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のたり
2023-01-28 16:07:37
1721文字
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hrsz
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はるしずオメガバース。
Ωになりたい雫さんと別に気にしてないαな桐谷さん。
家に帰ってきたら、玄関のコート掛けからネイビーのコートが消えていた。
今日着ていったコートとどちらにしようか迷ったから、ここに掛けて出かけたのは間違いない。取り残されたハンガーに脱いだばかりの水色のコートをかけて、部屋の奥へ向かう。リビングの電気は消えていて、寝室のドアが半分開いていた。
「雫?」
ドアを開けて中を覗くと、ベッドの上に雫がいた。正確には雫が中にいると思われる膨らみがあった。
「
……
遥ちゃん?」
膨らみが動く。ちゃんと中に雫が入っているみたいでほっとするのと同時になんだか可愛いなと思った。
「ただいま」
「おかえりなさい、遥ちゃん」
返ってきたのはわりとはっきりした声だった。まだ寝るような時間じゃないから、横になっていただけで眠ってはいなかったんだろう。
部屋の電気を点けて、ベッドの方へ歩いて行く。
「何してるの、雫」
「お洗濯を畳んでいたの」
とてもそうは見えないけど。
「途中で力尽きた?」
雫が埋もれていたのは私の服だった。玄関から消えていたコートだけじゃなくて、リビングに置いていたカーディガンもある。それに今朝洗濯したはずの練習着のパーカーも。
「
……
ごめんなさい
……
」
「別にいいよ」
どの意味の「ごめんなさい」だろう。力尽きたことなのか嘘をついたことなのか、それとも私の服をベッドに集めたことなのか。なんにせよ私の返事は変わらないけど。
ベッドに腰掛けて雫が握りしめていたカーディガンの袖を摘んで持ち上げる。
「巣作りかと思った」
雫が眉を八の字にして、どこか不機嫌そうに私を見上げた。
「私、αよ?」
「知ってるよ」
私がそう答えると、雫は小さくため息をついた。
「ごめんなさい、本当は巣作り」
「そっか」
「こんな感じなのかなって、真似してみたの」
「どうだった?」
「
……
遥ちゃんの匂いがして安心するけど、少しドキドキもしたわ」
「それ、ちょっとわかる気がするな」
「そう?」
「うん。私も雫の服を借りた時、そんな感じだったよ」
雫は少し頬を染めて、カーディガンから手を離すと私の腕を掴んだ。
「
……
おかえりなさい、遥ちゃん」
「うん。ただいま」
「早かったのね」
「そう?」
「だって今日、合コンだったでしょう?」
「違うよ、ゼミの飲み会。合コンだったら最初から断ってるし」
「こんなに早く帰ってきて大丈夫なの?」
「最初から一杯だけでよければ、っていう条件付きで参加してきたから」
「
……
最初からそう言ってくれればよかったのに」
「言わなかったっけ?」
「聞いてないわ」
「ごめん」
前髪をかき上げて額にキスしたら、雫はくすぐったそうに目を閉じた。
「シャンプーの匂いがする。もうお風呂入った?」
「ええ」
「今度私も巣作りしてみようかな」
「私のでよければいつでも貸すわ」
「ふふ、ありがと」
「その中に私も入れてね」
「雫も入っちゃうの?」
「ええ。遥ちゃんの一番近くに配置してね」
「うん、そうするね」
雫の首に手を滑らせながら、キスをした。このまま舌を入れたくなったけれど、止まれなくなりそうだと思って唇を離す。
「
……
遥ちゃん?」
「シャワー浴びてくるよ」
待ってて、という意味を込めて軽く触れるだけのキスをしたら、雫は私の首に腕を回して抱きついてきた。
「
……
雫?」
「
……
このまま
……
。
……
ダメ?」
息がかかるほどの至近距離で囁く声と雫の持つ空気に理性が揺れる。
「
……
ダメなときなんてないよ、雫」
体が熱くなる。
ーーいつか遥ちゃんが、Ωの子を選ぶんじゃないかって、不安になるの。
そう言って泣いた雫は、きっと今も同じ不安を抱えている。私の理性を崩すのは雫だけだと何度伝えても、雫には足りないみたいだ。
「雫、うつ伏せになって」
「うつ伏せ?」
「うん」
雫も私がしようとしていることをわかってくれているみたいで、寝返りを打った。後ろ髪を横へ流して、頸にそっとキスをする。それはこれから噛むよ、という合図。
「
……
私の番いは雫だけだよ」
数日後には消えてしまう跡しかつけられないけど、もう見えないところには消えることのない跡が付いてるってことを雫が気付くまで、何度だって。
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