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倉木
2025-02-11 17:52:22
2392文字
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他🐢
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ULラフレオ
ラフレオというかR→→→→→→L
ULだからね、しょうがないね
夜は長い。
そう感じるようになったのはつい最近のことだ。
今まで人から隠れ暮らすラファエロ達にとって昼間は退屈だ。
陽が落ちればこの見た目を軽く隠した程度でも千鳥足の男や刃物を持ち出す痴話喧嘩に忙しい奴等は気にもしない。
理解のある仲間と遊びに行けるし、帰れば何かとうるさい家族がいる。
あんな地下道の隅っこに追いやられた暮らしを退屈だと思っていたが、後悔っていうのは喪ってからしか戻ってこない。
「マスター、本日の任務を完了しました」
硬い口調と共にラファエロの前にいくつもの影が並んだ。
灯のない部屋でもミュータントであり戦闘訓練を受けていたラファエロには彼等の姿が良く見える。
かつての敵であり、今となってはラファエロの部下だ。
ラファエロの返事があるまで微動だにしないであろう男達を前にラファエロは退屈そうに返事をした。
「じゃあ修行の続きをしろ、わざわざそんなことまで聞くな」
素直に受け取った男達は頭を下げ、静かに闇に消えていく。
ここでラファエロが理不尽な命令をしたとしても彼等は言うことを聞くのだろう。
大層な地位を手に入れた筈なのにラファエロの心情は空虚だった。
なんというか、張り合いがない。
上に立つと言うのはもっと厳かで、華やかで、胸を張れるだけだと思っていたのに。
「順調か」
突然聞こえた声に飛び上がる。
大仰な椅子からずり落ちなかっただけまだましだ。
背もたれのせいで背後からやってきたレオナルドがラファエロを認識するまでに、居住まいをただす時間が取れたことが何よりも幸いだった。
「もう来んなっつったろ」
発した声はいつもよりずと低い。
威厳を少しでも出す為とフット団相手に使っていたことだが、いつの間にかそれが身についてしまっていた。
そんな変化には一切気にすることなく、辺りを見回すレオナルドは少し前に見た時から変わった様子はなかった。
「定期的な偵察くらいいいだろう、治安の維持にも関わるからな」
ラファエロがこの位置に就いてから幾度となくサポートしていた兄弟たちを追い出したのはもう大分前の事になる。
長はひとりでなくてはならない、そうしなければ威厳にも関わる。
乱暴にレオナルドを追い出したが、その意図はレオナルドも理解したようだった。
それから兄弟達とのかかわりは驚くくらい希薄になった。
情報交換の為会話をしたこともあるがそれもこの期間の間に2回だけ、拠点ではなく中間地点での会合だけだ。
「
……
そうかよ」
わざわざ会いに来たわけじゃないのか、そんな落胆を覚えてしまいラファエロは肘掛を乱暴に叩いた。
恐らく酷い表情をしているだろうが、被るようになったマスクのせいで顔が見えていないのならそれでよい。
もっとも拠点を見回すレオナルドの視界にラファエロは入っていないので、きっと気付かれてやいないんだと思う。
一時期の怒涛の日々を思えば最近はある程度平和なものだが、どことなく燻ったニューヨークの雰囲気は異様なほどに緊迫している。
平和というのは重なる戦闘の束の間に在るものだとラファエロは最近ようやく理解していた。
兄弟から離れることを選んだのはラファエロだ。
でも、まったく心配しないかと言えばそんなことはない。
ましてや仮面越しのうっすらとしか映らない視界の中で元気そうなレオナルドを見て目立った怪我のない様子にどことなく安心しているラファエロの心情など、もとより鈍感なこの男が気付くはずもない。
「もういいだろ、さっさと帰れ」
気の休まらない日々というのはどうあっても疲弊させる。
寝首をかく輩はいない、そう思っていてもそんなこと誰が信じられる?
力でねじ伏せた連中なんて、同じくそれより強い力で抑えられればすぐにラファエロに牙をむくだろう。
安眠できたことなんて久しくない、寝不足で機嫌の悪いドナテロを当時は揶揄ったものだが今となってはその気持ちが大いに理解できた。
そんなラファエロの心情など無視され、レオナルドはラファエロに向き直る。
「それもそうだな、誰かに見られてもいいことないしもう帰るよ」
「というかお前どっから来たんだ、見張りはつけてる筈だぞ」
その問いにレオナルドは愉しそうに笑った。
その笑みはパズルを解けた時の子どものようなあどけなさに刃物を持たせたような残忍さを含ませている。
このような緊迫した空気で、レオナルドは随分と呼吸がしやすそうに見えた。
ネジが飛んでるのは一体どっちだ、そんな悪態は清廉潔白を気取る兄に届く前に溶けて消えるのだろう。
「ちゃんと戦ったりはしていないから安心しろ。もう少し配置位置を見直した方がいいぞ」
「
……
っいいから早く帰れ!」
小馬鹿にした様子もない、ただ事実に基づいた発言をしただけ。
だからこそ自分の至らなさに腹が立つ。
いつもそうだ、レオナルドにはどうしたって叶わない。
そんな惨めさなんて何一つ伝わっていないのだ、それが眼中にないと言われる
声を荒げるラファエロにレオナルドは素直に従った
ラファエロの腰かける椅子を通り抜ける寸前、ぽんと叩かれた肩がこの間で唯一の触れ合いだった。
今ラファエロの視界に広がるのは無人の空間だ。
掃除の行き届いていない床の埃が僅かに揺らめいた。
「久しぶりに会えてよかった」
聞こえた言葉に思わず立ち上げる。
椅子越しに振り向いたがそこにはもう人影は残っていなかった。
まるで何もなかったかのように気配すら残さず、言葉だけが色濃くラファエロの耳に残っている。
「
………
っくそ」
どっかりと椅子に座り直す、勢いよく打ち付けた後頭部に痛みが走った。
こんなことで嬉しく舞い上がってしまう自分が嫌だった。
アイツがなんとも思って無さそうだとわかってしまうのが、また更に腹ただしい。
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