tknyoko11
2025-02-09 23:56:17
2806文字
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2025 leokumiweek Day1 贈り物

何回も贈り物をしあったせいで、今年のレオンへの贈り物はこれでよかったのか悩むタクミの話 Japanese only
愛の祭りはFEHから引っぱってきた設定ですが、暗夜にはバレンタインみたいな風習は普通にあると思ってます。

もうそろそろかな」

 タクミは机の上に置いた贈り物の袋を見てそわそわとしていた。二の月にある愛の祭り……それは戦後、暗夜王国と交流するようになって教えてもらった大切な人への感謝の思いを伝え贈り物をするという行事なのだが、戦時中に親交を深めたタクミとレオンは毎年愛の祭りの日に贈り物をしあっていた。(もちろん、それ以外にも誕生日や聖夜の祭りなどでも贈り物はするのだが)そして、今年の愛の祭り当日、暗夜王国の近況を連絡しに来てくれるレオンへの贈り物をタクミは例年通り用意したのだが、今回選んだ贈り物はこれでよかったのかと今更ながら気になっているのである。
(うう、やっぱり別のがよかったかな。でも本はもう何回も贈ったし、この前は白夜の服で……それから……
 今まで贈ったものを思い返しながら、自室でタクミはう~んと一人唸っていた。当日になってこんなことを考えているなんて情けないが、レオンと贈り物をする回数が増えるほど何をプレゼントすればいいのかという悩みが少しずつ出てくるようになったのだ。最初のうちはお互いの趣味嗜好から好みの本やお菓子をプレゼントしたり、レオンに似合いそうなアクセサリーなどを贈ったりしていたが、何回もそうやってやり取りしているうちに似通ったものを贈ってないか、レオンが本当に贈り物を喜んでくれているのかが気になりだした。タクミはレオンの薦めてくれる本ならどれだけもらっても嬉しいが、レオンが同じことを考えているかは分からない。今回用意したのは最近二人の間で話題にしたものを連想させる贈り物ではあるのだが、これで本当によかったのだろうかとタクミは改めて腕を組む。

「タクミ様、レオン様がいらっしゃいましたよ」

「!  分かった、今行く」

 贈り物の袋を手にして慌てて部屋の襖を開けると、タクミは外で待ってくれていたオボロと並んでレオンを待たせている客室へ歩いていく。手にした袋を落ち着きなく撫でていると、不意にオボロから声を掛けられた。
「タクミ様、ひょっとして贈り物について悩んでます?」

「えっ!?  なんで?」

 ぎくっとしてオボロの方を見ると彼女はいたずらっぽそうに笑いながらタクミを見つめ返した。

「最近のご様子を見てたら分かりますよ。私としてはそんなに心配しなくていいと思いますけど」

「ううっ、そんなに分かりやすかった? でもレオンとは何回もこうしてやり取りしてるから、今回も喜んでもらえるか心配なんだよ」

 タクミの言葉にうんうんと頷きつつも、オボロは満面の笑みを浮かべながらタクミの肩を優しく叩いた。

「タクミ様が心を込めて選んだものなら、レオン様はどんな贈り物でも喜んでくれますよ! 間違いありません!」

「そういうものかな……

「ええ、そうですよ! ……それにしても、タクミ様とレオン様って本当によく似てらっしゃいますねぇ~」

 何が?と聞き返そうとしたところで客室の前についた。オボロはお茶菓子を準備すると言って厨房の方へ行ってしまったのでタクミは深呼吸してから客室に入った。中で待っていたレオンがこちらに手を振る。もちろんその腕にプレゼントを抱えて……。それにしても、この客室は暗夜の人用にテーブルと椅子が用意されている部屋なので座ってくれてていいのにと思いながらタクミはレオンの側へ駆け寄った。

「久しぶり。そっちは変わりない?」

「うん。白夜も変わりないみたいだね」

 その後いくらか国の近況を確認しあい、なんとなく話題が途切れたところでタクミはおずおずと袋を差し出す。さっきからレオンの視線が抱えたままの袋に向けられているのは感じていたので、もうこれ以上待たせても仕方ないだろうと思った。

「えっと、レオンいつもありがとう。これが今回の僕からの贈り物だよ」

「ありがとう。早速開けてもいいかい?」

 タクミが頷くと、レオンが袋のリボンをほどいて中に入っていたものをちょっと驚いたような表情で取り出した。それは2匹の子猫のぬいぐるみで、レオンはしばらくその2匹を見ていたが、何かを思い出したようにくすっと笑いだす。

「この子達は、この前白夜で見かけた2匹の野良猫と似てるね」

「うん。なんか、毛の色とか僕達に似てて面白いねって話したのを思い出して……

 レオンが以前白夜に訪れた時に城下町の外れで見た2匹の猫。どこか二人の髪色と似た毛色をした2匹の猫は一定の距離を取りながらタクミとレオンをからかうように駆け回って二人のことを引っ張りまわした後に、結局草むらの中へ消えていった。二人とも服にたくさんくっつき虫だらけになりながらも思わず顔を見合わせて笑いあって……そんな出来事を思い出すかのように、レオンは目を細めて子猫のぬいぐるみを優しく撫でる。

「確かに雰囲気とかちょっと似てるかも。それに触り心地がいいね。疲れた時とかに触りたくなりそうだ」

「えへへ……喜んでもらえてよかったよ」

 心の底からほっとしてタクミがそう言うと、レオンは不思議そうにタクミを見つめ返す。

「タクミは僕がぬいぐるみじゃ喜ばないって思ってたの?」

「えっ、な、なんていうか……イメージと違うかなって」

 そう、共通の話題として通じるとはいえ、冷静沈着なレオンがこのふわふわなぬいぐるみを喜んでくれる姿があまり想像できなかったのが、今回タクミを大きく悩ませていた原因でもあった。だが、レオンはおかしそうに笑いながらぬいぐるみを一度テーブルに置いてタクミへと贈り物の袋を差し出してくる。

「何言ってるの? 僕はタクミからもらったものなら何でも嬉しいよ。さて、僕からもお返しのプレゼント。いつもありがとう、タクミ」

「! う、うん……!」
 
 レオンの言葉にじわっと心の奥が温かくなるのを感じながら開けた袋の中には深い紫色の紙紐が入っていた。 紫の紐には一部煌めく色の糸が編み込まれて角度によってきらきらと輝いて見える。

「まるで前に二人でみた星空みたいだ」

「そう言ってもらえて嬉しいよ。タクミはいつもの髪紐が似合ってるからわざわざ贈る必要あるかなって心配だったんだ」

「そんなことないよ、ありがとう! 今から付けて見るね」

 そういってタクミは部屋に置いてある姿見の前に立って髪紐をほどくと、レオンのくれた紫の髪紐で髪を結っていく。レオンの視線を感じながら鏡に映る少しだけ雰囲気の違う自分の姿に思わず笑みが零れていた。
ーあぁ、レオンが選んでくれただけで本当に嬉しい。さっきオボロが言っていたのはこういうことなんだなと理解して、嬉しさのあまり思わずレオンに抱きついてしまったとことにオボロがお茶菓子を持って入ってきて、恥ずかしさからタクミはしばらくテーブルの下に引きこもって出てこれなかったのであった。