冬灯夜
2025-02-10 22:10:17
772文字
Public テイルズ色々
 
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夢のように鮮やかな

D2 ハロルド部下夢
超短い

わたしわたしあんたわたしわたしわたしあんたわたし わたしは困惑していた。
「硬い」
 わたしの太腿の上に広がる、鮮烈な赤紫色の髪に。
「聞いてるの、あんた?」
 その持ち主たる上司、ハロルド・ベルセリオス大佐に。
「き、聞いております」
「じゃあこのガチガチの寝心地をどうにかしなさいよ」
 そう言われましても!
 心の中で悲鳴を上げるが、そんなわたしのことなどハロルド大佐が斟酌しよう筈もない。ぺしぺしとわたしの膝を平手で叩いてくる。
 やめてくださいどうしたらいいの!! どうする気なんですか大佐!
「ぐっふふ」
 不意にハロルド大佐が笑い声を上げた。
「あんた、分かりやすいのよねえ」
「へっ」
「つまんないっちゃつまんないけど、面白くもあるから許したげる」
「あ、ありがとう、ございます……?」
 ぺしんっ、と一つ、強く(といっても彼女の力ではたかが知れているが)叩かれる。
「私、仮眠するから。さっさと力抜いて」
「へあっ、は、はいい!」
 力を抜く、力を抜く、力を抜く…………大佐が膝にいる状態でどうやって!! でも大佐の御下命なのに!!
 逆に膝を震えてきたわたしを大佐は呆れた顔で見上げる。
「枕よ、あんたは。枕。分かる?」
「はい、枕、枕です、今すぐに!」
 枕、枕、枕、枕、枕は動かない枕は心地よい枕は柔らかい……といいな、枕、まくら……
「ん。やれば出来る子よね、あんたは」
 大佐はそう言って笑ったかと思うと、次の瞬間には目を閉じてすやりと寝息を立てていた。
 わたしはただただ、その笑みと、重みと、ふわふわの髪の毛の感覚でいっぱいで。
 その御髪に手を触れてもいいかしら、なんて思いついたのは、大佐が十五分後に目覚めて資材を運んでくるよう指示されて、運び終わって、また別の用件を言い付けられてからのことだった。