tknyoko11
2025-02-11 23:18:03
2527文字
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2025 leokumiweek Day3 類似点

お互いが好きなものについて色々話し合うレオンとタクミのお話 Japanese only
好きだけどちょっと苦手な部分もあって、でもやっぱり大好きな相手のこと。

「タクミ王子、この前貸してもらった本はとても面白かったよ。白夜の文化についてもより知見を深められたからね」

「どういたしまして。そう言ってもらえてよかったよ」

 シラサギ城の自室にて、タクミはレオンから本を返してもらいつつ自然と表情を緩めていた。戦後、定期的にお互いの国の近況を報告しながら、二人はそれぞれお気に入りの本などを貸し借りしている。レオンとタクミの好みはかなり似ているが、それでも自分が薦めた本を褒めてもらえるのはタクミにとってこの上なく嬉しいことだった。レオンにもっと自分の好きな本を読んでもらいたくて机の上に置いていた数冊の本を取ってレオンへ差し出すと、さっそくレオンは興味深そうな表情を見せてくれる。

「それで、今回も色々準備してみたんだ。これは白夜は有名な寓話をまとめたものなんだけど、今のレオンなら白夜の文化背景が分かってきてるから楽しめると思う。こっちは前に言っていた哲学書で、そっちは白夜の村で受け継がれている独自の祭りについてまとめてあるんだ」

 ふぅん、と呟いたレオンは祭りの本を手に取ると、パラパラと中身を確認して驚いたような表情を見せた。あの本の中にはタクミも知らない様々なお祭りが書き記してあったのだからレオンの反応は当然だろう。

「なんていうか……祭りって一言でいってもこんなに色々あるんだね……

「そうだろ? 僕もびっくりするようなのもあったし、白夜の文化を知りたいならこういうのもありかなって」

「ふふっ、確かに。じゃあ今回はこの本と寓話を借りていくよ」

 これで白夜の文化をもっと知れそうだと言うレオンと顔を見合わせてタクミは笑いあう。今度は自分も改めて暗夜の文化の本を貸してもらおうかと考えていると、レオンの視線を感じタクミはきょとんと首をかしげた。

「どうしたのさ、レオン王子」

「いや……なんというか、僕達ってよく似てるなって」

 そう言いながらレオンは畳の上に足を崩して座り、借りた本を側に置くと用意してあったお茶を飲んでほっと息を吐きだす。つられるようにタクミも畳の上に正座をすると向かいに座るレオンはどこか懐かしそうな様子で口を開いた。

「タクミ王子と好きなものが似てるって気づいたのは、異界の城でお互いに言い合いをしている最中だったよね。まさか本の種類から食べ物、チェスみたいなボードゲームまで好みが被ってるなんて思わなかったな」

「本当だよね。それに今飲んでる緑茶だって暗夜の紅茶と発酵度合いが違うだけなら、二人ともお茶が好きってことだ」

「確かに。それから、カムイ兄さんやきょうだいのことが大好きで」

「もちろん臣下や民のことも大好きだし、お互いの国をもっとよくしたいって思ってる」

 そこまで言ってタクミとレオンはお互いに一瞬見つめあってからこくんと頷きあった。始まりは最悪だったけれども、今はこれほど信頼できる相手はいないとはっきりと言い切れる。だからこそ、もっとお互いのことを知りたいと思ったから、二人はその後もお互いの好きなものを色々とあげては共通点を探しあった。本を静かに読めるから雨の日が好きなこと、星空を見るのが好きなこと……お互いに得意な武器以外に剣も上手く扱えるけど兄に敵わないのがちょっとだけ悔しいこと、そんな兄から戦略などの側面から頼られているのが誇らしいこと、古本屋をめぐって思わぬ発見をできた時がとっても嬉しいこと……語れば語るほどレオンとタクミの似た部分は次々と浮かび上がる。その一方で暑いのが苦手なレオンはタクミが好きな夏の季節は苦手なことなど違う部分もわかるのが楽しかった。

「こうして話すと僕達二人とも好きなものっていっぱいあるんだね」

「うん、そうだね。……あぁ、もう一つあるよ、僕が好きなもの」

「なになに、聞かせてよレオン王子」

 興味深々と言った様子で聞き返したタクミをまっすぐに見つめたレオンの口から出てきたのはタクミが予想もしない答えだった。

「僕はタクミ王子と一緒にいられる時間が好きだよ」

……んっ? えっ、なっ、なんだよ急に!」

 真顔でそう言われて一瞬理解ができなかったタクミだが、理解したらしたでなんだか急に顔が赤くなってしまう。なんというか「タクミ王子と一緒だと楽しい」くらいの言葉にはできなかったのか。少なくともタクミにとってはいきなり告白されたぐらいの衝撃があった。

「言ったとおりの意味だよ。僕はタクミ王子と一緒にいられる時間が好きだ」

「いや、二回言わなくていいからな!? わ、分かったから!」

「うん。それでタクミ王子は?」

「へっ」

 妙な気恥しさでドギマギしている最中にそんなことをレオンから言われてタクミは一瞬固まってしまう。それってどういう意味だとタクミの思考がぐるぐる巡る中、レオンはずいとちょっとだけタクミの方へ身を乗り出してきて言葉を続ける。

「タクミ王子は僕と一緒にいる時間のことどう思ってるの?」

 そんな逃げ場のない問いかけ方はずるいとタクミは思った。ここで嫌いだなんて言うわけないのに。そもそも嫌いだったら自室にあげたりしないし、好きなものについて語り合ったりだってしない。おすすめの本を教えて貸し借りすることだってしたいと思わないだろう。でもレオンはそういう時、絶対にはっきりとした答えを欲しがるタイプだとタクミは知っていた。普段はそんなことしないのに、ここ一番のタイミングは逃さないのがレオンなのだから。

「っ、す、好きに決まってるだろ! なんでわざわざ言わせるんだよ!」

 言い渋ったところで言わされるのは分かっていたから恥ずかしさをこらえて必死に言って、そうして真っ赤な顔でちらっとレオンへ視線を向ければ、彼はとても満足そうな笑みを浮かべていたものだから、タクミはその表情に一瞬釘付けになってしまうのだった。

「だって、タクミにそう言ってもらえるのが一番嬉しいんだよ」

 今この瞬間、この世で一番幸せそうな表情を見せるレオンのそういう性格だけは嫌いだけど、レオンのことは嫌いではないから悔しいとタクミは思うのだった。