Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
のたり
2024-08-17 09:50:21
785文字
Public
hrsz
Clear cache
花火の音が聞こえる
はるしずはる
花火の音が聞こえる、と、雫が電話越しにそう言った。
最近は毎週末どこかで花火大会が開催されている。今日はどこだったかな。クラスの子が中継番組のゲストで早退していた。ASRUNでまだ駆け出しの時に花火大会のゲストでステージで歌わせてもらったことがある。私達もそういう仕事が来たらいいんだけど。
ドン、と、少し遠くに花火の音がした。
「花火、見える?」
『見えないわ、残念』
カーテンを開けて空を見上げてみたけれど、私の家からも見えなかった。窓を開けたらかすかに音が聞こえた。
方向が違うのか遠すぎるのか。でも月が綺麗に見えた。
『遥ちゃん』
「なに?」
『お月様が綺麗』
ふふっと雫が嬉しそうに笑った。私も同じように笑う。
「うん。綺麗だね」
同じ月を見上げていて、それを綺麗だと言い合えることが嬉しい。
『ーー遥ちゃん』
「なに?」
『今、私が何を考えているか、わかる?』
「え?」
『当ててみて』
「
……
」
電話越し、雫がどんな顔をしているかなんて見えないのに、なんとなくうきうきそわそわしているのが伝わってくる。
今、雫が考えていること。それが私の考えていることと同じだといいな。
「
……
これから会いに行ってもいい?」
『ーーえ?』
答えになっていない私の答えに電話越しでも雫がきょとんとしたのがわかった。
「今すぐ雫に会いたい」
そんな願い事に雫はふふっと笑う。
『私も、同じことを考えていたわ』
それはまるで、遠い花火のように響いた。
「
……
会いに行くよ」
少しの間をおいて、雫が『ええ』と小さく囁く。
『気を付けてきてね、遥ちゃん』
「うん」
このまま電話を切らずに行こうかな。
大丈夫だとは思うけど変装用のキャスケットを手にして、部屋を出た。
雫の家に向かう私に月が付いて来る。花火の音も近くなる。鳴り止む前に雫に会いたくなって、思わず駆け出していた。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内