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toko-honey
2025-02-10 00:00:00
3375文字
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ドキドキ☆交換日記2【一歩前進】
レオン×タクミ。交換日記で仲良くなっていくレオタクのお話。1日1話の連載で全7話です。
Japanese Only
#leokumiweek2025
☆の月○日
なぜか交換日記をすることになった。日記は書いたことがあるけど交換日記って何なんだ。しかも相手が相手だし。
特に伝えたいことなんてないよ。だったら普通の日記を書けばいいのか。
今日はあん団子を楽しもうと思ったら邪魔が入った。最悪な日だ。あいつは物の言い方ってものを知らないんじゃないか。
これでいいだろ。終わり。
☆の月●日
日記を書くなんて子どものころの課題以来だよ。せっかくだから文章を書く練習がてらやってもいいかもね。でも交換日記といっても、日記の書き方も知らない相手とするんじゃあまともな交換日記にはならないんじゃないかな。無駄なことはしたくないし、適当に書いておくことにするよ。
補給部隊が無事に到着した。補給物資を確認したら予定どおりだった。オーディンは護衛の任務を無事に終えたようだ。今度褒めておこうと思う。
追伸:読める字で書いたことだけは認めてやるよ。
☆の月○日
日記の書き方くらい知ってるさ。いちいち勘に障る奴だな。交換日記は交換っていうくらいなんだから、普通の日記と違って相手に言いたいことを書くのかと思ったんだよ。カムイ兄さんはそれを期待しているんだろうし。
適当に書こうなんて、真面目にやる気あるのか?
今日の日記。ヒナタの出稽古に付き合って欲しいと頼まれた。戦時中で忙しいときだっていうのに何を考えているんだあいつは。そんなに行きたいなら一人で行けばいいのに。検分役だって別に僕じゃなくてもいいだろうに。
追伸:あんたの字、斜めに傾きすぎじゃないか?
☆の月●日
やる気なんてあるわけないだろ。そっちだってカムイ兄さんに言われたから義務感で書いてるくせに、偉そうなことは言わないほうがいいよ。そもそもそっちが突っかかってこなきゃ、僕はこんな面倒なことなんてしなくて済んだんだ。
とにかく日記を書くよ。
護衛任務の件でオーディンを褒めた。普通に褒めたはずなのになぜか不服そうな様子だった。オーディンの様子をよく見てみようと思う。
追伸:このくらい普通だよ。読めるんだから別にいいだろ。
さらに追伸:自分の臣下を信頼してもうちょっと大事にしたほうがいいと思うけど。
☆の月○日
それはこっちのセリフだよ。あんたが失礼なこと言わなきゃ僕だってこんな日記書いてないんだよ。あんこのこと、まだ許していないからな。
それと、臣下の扱いについての助言なんて大きなお世話だよ。あんたの臣下と違って僕の臣下は昔から仕えてくれてるよく知った仲なんだ。様子を見なくったってヒナタの考えていることなんてわかるさ。
今日だって出稽古の模擬戦を「道場破りだ」って楽しそうにこなしてた。あいつは気晴らしができてうれしいんだよ。明日も行くみたいだけど、そろそろ解放して欲しい。
朝、ノックの音にレオンが部屋の戸を開けると、仏頂面のタクミが立っていた。
「ほら、これ」
タクミに押し付けられて日記帳を受け取る。タクミはろくにレオンの顔も見ずに「じゃあな」と立ち去っていった。
レオンは立ったまま日記帳を開いた。タクミが昨日書いたページにさっと目を通し、表紙を閉じてポンとベッドの上に放り投げる。日記帳は少しだけ跳ねて、レオンのベッドの真ん中に居座った。
カムイに言い渡されたタクミとの交換日記は、恐ろしいことに数日間続いていた。二人とも、リーダーの命令を遂行するだけの分別はあったのだ。夜の間に自分の分をせっせと書いて、朝になったら相手に渡している。
カムイは相互理解をして欲しくて自分たちにこの課題を与えたようだが、レオンはこの行為に意味があるとはとても思えなかった。おそらくタクミもレオンと同意見だろう。日記の内容は、お互いへの文句か、どうでもいいことしか書かれていないのだ。相互理解への足掛かりになどなりようがない。
