ぎんちき
2025-02-08 00:22:43
4659文字
Public ブン木手
 

魔法少年プリティ♡キラー

2021年に主催したブン木手女装ネタWebアンソロジー用に書いた内の1作です。
久しぶりに読み返したらあまりにもアホで意味がわからなすぎて、我ながら面白かったので再掲します。どうか何も考えずにお読みください。

 キラーとのやくそく

 わたしのかつやくをみるときは へやをあかるくして がめんからはなれてみなさいよ
 じゃないとゴーヤーくわすよ

   ♡

 わんの名前はカイ。ウチナーワールドからやってきたフェアリー。今は沖縄ってとこで暮らしてる。キジムナーじゃあらん。
 それとわんにはカイイ・ヌガテ・ヲ・カム・ノデって立派な名前があるんやしが……
「私としたことが、遅刻しそうだなんて……!」
 この、あわてぃはーてぃーしてる奴が勝手に縮めて呼んでくる。
「エイシローがいつまで経っても髪をいじってるのが悪いんばぁよ」
「かしまさん!」
 エイシロー……木手永四郎は、わんとの間にちょっとした『ヒミツ』を持っている以外は、至って普通の十五歳。『こうこうしんがくをひかえ、はるやすみをおうかちゅー』。今日はエイシローの恋人、マルイっていきがが沖縄まで来るとかで「スマートに迎えなくては」と張り切っていた。が、でーじなーとん。
 約束の時間よりは早く着きそうだってのに、必死に走っている。着いていくわんの身にもなってほしい!
「あぁっ。丸井くん、もういるじゃないですか……! ほら、カイくんはここに隠れて!」
「わ!?」
 飛んでいたところを突然掴まれ、エイシローの鞄の中に放り込まれる。それ自体はともかく、いつもよりやたらゴチャゴチャしてて……エイシロー、焦って適当に準備してたからな。……包帯? こんなもの必要ねーらん。

「ふふふ……お久しぶりですね、キラー。随分とお急ぎのご様子で」
「その声は!」
 外からエイシローを呼ぶ声が聞こえる。でも、それはマルイの声じゃない。というか、そもそもエイシローのことを「キラー」と呼ぶなんて……つまり、わったーの活躍を求められてるってこと。
 ちばりよー、エイシロー!



「その声は、君島先輩……? なんだってわざわざ沖縄にまでいらっしゃったんですか」
 非常事態なので、鞄から頭を出して外を覗かせてもらう。エイシローの前にいたのは、芸能人でテニス選手の君島育斗――というのは世を忍ぶ仮の姿。世界を脅かす悪の組織『アンダーグラウンド・セブンティーン』の幹部、キミジ・マセン・パイ。
 エイシローはチョロいから、いっつもあぬひゃーの口車に乗せられる。強敵やんどー!

「さぁ、交渉を始めましょう。以前提示した条件……悪くないと思いますが?」
「断固拒否します」
 おお、今回は! いいぞ、エイシロー。キミジマが片っぽの眉毛を上げた。あぬひゃーも意外そうにしてる。
 ……いや、それもわざと?
「アナタとは組みません。願い下げですよ、条件に『人前でも変身をすること』なんて入っているのに!」
 そこ!? 正義の為に悪と組むことはできませんとかじゃなく、そこ?!
「そこまで言うなら……残念です。ですが、このまますごすごと帰る訳にもいきませんからね」
 こっちに来る! と思ったが、キミジマはわったーに背を向けた。そして、エイシローの視線の先にいた奴に、声をかける。
「やぁ、丸井ブン太くん」
「え! キミ様?」
 そう、マルイ。下を向いていたからキミジマにも、エイシローにも気づいていなかったのか、しに驚いているみたいやし。ちょっと離れているここからもわかるくらい、身振りがしにまぎー。声も。
「あ……! マズいですね……
 エイシローの声は落ち着いていたが、明らかに焦りが滲んでいた。
「マズい?」
「えぇ……丸井くんは、その――

「どうして沖縄に!? 仕事とかですか……ってあんまり詮索するの、駄目ですよね! あ、あの、サイン! またもらってもいいですか!」
「ええ、もちろん」
「うっわ〜! やった。ありがとうございます!!」

