tknyoko11
2025-02-10 23:29:49
2363文字
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leokumiweek2025 Day2 けもの

レオンが見つけた珍しい変身魔法で変身させてもらうタクミだけど……? Japanese only
普段は素直に甘えられないのがタクミの良さだと思ってる

「タクミ王子、珍しい魔法に興味ある?」

「そんな風に言われて気にならないわけないだろ」

 暗夜王国へ訪問していたタクミは、彼と共にケーキと紅茶を楽しんでいた最中にレオンからそう切り出されて思わず笑ってしまった。魔法を使えないタクミにとってはレオンが使う普通の魔法だけでも見ていて楽しいのだが、戦後レオンは古い時代の魔導書を探してきてはタクミに見せてくれているのだ。それには今の時代では見られない魔法を現代で活用できる形に改良したり、古の英知を保存したり、危険な魔導書を封印したりなどする目的もあるが、時々面白い魔法を使える魔導書が発見されることもある。今回はおそらくそういった類の魔導書を発見したのだろう。

「まぁそう言うと思っていたよ。今回見つかったのはこれさ。どうも相手を別の生き物に変身させられるらしいんだ」

「えぇっ、それってすごい魔法じゃないか!」

 レオンが机の上に置いた魔導書とその内容にタクミは思わず興奮して席から勢いよく立ち上がる。今までにも風景を記録して再現する魔法や天候を一時的に変える魔法など実用性もありそうな変わった魔法を見せてもらうことはあったが、今回のものはそれとは段違いにタクミの興味を引いたのだ。そんなタクミの様子にレオンはおかしそうに表情を緩めていた。

「ふふっ、食いつき方がすごいね。でも、今解読した範囲だと動物への変化魔法しか書いてないんだ」

「ふ~ん、じゃあお互いの姿に変身しあうのはできないんだ」

「ああ、そうだね。僕もそれやってみたいと思ってたけど……それに、これは相手をどんな姿にしたいかイメージして使うから、僕達がお互いに変身したいなら協力者が必要だ」

「僕は魔法が使えないから仕方ないよね。オーディンならやってくれるかな」

「たぶんやってくれるさ。それと、これを使って長時間の変身はできないみたいだから研究して改良するのが今後の課題かな」

 そう言ってレオンとタクミは顔を見合わせて笑いあう。お互いになってみたいと思っていたのがタクミはなんだか嬉しかった。しかし、人間になれないとはいえ動物になれるのはとても面白そうで、自然と魔導書へタクミが視線を向けているといつの間にか側にやってきていたレオンから肩を軽く叩かれる。

「それで、タクミは何になってみたいの?」

 そう言われてタクミは少し考え込む。変身ができる魔法ということでわくわくしていたのだが、何になりたいかまでは考えていなくてタクミはちらっと今いる部屋を見渡した。動物といっても色々いるが、この部屋の大きさを考えると大型の動物はやめた方がいいだろう。だったら小型の動物はどうか……と考えたところで、ちょうど最近白夜の神社付近で見かけた狐の親子を思い出した。ほっそりとした体にふわふわの尻尾がかわいいし、変身してこの部屋の中を素早く走り回ってみるのも面白いかもしれない。

「じゃあ狐でお願いするよ」

「わかった、じゃあ魔法をかけるからそこから動かないでね」

レオンが魔導書を開いて手をかざし呪文を唱え始めるとタクミの足元に魔法陣が浮かび上がり身体が光に包まれていく。思わず目をつぶり、タクミはドキドキしながらレオンが声をかけるのを待っていた。

……あれ? ごめんタクミ王子……目、開けていいけど……

「え? ……これって狐のしっぽ?」
 
 どこか歯切れのよくないレオンの言葉に目を開けたタクミの目に大きな尻尾が飛び込んできた。思わず手を伸ばして触るとふわふわとした心地よい感覚が伝わってくる……のだが、視界に3本くらいその尻尾見える。そもそも自分の手がそのままということは狐にはなっていないみたいだ。目の前のレオンはなんだか少し申し訳なさそうな表情をしているし、どうなっているのかよく分からなかったので、タクミは部屋に置かれていた大きな鏡の前へと駆け寄った。見れば、そこにはもっふもふの尻尾が九本生えて、狐の耳が生えた自分の姿があるではないか。

「うわ! ……もしかしてこれって九尾の狐?」

「そうみたい……僕、狐って言われた時にニシキ達のことを思い出して……

「あはは、そうなんだ。でもそれだったら僕はニシキの変身した姿になってそうだけど」

 どうやらこの魔法は術者の想像力に結構依存するらしい。それにしても、かなり中途半端な変身になってしまったことが不服だったのかレオンは魔導書をまた見返している。まだ解読できてない部分があるのかもしれないとぶつぶついいながら真剣に魔導書とにらめっこしているレオンの服の袖をタクミはちょいちょいと引っ張った。

「? タクミ王子どうしたの」

「この変身ってそのうち元に戻るんだよね」

「うん、それに関しては間違いないよ。効力は3時間ぐらいでなくなるってはっきり書いてあるから」

「じゃあ、せっかくだしこの尻尾とかレオン王子も触ってみない?九尾の狐、興味あったんだろ」

 普段の姿ではなかなか言えない言葉がタクミの口から自然と出る。いつもは抱きしめられるのも恥ずかしいけれど、この格好なら尻尾を触ってみたかったからというごまかしが効くのだから。レオンの前でふわふわとした尻尾を触ってアピールしてみると、レオンは魔導書を机に置いてタクミの頭を撫で、髪の間から生えた狐耳を優しくくすぐるように触っていく。

……それもそうだね。じゃあお言葉に甘えようかな」

 息がかかるほどタクミに近づくと、レオンはタクミの尻尾にそっと手を伸ばしてふわふわの感触を堪能し、一本の尻尾をそっときしめる。それに応えるようにタクミはたくさんの尻尾でレオンを包み込む。変身魔法は失敗だったけれどこういうのも悪くないなとタクミは思うのだった。