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のたり
2024-04-02 23:37:26
1453文字
Public
hrsz
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2024/04/01
桐谷さんと日野森さんのサイン、そろそろ公式で見せて欲しい。ASRUN&チアデ時代と同じかな。違ったら両方見せて欲しい。
ちゃんと帰れるかな、と、いう不安はあった。
「来れたってことは、帰る方法もきっとあるはず」と言ったのは嘘じゃないけれど、半分は草薙さんの不安を取り除いてあげたいという気持ちもあった。
そんなに悲観的になっているわけじゃないけれど、丸一日探索して、手がかりになりそうなものすら見つからなかったことは気にかかる。
「とりあえず今日はもうみんなのところに戻りましょうか」
ルカの言葉に頷いて、あらかじめ決めていた集合場所に戻った。
「遥ちゃん!」
迎えてくれた雫の笑顔にほっとして、気を張りっぱなしだった自分に気付いた。
「おつかれさま。拠点になりそうな建物、ちゃんと見つけたのよ。とりあえずゆっくり休んで」
「うん。ありがとう、雫」
いつものように笑った雫は私の手を取ると歩き出そうとした。
「あっ
……
、日野森さん。そっちじゃなくて、こっちだよ」
朝比奈先輩にそう言われて、雫が足を止める。
「え? でも、たしか青い看板の方だったと思ったのだけれど
……
」
雫の向かおうとしていた方向にある看板は確かに青かったけれど、それは私達が来た方向で、さっきまではピンクに光っていた。相変わらずだな、と、つい笑みが溢れる。
「雫、みんなについて行こうよ」
きゅっと手を握り返したら、雫は、ええ、と笑った。
雫が言ったとおり、その建物の中は全員がじゅうぶんに休めるほど広くて綺麗だった。私達が探索したところは外見は綺麗でも中はいろんなものが散乱して足の踏み場もなかったり、機械らしきものに蔦が巻き付いていたりして廃墟に近いところが多かったのに。
「頑張ってみんなでお掃除したのよ」
「
……
そっか。ありがとう」
きっと想像つかないくらい頑張ってくれたんだろうな。
望月さん達が作ってくれたご飯を食べながら、みんなで今日あったことを報告し合った。
どこが配給元になっているのかはわからないけれど電気や水道も通っているし、食糧庫や衣類の類いも見つけたから、当面困ることはなさそうだ。後は私達、探索チームで帰る方法を見つけだせば。ーー責任重大だな。
「雫は不安にならない?」
「え?」
「今日、帰る手がかりになりそうなもの、何も見つけられなかったから
……
」
「そうねぇ
……
」
雫は少し考えてから、ふ、と微笑んで、私の頭を撫でた。
「たくさん頑張って探してくれたのよね、遥ちゃん」
「
……
うん、でも
……
」
何も見つからなかった。
「私、そんなに心配していないわ。遥ちゃんが言ったみたいに、来れたってことはきっと帰れる方法があるだろうし。それに遥ちゃんが一緒だから」
「私?」
「ええ。ふたりなら何かあってもきっと乗り越えられると思うの。だから、この状況も楽しんじゃおうと思って」
「
……
そっか。そうだね」
寝返りを打って雫の方を向いた。雫も私に合わせるようにこちらを向く。息がかかるほど近くなった距離。ふたりでひとつの毛布を整えるふりをして、雫の鼻先にキスをした。ふふっと雫はくすぐったそうに笑って、私の頬にキスをした。
「ねぇ、雫。明日、一緒に散歩にいかない?」
「お散歩?」
「うん。この街、私達以外誰もいないみたいだし
……
、人目気にしないでお散歩デートできるよ」
「素敵ね」
雫の笑顔につられるように笑う。
明るい摩天楼の街をふたりで手を繋いで歩こう。雫に見せたい景色もあったよ。だから。
いつまでもこのままここにいるわけにもいかないのはわかっているけど、もしそうなったとしてもいいかな、なんて、少し思ったりした。
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