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のたり
2025-01-30 19:06:35
3079文字
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hrsz
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未来で待ってる
セカイに行ったら何故か幼少期の頃に戻っている💧をあやす🐧
(リクありがとうございます)
雫と私の身長差は5センチ。
隣に並んだとき、雫のことを少し見上げる高さ。だから私は顔を上げる癖がつき始めた。今日だってそうだったのに、セカイについた瞬間、雫を見失った。
「ーーあれ?」
ついさっきまで隣にいたのに。あたりを見渡してみたけれど、雫の姿はなくて、セカイはいつもと変わらない。もしかして雫だけセカイに来れなかったんだろうか。少し焦り出してしまったとき、ふと下に気配を感じてそのまま視線を下げたら、ぱちっと私を見上げる大きな目と視線が合った。
「
……
え?」
私の腰くらいの身長の、淡いベビーブルーの髪とブルーグリーンの目をした女の子。
「
……
し、ずく?」
思わずついさっきまで隣にいた彼女の名前を口にしていた。私を見上げるその子は、前に写真で見せてもらった小さな頃の雫と瓜二つだったから。
「私のこと、知ってるの?」
「えっと
……
、うん、多分
……
」
知ってる、と言っていいんだろうか。
この子と私は実際には会ったことがなくて、でもきっと、本当に雫なんだろう。ここはセカイ、なにがあったっておかしくない。
不安そうな彼女を少しでも安心させてあげたくて、微笑んでちゃんと頷いてみせる。
「知ってるよ。雫、でしょう?」
胸の前で自分の手を握る雫がほんの少しほっとしたように息をついた。
「お姉さんは、ここがどこか知ってる?」
きょろきょろとあたりを見渡した雫の目にまた不安の色が映る。
「
……
私、また迷子になっちゃったのかしら
……
」
「大丈夫、迷子じゃないよ」
手を差し出す。
「すぐ戻れるよ。安心して。ずっとそばにいるから」
そう言って笑って見せたら、雫はぱあっと笑って手を握りしめてきた。
「ありがとう、お姉さん!」
「
……
」
外見が子どもでも、雫に「お姉さん」呼びされるのはなんだかむず痒いな。
「えっと、遥でいいよ」
雫はきょとんとして少し首を傾げた。
「
……
遥ちゃん?」
「うん、そう。雫は覚えていないみたいだけど、ずっと私のこと、そう呼んでたよ」
「
……
そうなのね
……
」
雫はまだ不思議そうにしていたけれど、まっすぐに私を見て「遥ちゃん」と小さく呟いた。その後、しっくりきたのか今度は大きく口を開けて元気よく私を呼んだ。
「遥ちゃん!」
「うん、そうだよ」
ふふっと雫が嬉しそうに笑う。「お姉さん」って呼ばれるのも悪くなかったけれど、やっぱりこっちの方が私もしっくりくるな。
きゅっと繋いだ手に力を込めて、私を見上げてくる雫に自然に笑い返していた。
他愛ない話をしながら、みんなのところへ向かった。
どうやら雫は記憶ごと子どもの頃に戻ってしまったらしい。
「いらっしゃい、遥ちゃん」
「こんにちは、メイコ」
「あら? その子
……
」
「えっと
……
」
私の隣にいる小さな雫に気付いたメイコは、しゃがんで雫と向かい合う。雫は私の手をぎゅっと握りしめた。
「
……
こんにちは」
「こんにちは。ちゃんとご挨拶できてえらいわね」
メイコさんが笑うと雫も笑った。
「私、メイコって言うの。あなたは?」
「日野森雫です」
まだ幼さが残る声だけれどたしかに雫の声だ。メイコもそう思ったらしく「今度は誰の想いなのかしらね」と楽しそうに言った。
雫が喜ぶかなと思って、花畑へ向かう。ステージ裏を抜けて目の前に花畑が広がった時、雫はぱあっと表情を明るくした。
「わぁ
……
!」
手を繋いだまま駆け出そうとした雫に引っ張られて前につんのめりそうになる。それに気付いた雫が慌てて戻ってきた。
「ご、ごめんなさい
