Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
のたり
2022-12-06 10:39:04
2418文字
Public
hrsz
Clear cache
雫さんハピバ。
愛莉はマフラーを編んでいた。みのりはまだ決められてないって言ってたな。
シマエナガや文鳥で検索してみたけど、ピンとくるのがなかなかない。パスケースは日野森さんから貰ったものを大事に使ってるし、ポーチも今持ってるの気に入ってるみたいだし。愛莉がマフラーだから手袋とか? いや、でもあのマフラーに合う手袋がそうそう見つかるとは思えない。ティーポットは可愛かったけど、雫の家は急須とか、かなり良いのが揃ってる気がする。
思考がドツボにハマっていく感じがして一旦画面を閉じた。そのままベッドに横になる。
自分の部屋を見渡してから、雫の部屋を思い出してみた。あんまりぬいぐるみって置いてなかったな。どっちかというと置き物っていうイメージだ。あまり持ってなさそうだからぬいぐるみというのもアリだと思うけど、でも私があげたいかと言われるとあまりしっくりこない。
「うーん
……
」
目を閉じて、今度は雫自身を思い出してみる。私の中の雫は、いつも微笑んでいるか、誰かの心配をしている。努力家で気配りが出来て、そんな雫だからそばにいると凄く落ち着く。私も雫にリラックスして欲しい。気を抜いて、安らいで貰えるような
……
、入浴剤とか?
……
って、私の誕生日に雫から入浴剤とバスボムを貰ったんだった。あとリラックスと言えばアロマオイルかな。香りって好みがあるから難しいかもしれないけど、アロマストーンとかディフューザーメインならいいかもしれない。雫っていつもいい匂いするけど、コロンとかつけてるのかな。一度似た香りのオイル、探してみよう。
「よし」
目的が定まったことでスッキリして、ベッドから起き上がった。
取り寄せたアロマオイルのサンプルをいくつか試してみた。ひとつは雫っぽいと思ってすんなりそれに決めたけれど、もうひとつ、と思った時、なかなか決まらなかった。
「遥ちゃん、もしかして今日何かつけてる?」
ペアストレッチの途中で、雫がそう言った。
「いい匂いがすると思って」
「そう?」
「ええ」
雫が私の髪に少し顔を近付ける。
「シャンプーかしら」
間違いなくアロマオイルの残り香だと思うけど、言われてみれば私のお気に入りのシャンプーと似た香りかもしれない。サンプルの中で、私が使うならこれだなと思ったやつだし。
「雫、こういうの好き?」
「そうね、安心できる感じがして好きよ」
「そっか」
じゃあもうひとつはこれにしよう。雫の誕生日までにちゃんと準備できそうだ。喜んでくれるといいけど。
誕生日当日、雫はみんなのプレゼントをその場で開けて、嬉しそうに笑ってくれた。愛莉のマフラーは市販品も顔負けの仕上がりで、みのりとふたりで感心しながら隅まで眺めてしまった。愛莉に「やめてよ、恥ずかしい」と取り上げられてしまったけど。
「この色合い、凄く好きだな」
「まだ毛糸余ってるから、ネックウォーマーとか、簡単なのでよかったら編んであげるわよ」
「えっ、ホントに?」
「あ、言っとくけど柄とか入れないからね?
……
まぁ、ペンギンのワンポイントくらいはつけてあげてもいいけど」
「え、凄く嬉しいよ。ありがとう、愛莉」
複雑な顔で「なんか素直で気持ち悪いわね
……
」と言われたのは納得がいかなかったけれど。
みのりが選んだシマエナガのぬいぐるみも可愛かった。まんまるでふわふわしていて、羽が青の子と緑の子。お揃いで欲しくなるくらい可愛い。青の羽をぴょこぴょこさせていたら、みのりが「遥ちゃんにもプレゼントしようか?」なんて見透かされたようなことを言われた。
私のアロマストーンも喜んでくれたみたいでよかった。雫がアロマオイルの瓶を開ける。
「あ、雫っぽいわね、その匂い」
「そう?」
「うん、いつもの雫ちゃんって感じ!」
「私ってこんな匂いなのね」
「え?」
「自分の匂いって、自分ではよくわからなくないかしら」
「いや、まぁそうだけど
……
」
「
……
もしかして雫ちゃんって、何もつけてなくてその匂いなの
……
?」
「え?」
みのりが口にした私達3人共通の疑問に、雫は本気でわかっていない顔をした。
「
……
おっそろしい子ね
……
」
「え? 愛莉ちゃん、どうして?」
「いや、いいのよ。うん」
少し首を傾げながらも、雫はもうひとつの瓶を開けた。
「あ」
香りが漂った瞬間、ふわりと表情を綻ばせた雫にほっとした。気に入ってくれたみたいだ。
「遥ちゃんの匂いがするわ」
「え」
「あ、ホントだ」
「え?」
私の?
「ね? 自分の匂いって、自分ではよくわからないでしょう?」
ふふっと雫は楽しそうに笑った。
「ありがとう、遥ちゃん」
「
……
あ、うん。気に入ってくれたなら、よかった
……
」
「ええ。みのりちゃんも愛莉ちゃんもありがとう。大切にするわね」
本当に嬉しそうに笑う雫を見て、こっちまで嬉しくなったけれど、なんだか顔が熱くなった。このアロマオイルに決めたのは、雫が安心できる感じがする、って言ったからなんだけど、私の匂いに似てるなんて、それって。
「じゃあ今日もそろそろ練習しましょうか」
愛莉の号令に頷いてみたものの、練習に身が入りそうになかった。いつものように雫とペアストレッチをしていても、なんとなくいつもより雫の匂いが気になってしまって、上手く集中できない。怪我の元にもなるしちゃんとしなきゃ、と自分に言い聞かせる。少し気持ちは落ち着かせられたけど、その日はずっと雫の顔がうまく見られなかった。いつも通りに振る舞えばいいと思っても、今までのいつも通りがどんな感じだったのかわからなくなってしまった。
家に帰ってから、雫っぽいと思った方のサンプルの瓶を開けた。ふわりと漂う香りに、いつものようにほっとして落ち着ける感じがするのに、心臓だけがドキドキと高鳴っていた。どうしちゃったんだろう、私。
「
……
参ったな」
思わずついたため息まで、熱くなっている気がした。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内