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のたり
2023-03-23 23:55:57
1312文字
Public
hrsz
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魔法学校パロしずはる
ノリと勢いと雰囲気。
寮の共有スペースの最上階にある屋根裏部屋が、私達の秘密の部屋だ。
勿論、寮生であれば誰でも来られる場所だけれど、学年別の寝室棟からは一番遠く、空や星は綺麗に見えるけれど、観測するなら大きく開けたベランダや観測室ほどではないので、結果ほぼ忘れられた場所になっている。
その部屋にあるのは机代わりの木箱と私達が持ち込んだクッションがふたつ。いつものようにノックをしたら鍵が開いた。雫はもう来ていたみたいだ。そのまま扉も開く。
「遥ちゃん」
雫はいつものように窓際に座って、ふわりと微笑んだ。私が部屋に入ると雫は杖を一振りして、扉を閉めて鍵を掛けた。
「おまたせ、雫」
気にしないで、と言うみたいに雫はふふっと笑った。
木箱の上には本が数冊積まれていた。雫の膝の上にも一冊。
「遥ちゃんが探していた本、持ってきたわ」
「え、ほんと?」
「ええ」
木箱の上の本の表紙を見たら、たしかに探していた絶版本だった。
「ありがとう、雫。図書室にもなかったから、もう無理かと思ってた」
いつものように雫の横に座って、本を手に取った。紙の感触にすら胸が高まるほど嬉しい。
「幻獣学の先生が持っていたから借りたの。読みたがってる後輩がいるって言ったら、喜んで他の本まで貸してくれたわ」
「
……
そっか。本当にありがとう、雫」
「遥ちゃんが喜んでくれて嬉しいわ」
雫まで嬉しそうにしてくれるのは、とても嬉しい、けど。
「
……
」
「どうかした? 遥ちゃん」
「
……
私、雫の後輩なんだなって
……
」
自分で口にしてから情けなくなった。
「ごめん、そんなこと気にして」
どれだけ気にしたって、私は雫よりひとつ年下で、寮の後輩であることは確かなのに。
雫はきょとんとした後に、ふふっと肩をすくめて笑った。
「本当は、本を読みたがっていたのは恋人なんです、って先生に言ってもいい?」
「
……
っ」
かあっと顔が熱くなる。
「ダメだよ。雫に恋人がいるなんて噂になったら、大騒ぎになっちゃうよ」
「残念。やっと遥ちゃんから許可が出るかと思ったのに」
冗談なのか本気なのかわからないような微妙な顔で、雫はそう言った。雫の預かり知らぬ場所とはいえ、校内ではファンクラブもあってなかなか火力も高いらしいから、付き合ってることは秘密にしておくことにした。雫は私のだからと宣言して牽制したい気持ちはあるけれど、雫がちゃんとわかっていてくれたらいいかという気持ちの方が多分強い。
「遥ちゃん、モテるから心配だわ」
「そんなことないよ」
「この間の寮対抗杯の後、遥ちゃんのファンクラブができたの、知らないの?」
「えっ」
そんなの初耳だけど。
「無理もないわよね、遥ちゃん、すごく格好良かったもの」
「ありがと」
少し照れくさいけど、雫にそう言われると嬉しい。
「次のダンスパーティは遥ちゃんに申し込みが殺到しちゃうわね」
「別にいいよ。雫と踊るから、って断ればいいんだし」
「
……
狡いわ、遥ちゃん」
「え?」
「私もそう言っていい?」
「それは勿論
……
」
それよりどうして狡いって言われたのかわからないんだけど。
早くダンスパーティ来ないかしら、と雫は楽しそうに笑っていた。
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