に守られたお姫様がいました。塔の中からあちこちに手紙を送り、国を守っていました。
外に出る必要はありません。出ようとも思わず、出ることはありませんでした。
ある雨の日、お姫様の部屋の窓際に小さな影が降り立ちました。強い雨の中、せめて塔の屋根で雨宿りをしようとしたのは、まだ子どもらしい小さなドラゴンでした。
「かわいそうに。部屋に入れてあげましょう」
お姫様は窓を開け、ドラゴンを部屋の中に入れました。動物は苦手なお姫様でしたが、ドラゴンは幸運の象徴です。賢いお姫様はパンとスープを分けてあげました。塔の中にはなんでもあって、食事にも困っていなかったのですから。
体が温まり、元気を取り戻したドラゴンは少年の声で言いました。
「ぜひ、僕に恩返しをさせてください!」
「おや。それは嬉しい言葉ですね」
「何か困っていることはありませんか?」
「
……
困りごと、ですか」
お姫様は考えます。国家間の争いや、悪い王様のことは、小さなドラゴンに解決できるとは思えません。微笑むと、言いました。
「何もありません。私の話し相手になってもらえれば、それでいいですよ」
少し残念そうにドラゴンはうつむきます。けれど、頑張りますといい、ドラゴンは精いっぱいお姫様の話し相手になりました。
ドラゴンがする話を、お姫様は聞きます。本で読んで知っていることも、ドラゴンの口から聞くととても楽しく、輝いて見えました。なによりドラゴンが愛らしく見えて、お姫様の心が温まりました。
ドラゴンはある日、呟きます。
「僕が大人で、強いドラゴンだったら何をしてもらいたいですか?」
お姫様はドラゴンの頭を撫でながら首を振りました。
「その時は、悪い王様を倒してもらいましょうか。でも今は、私の話し相手をしてくださいね。仕事が無い時はたいくつですから」
ドラゴンは、頷いて首を傾げます。ずっと気になっていたと前置きして、おずおずと聞きました。
「
……
閉じ込められているんですか?」
お姫様の部屋の外には兵士がいます。塔の入り口にも、周辺にもたくさん兵隊がいます。ドラゴンは心配していました。お姫様は少し眉をつり上げると、言いました。
「出る必要が無いだけです。外は危険ですから」
お姫様は、守ってくれている兵士たちのことを信頼していました。閉じ込められてなどいないと、説明しました。
「仕事はここにいてもできます。手紙を届けてくれますからね」
「そう、ですか」
「きみはドラゴンです。人間の事情は心配しなくてもいいのですよ」
お姫様はそう微笑むと、ベッドに入ります。枕元でドラゴンは丸まりながら、こっそりとぼやきました。
「僕が人間だったら
……
話を聞いてもらえるかな」
ある日、黒い仮面をつけた悪い王様の使いがやってきました。兵士たちは簡単にこてんぱんにされてしまい、お姫様の部屋にまで使いはやってきました。
「我々の元に下れ」
脅されても、お姫様は頷きません。槍を持ち、ぴしゃりと言いました。
「嫌です。私には使命があります」
「生意気な
……
」
悪い王様の使いは、お姫様に襲いかかります。槍を構えたお姫様に、注目した瞬間でした。
「えいっ!」
ドラゴンが、物陰から火を吹きました。悪い王様の使いは、慌てて転げ回ります。ドラゴンはお姫様に駆け寄ると言いました。
「逃げましょう!」
「けれど
……
」
お姫様は言いよどみます。この部屋には、たくさん大切な資料があります。仕事があります。
「はやく!」
ドラゴンの言葉に、お姫様は頷きました。生きていれば、取り戻せるはずです。
階段を降りて、開け放たれた扉を抜けて、お姫様は外に出ました。
「あ
……
」
柔らかい草を、お姫様の靴が踏みました。
お姫様は笑います。外の空気をいっぱいに吸い込みました。
「久しぶりに、走りました」
「気持ちいいですよね」
ドラゴンは安心した様子でお姫様の周囲を飛びます。悪い王様の使いは見えないし、もうすぐ街につくのです。
「ふふ。そうですね。ありがとう、私のドラゴンくん」
お姫様は目を細めて、ドラゴンの額にキスをしました。
「えっ
……
」
照れてしまって固まったドラゴンの体が、光に包まれます。暖かい光の中で、ぐんぐんとドラゴンの体が人間へ変化していきます。お姫様も驚きました。
「聞いたことがあります。愛のあるキスで、呪いが解けると
……
」
「僕は、本当は人間
……
?」
光が収まると、そこには立派な王子様の姿がありました。
「
……
ふふ」
「えっ? ここまで?」
けれど、王子様はお姫様より十は年下の、可愛らしい少年でした。お姫様はにこにこと笑いました。ドラゴンだった王子様は、少し唇をとがらせます。
「もっと大きくなれると思ったのに
……
」
「とっても可愛いですよ」
お姫様はまた、額にキスをしました。
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