今度の放課後練習がお休みの日はデートの約束をした。調整してチートデーにしたし、季節限定のクレープの開始日もチェックしたから、前の日には少しそわそわしてしまうくらい楽しみにしていたけど、当日の朝練が終わった時、どうしようかなと迷った。今朝から新しい振り付けを始めたけれど、雫はまったく満足していない顔をしていた。みんなの前では普段と変わらない表情をしていても、汗を拭いていた時もおみそ汁を飲んでいた時も、視線を遠くにやって、小さく手の動きをなぞったりしていた。
「雫」
思い切って声をかける。雫は私の方を向いて、パッといつも通りの顔をした。
「雫、よかったら私にも頂戴」
「ええ」
快く分けてくれたおみそ汁を飲んでから、話を切り出した。
「今日のお昼休みと放課後、自主練しようか」
「え?」
「雫、さっきやったとこ、練習しておきたいって顔してるから」
「……それは……、……そうだけど、でも……」
言い淀む雫に安心して欲しくて、微笑んでみせる。
「デートはいつでも出来るなんて言うつもりはないし、休むのも大事だと思うから、お昼休みと放課後1時間だけね。それからデートしよう」
雫の表情が少し和らいで、私もほっとした。私の提案は悪くなかったみたいだ。
「早く行かないとお店が混んでしまわないかしら」
「混んでたらイートインじゃなくてテイクアウトにすればいいよ」
「……ええ!」
嬉しそうに雫が笑う。
「ありがとう、遥ちゃん」
「いいよ、気にしないで、雫」
私の提案は雫のためだけじゃないから。雫が自分が納得出来るまで努力するタイプなのは知っているし、そんな雫を尊敬しているから邪魔はしたくない。でもせっかくのデートなんだから、ちゃんと私だけに集中して欲しくて、それなら先に雫が気にかけていることを解消するのが一番だって思ったから。
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