こんな日記を読んだり書いたりするのに時間を割くくらいなら、物資の入出庫帳でも眺めているほうが何倍も有益だった。カムイからの命令でなければとっくに止めている。
交換日記を始めて一週間したら、カムイが中身を確認することになっていた。そのときに日記の内容を目にすれば、カムイもこの交換日記が無意味で無価値だということに気づくだろう。それまでの辛抱だった。
レオンは宿舎を出た。今日は当番のある日ではないが自分の部屋にいたくない。なにしろ部屋にはあの日記帳があるのだ。気に食わないものとはできるだけ距離を取って過ごしたかった。
資料館に本を探しに行こうかと歩いていると、この拠点でもっとも気に食わないものが目に入った。交換日記の相手、タクミだ。ヒナタと一緒にいる。
幸いタクミはヒナタと会話中でこちらに気づいていなかった。少し遠回りをすれば視界から外れそうだ。
歩く方向を変えかけて、レオンは日記に書いてあったことを思い出した。今日タクミはヒナタと出稽古に行くはずだ。だったら向こうが移動するのを待ってから動いたほうが鉢合わせる心配がなくなる。レオンは立ち止まり、彼らを少し観察した。
タクミたちとは離れているので声までは聞こえない。だがどんなやり取りが行われるかの大方の予想はついていた。
彼らが一緒にいる姿はこれまでにも何度か目にしたことがある。同じ拠点にいるから、見ようとしなくても目に入った。
タクミは冷たく高圧的な態度でヒナタに接しているのが常だった。まるで気に入らない相手に取るような態度でだ。本当に気に入らない相手なら王族の臣下でいられるはずがない。ということは、タクミはヒナタに甘えているのだ。何をしても自分から離れるはずがないと高を括り、わざと冷たい態度を取っているのだ。
まるで幼子が親を試すような行為だとレオンは思った。子どもじみていて愚かしい。自分には何も関係ないとわかっていても、目にするだけで不快だった。部隊を率いるような立場の人間がすることではない。
だから交換日記の中でも臣下を軽んじるような書き方にカチンときて、もうちょっと大事にしろと苦言を呈したのだ。それに対する返事は「大きなお世話」ときたものだ。こちらの忠告なんて聞き入れないだろうなと思ってはいたものの、その返事を見てレオンは心底がっかりした。やはりタクミとは徹底的にソリが合わない。
今日もいつも通り、タクミは慕ってくるヒナタを邪険に扱って、不満そうな顔をしてしぶしぶ出稽古に行くのだろう。そう予想しながら見ていたのだが、今日は少々様子が違っていた。
始めこそいつものように、嫌々なタクミとそれに食い下がるヒナタの図であった。だが会話が進むと、なんとタクミは笑顔になったのだ。初めて見る表情に、なぜだか胸がドキリとした。
ヒナタもタクミと同様にニカッと笑顔になる。二人が語らう様子は楽しそうで、どこからどう見ても仲の良い主従の姿そのものであった。
その後もタクミとヒナタはにこにこと語り合い、そろって意気揚々と出かけて行った。
レオンはあっけにとられた。彼らの行き先は出稽古で間違いないと思われるが、交換日記にあった「そろそろ解放して欲しい」との文言はなんだったのか。というか、タクミはあんな笑顔もできるのか。朝見せた仏頂面と違い過ぎないか。
今の一連の出来事はレオンにとっていろいろと衝撃であった。
日記の上ではあんなに仕方なさそうだったのに、何が起こったのだろう。タクミのヒナタに対する態度の急な変化は何か原因があったのだろうか。もしかして、自分が書いたことが少しは彼に影響したのか。
そう思いかけてレオンは首を横に振った。
それはない。
彼はレオンの苦言を「大きなお世話」だと切り捨てたのだ。影響を与えたなんてまずありえない。おそらく、彼とヒナタとは旧知の仲だから、表面上は邪険にしていても根っこのところでは繋がっていたとか、そういうことに違いない。
資料館へと歩きかけ、レオンは再び足を止めた。
でも、もし、もしもタクミの変化に自分の言葉が関係していたとしたら。
レオンの脳裏に、先ほど見たタクミの笑顔がふっとよぎる。
もしもそうなら、もう少しこのまま交換日記を続けてやってもいいかもしれないと思った。
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