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のたり
2023-09-30 08:46:01
1214文字
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hrsz
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保健室の女神
ノリと勢い、大事。
「どうぞ〜」
保健室のドアをノックしたら聞き慣れた声が返ってきた。ドアを開けるとやっぱりそこには雫がいた。
私を見てふわりと微笑む。
「あら、いらっしゃい、遥ちゃん」
「雫、またお留守番?」
「ええ。先生、会議なんですって」
「そっか」
「どうしたの? どこか怪我でもした?」
「絆創膏貰いにきたんだ。6時間目の体育で転んじゃって」
「大変。どこ?」
「ここ」
椅子から立ち上がって私の傍まで来た雫に、体操服の袖を少し捲って傷を見せる。
「ちゃんと洗った?」
「うん」
「座ってて」
「うん」
さっきまで雫が座っていた椅子に座る。雫は薬棚を開けて絆創膏のサイズを選んでいた。
机の上にはハードカバーの小説本が1冊、栞が最初のページの方に挟まれた状態で置かれていた。まだ真新しい。買ったばかりなんだろうな。
中庭や廊下から聞こえる喧騒がやけに遠くに聞こえる。窓もカーテンもドアも閉め切ってるせいかもしれない。
「保健室って、いつも窓とかドアとか開っぱなしじゃなかったっけ」
「ええ。でも前に人だかりができちゃったでしょう? それで先生に留守番の時は閉めておくように言われたの」
「ああ
……
、あの時はびっくりしたよ
……
」
「半分は遥ちゃんのせいよ? 遥ちゃんがきたらもっと人が集まっちゃったもの」
雫は嬉しそうに笑った。それを見て私は少し照れ臭くなる。
前に、誰かが私のことを好きだと言っていたりモテているのを見ると嬉しくなると雫に聞いたことがある。「そうでしょう、遥ちゃん、素敵でしょう? って思って嬉しくなっちゃうの」なんて言われても、私にはうまく理解できない。逆だったら確実に嫉妬してしまうから。
雫が戻って来て、傷と絆創膏のサイズを見比べて満足そうに頷いた。
「痛いの痛いの、とんでいけ〜」
そんなことを言いながら絆創膏を貼る。
「そんなに痛くないから大丈夫だよ」
「そう?」
「でもありがとう」
「どういたしまして」
それでも微かに痺れるような痛みがじんわりと和らいだような気がしたから不思議だ。
「じゃあ遥ちゃん、体操服脱いで」
「え?」
「袖口に血がついちゃってるわ。洗うから脱いで」
「え、自分でやるよ」
「いいの、怪我人は座ってて」
怪我人って、ただの擦り傷なんだけど。それでもそれ以上何も言えない。お姉ちゃんモードになると雫はいつもより少し強引で頑固だ。
別に下にキャミソールを着ているし雫しかいないし、脱がされる分には構わないんだけど、お姉ちゃんモードになっている雫にあれこれされるのはなんだか少し照れ臭くてくすぐったい。少しは甘えるのにも慣れたつもりでいるけれど、まだまだらしい。
「遥ちゃん、よかったら一緒にお留守番していかない?」
今日は屋上での練習も休みで、委員会も部活の予定もない私には、雫のお誘いはとても魅力的に思えた。
「じゃあそうしようかな」
「ええ」
手を合わせて雫も嬉しそうに笑った。
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