……
」
「大丈夫だよ」
しゅんとしてしまった雫の頭をよしよしと撫でる。
「私、いつもそうなの。しぃちゃんといるときもよくしぃちゃんの手を引っ張ってしまって
……
」
「そっか。そういう時は手を離せばいいんじゃないかな」
「
……
」
雫は繋いでいない方の手をじっと見て、それから繋いでいた手をぎゅっと強く握った。
「
……
でも、それじゃ迷子になっちゃうかもしれないし
……
」
雫の手はこの手を離したくない、と、言葉より雄弁に語っているような気がした。
「
……
雫」
雫に視線を合わせてしゃがむ。そして両手で雫の手を包むように握った。
「雫、私の手はずっと離さなくていいよ」
「
……
え
……
」
不安気に瞳を揺らす雫に微笑んでみせる。
「私はすごく力持ちだから、雫がどれだけ引っ張っても平気なんだ」
「
……
力持ちってどのくらい?」
「うーん、そうだね
……
」
少し考えてから、雫をひょいと持ち上げる。
「きゃっ
……
」
そのまま縦抱きして、ぐるっと回ってみせた。
「このくらい」
「遥ちゃん、すごい!」
満面の笑みで雫は私に抱きついてきた。雫は元々軽いけど、流石にもっと軽いな。
「雫、一緒に散歩しようか。雫が疲れたら抱っこして連れて帰るから、安心して好きなところに行っていいよ」
「本当?」
「もちろん」
嬉しそうに雫は笑う。雫を地面に下ろすと、私を見上げて私の手をぎゅっと握った。
たくさん歩いて、たくさんいろんなものをみた。
私も知らないような場所にも行った。そんなところに道があったんだと驚いた。知っている場所のはずなのに、雫と散歩するといろんな発見がある。それはここでも現実世界でも変わらないみたいだ。
日野森さんの話もたくさん聞いた。「幼稚園から帰るとね、しぃちゃんが、『おねぇちゃん、あそぼう』って言いながらお迎えしてくれるのよ、とっても可愛いの」なんて、私が知ってる日野森さんとは随分印象が違う気もしたけれど。この話を聞いたことは誰にも言わないでおこうと決めた。
雫の動きが鈍くなり始めたから、帰ろうか、と声をかけた。頷いた雫を抱き上げて帰路につく。戻ったら一緒にステージに立ってみるのもいいかもしれないな。きっとみんなで一緒に歌ったり踊ったりしたら楽しいだろうな。
私の腕の中で、私の肩口に頬をつけた雫が眠そうに目をとろんとさせた。
「眠っちゃっていいよ」
そう言ったけれど、雫は首を横に振る。
「眠っちゃったら、遥ちゃんがいなくなっちゃう気がするの」
「え?」
「私、お部屋でお昼寝してて、気が付いたらここにいたの。だからまた寝ちゃったらお部屋に戻っちゃうかも
……
」
「そっか。お昼寝してたんだ」
「ええ
……
」
「そうだね、雫の言う通りかもしれない」
雫は少し身体を丸めると、ぎゅっと私の服を掴んだ。
ずっとそばにいるよ、なんて今の雫には言えない。私達が出会ったのはほんの数年前で、雫が本当につらかったとき、私はそばにいてあげられていない。でもーー。
「もしいなくなってしまっても、ーーちゃんと会えるよ」
「会える
……
?」
「うん。絶対もう一度会える。そのときはもう雫のそばから離れないから」
「
……
本当?」
「うん、本当だよ。約束する」
雫は少しほっとしたように頬を私に擦り付けた。
「約束
……
、約束ね、遥ちゃん」
「うん、約束だよ」
雫はふふっと笑った後、ゆっくり目を閉じた。あまり揺らさないよう、ゆっくり歩いていたら、雫の寝息が聞こえ始めた。
「
……
未来で待ってるよ、雫」
そっと頭に顔を寄せて、額に軽くキスをした。その時、ふっと腕に重みを感じて、目を開けたら雫が光に包まれた。
「
……
わっ
……
」
その光が空気に溶けるように消えた後、私と身長が5センチしか変わらないいつもの雫が腕の中にいた。
「
……
」
すやすやと安心し切ったように眠る雫に自然と笑みが漏れる。抱きかかえなおして、もう一度顔を寄せた。
「おかえり、雫」
これからはもうずっとそばにいるから。
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