のたり
2023-06-21 12:22:42
1178文字
Public hrsz
 

きみとごはんがたべたい

ソロで芸能活動してる成人同棲設定のはるしず

延々と繋がるティールランプが少し眩しい。
タクシーが進むスピードは制限速度より20キロは遅い。日曜の夜、この道が混むのは知っているし、仕方ないとわかっていても気持ちが急く。
雫がいてくれたら、渋滞なんて全然気にならないのにな。むしろのろのろ運転の方が助手席の雫と手を繋ぎやすいし。思い出したら左手が寂しくなって、視線を窓の外に向けた。
今朝早くに出て行った雫は夕方には帰れると言っていた。私も今日はわりと早くあがれそうだったから、久しぶりに一緒に夕ご飯を食べられそうだと期待していたけれど。
チラリと時計を見る。渋滞にさえ巻き込まれなければ、もう家に着いている時間だ。タクシーの中で雫には先に食べていてとメールした。やっぱり一緒に食べたかったな。できたら一緒に配膳もしたかった、なんて、仕方ないとわかっていても思ってしまう。
お腹空いた。雫、今夜はハンバーグ作ってくれるって言ってた。おみそ汁の具はなんだろう。早く飲みたいな。雫が作ってくれるおみそ汁の味と雫の笑顔を思い出していたら、いつのまにか気持ちが落ち着いていた。
明日の朝ご飯は一緒に食べられる。オフが重なるのは久しぶりだ。前に美味しいって言ってくれた玉子雑炊作ろうかな。湯葉も入れて。ああ、でもその前に、ーーたくさん雫に触れたい。

***

「おかえりなさい、遥ちゃん」
玄関まで迎えに来てくれた雫がふわりと微笑む。その笑顔につられるように私も笑った。
「お腹空いてる? すぐ温めるけど、ご飯の前にシャワー浴びる?」
「雫がいい」
「え?」
きょとんとした雫の腕を掴んで、軽く引っ張る。身体を前に倒してくれた雫の背中に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。
「遥ちゃん?」
ふわりと香る雫の匂い。ちょうどいい体温。心地良い声。雫だ、と思って、嬉しくてほっとする。
ふふっと笑って、雫も抱きしめ返してくれる。きっとまた可愛い、なんて思われてるんだろうな。妹とか年下扱いされてるようで少し拗ねていた時期もあったけれど、最近は雫が甘やかしてくれるのが素直に嬉しいって思えるようになった。雫が私のこと、可愛いだけの年下じゃないって思ってくれてると、私も思えるようになったからかもしれない。
「ただいま、雫」
少し体を起こして、雫の顔を見る。
「おかえりなさい、遥ちゃん」
ふわりと笑ってくれた雫の頬は少し赤く染まっていて、細められた目はどこか眩しそうで、雫も私と同じように好きでいてくれてるみたいで嬉しい。
「遥ちゃん、今日はお酒を飲みたい気分なんだけど、付き合ってくれる?」
「勿論」
目を合わせて、笑い合って、どちらからともなく啄むようなキスをした。柔らかな感触を残してすぐに離れた唇を追いかけたい衝動にかられたけれど、そんなことをしたら止められなくなっちゃうなと思って、代わりに鼻先にキスをした。