もちこ
2025-02-12 11:26:05
1083文字
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終わらない夢を、まだ。 前編

海の怪異になったバソパロ。ホラーテイストです。モブが1人犠牲になります。
後編で明るいエンドとなります。死後のネタにはなりますので注意。

夜の海。皆が寝静まった船は静かだ。

「うん、ここのクルーはいい子ばかりなようだ。是非ともうちの船に欲しい。」

ハッと振り返ると見知らぬ男が佇んでいた。この暗がりで顔はよく見えない。ただ背が高いこと、両手両足には鎖が繋がれそれが音をたてていること、...風貌からして海賊だということ。それは分かった。

まずい、と息を飲んだ。これはまずい。本能が真っ先にそう叫んでいる。

「あと眩いばかりの宝石がたくさん、女性物のドレスかぁ。それは売り飛ばすとして良さそうな紳士服もあるじゃないか。いいね。着たいな。」

そんなもの積んでいない。積んではいないのだ。

だが、それらを身にまとった人々はいる。

パーティを楽しんだ後の金持ちたちがこの船には大勢いるのだ。

「君はここのキャプテンだろう?いいのかい?皆を起こしに行かなくて。まあ私としてはやりやすくていいけれどね。」

違う。助けてくれ。私はただの警備員なんだ。

「だめだよ。キャプテンならばもっとしゃんとしなければ。」

悲鳴が口からこぼれる。これは幻だ。悪い夢だ。

震える手で懐中電灯をやつに向けた。

それが地獄が始まる合図になってしまったのだと思う。

「総員戦闘準備!!!!」

とてつもなく大きい鎖の擦れる音が響き渡る。

船が大きく揺れる。

人々の悲鳴が上がった。

暗闇の中確かに見えたのだ。この豪華客船を飲み込もうとしている巨大な鎖が。

大きく傾く船。
上下が分からなくなる視界。
冷たい海水が空から降ってくる。

あの男の笑い声と、ここにいないはずの誰か、大勢の荒っぽい男たちの声。

助けて。

助けてくれ。

何かで体を強く打ったのかそこで自分の意識は途絶えた。






今日も大きな獲物を見事に手に入れた。私の素晴らしいクルーたちのおかげだとも。

海賊船の船長になってから何年経ったのかもう分からないが、今も変わらず最大の海賊として名を馳せている。

何も無い海?いやいやあるじゃないか、まだ沢山の宝が隠れもせずに呑気にやってくる!

さあさあ略奪を続けようじゃないか!
海賊の時代はまだ終わらないのだから!!!





携帯を見た。どこかの豪華客船が突然消えたらしい。そんな映画みたいなことあるんだなぁとページをフリックで飛ばす。

海風が気持ち良いなぁと大きく伸びをして一息つく。

「おーい!こっち手伝ってくれ!」

船の整備士である私は軽く返事をして携帯を置いた。

ジャラ

ジャラ

「?」

....重い鎖を引きずるような音がした。

後編に続く