――丸井くんは、君島育斗のファンだから……
 なるほど。とわんが納得するよりも先に、キミジマの放った黒服たちがマルイを囲んだ。
「なっ……卑怯ですよ!」
「卑怯? 油断したそちらが悪いんですよ。さぁ、キラー。どうしますか? 私の仲間になる、とただそのひとことだけで現状を打破できる……簡単な話でしょう。それとも、秘密を明かして戦いますか? 彼の前で」
「くっ…………!」
 説明しよう(一度言ってみたかったさー)! エイシローのヒミツとは……実は、わんと協力している為に魔法少女……じゃあねーらん。《魔法少年プリティ♡キラー》として世界の平和を守っていること!
 そして、エイシローは変身を知り合いに見られてしまうことが許されていないんばぁよ。……いや、実際はそんな縛りあらんのやしが、永四郎が「社会的に死にます!」とか何とかあびて勝手にそういうことにしてるだけさー。
 ……とにかく。黒服に囲まれていて多分見えにくくはなっているとはいえ、マルイが近くにいる状態ではエイシローは戦うことが難しい。これじゃあ世界が……何かわんにできること……――ある!
「ちょっ……! カイくん!? やめなさいよ!」
 エイシローの鞄に入っていたものを掴んで、飛ぶ! なま、エイシローがわんのことを掴もうとしてたんやしが、ギリギリセーフ!
「マルイー!」
「な、なんだ?!」
 黒服たちの間をかいくぐり、何とか辿り着く。マルイにちゃんと会ったのは初めて……なんてことを考えている暇もなく、わんのやるべことをする。
「な。んだ、これっ! 包帯……!?」
「エイシロー。わんが丸井の視覚を奪った! 今のうちに、変身するさー!」
 思いっきり叫ぶ。行け、エイシロー!
「そういうことですか。君にしては、やりますね!」
 エイシローが鞄へ手を入れ、金色のコンパクトを手にした。表面は紫で、黄色の花が象られた、ゴーヤーパクトを!
 パクト開き、ボタンを押せば七色に輝く眼鏡――《スペクタクルズ》が天へ向かって飛び出す。それをしっかり掴んで目元へかざしたエイシローが、言う。

「プリティ♡チャンプルー! ギヴ・イット!!」

 眼鏡から放たれた七色の光がアイツの身体を包む。両手両足を伸ばして、波に身を任せるみたいにすれば!
 セーラー服みたいな白くてまぎー襟の下、花弁みたいな形の紫のスカートが形作られる。花弁の間からは白と薄い黄色のフリフリが見えて。
 そしてこれまた白の、長い靴下。んで、似た感じの長い手袋。こっちは手首のところに紫の線。首にチョーカー、足にパンプス。どっちも濃い紫。
 ゴーヤーパクトは襟の間にあるリボンの真ん中へ。最後に帽子を被ったら!
 右脚引いて、右手で眼鏡上げて……
「天からの御指名ですか。やれやれ……
 次に眼鏡から手を離し、真っ直ぐ前を指差して。よし! すっかりとサマになってるさー!

「プリティ♡キラーがいる限りこれ以上のオイタは許しません!」

   ♡

 夏ですね! プールですよ! うわぁ、おめめが真っ赤じゃないですか! そこで、キラーこどもソフトですよカイくん! しみないでしょう? ゴーヤーケースに入れなさいよ。
 キラーこどもソフト♪

   ♡

「くっ……!」
「プリティ♡キラー!」
 キミジマだけだったらこんなに苦戦することはなかった、はず……
「二対一だなんて、随分と良い趣味をされていますね……!」
 今日の敵は、もうひとり。遠野篤京こと、トオ・ノセン・パイもいたなんて……
「ふん、ならお前も二人で戦えばいいんだよ!」
「そうです。我々のようにね。例えば……あの、ガムくんと」
「ムリだろうがなぁ~!」
 絶体絶命。そんなことばがわんの中で膨らむ。プリティ♡キラー……いや、エイシローはどんな手段を使っても勝ってきた。やしが……こればかりは……
――カイ、だっけ」
「げっ」
 突然横から話しかけられたので咄嗟に声の方を見ると、マルイに巻いた包帯がすっかり解けていた。マルイはプリティ♡キラーの服みたいな色をした瞳で、じっと戦いを見ている。
「あー……あのさ。キミ様って、敵、だったんだな」
……は?」
 そもそも、わんを見て驚かないんばぁ? と、むしろこっちが驚いているとマルイの鞄から、わんと『似たやつ』が顔を出した。
「んだよも~。ジャッカルお前さぁ、そういうのは事前に教えとけって!」
「俺かよ!? いや、前に言ったけど聞いてなかったのはお前だろ……
「え? そうだっけ。あはは! ……とにかくさ、この状況はキテレツを助ければいい。だろ?」
「ま、マルイ……やー、まさか!」
 わんは見た。マルイが元々手首につけていた黒くて重そうなものから、黄色のリストバンドへ付け替えたのを。そして、右手を高く掲げてから左胸の前に下げ、こう叫んだのを。

「いくぜ! メイク・ア・ジーニアス! ラブリィ☆チェンジ!!」

 マルイの身体が光に包まれた。白いシャツ。白いスカートみたいなズボンみたいなもの。薄めの白いタイツ。その上に黄色い服――後でエイシローに聞いたところによれば、ブレザーとエンビフクを組み合わせたように見えた、と言っていた――。茶色のブーツ。胸にはピンクのネクタイ。そして、頭にはネクタイと同じ色のカチューシャ――から、まぎーリボン。
「来たるべきチャンス到来、だろい」
 右手を腰、左手は薬指と小指を曲げたものを顔の方に持ってきて、ウインク。

「ラブリィ☆ジーニアスの妙技、しっかり見とけよ」

 わんはただただ、呆然とそれを見ることしかできなかった。我に返ってエイシローの方を見てみたら、アイツも普段なら絶対しない、口を半開きにしたままの状態で固まっていた。
「丸井くん……アナタも……?」

   ♡

​ あぎじぇ! 丸井も魔法少年だったんばぁ? ああ。隠してるつもりはなかったんだけどな! とにかく、俺が出るからにはこれ以上キミ様たちの好きにさせねぇよ。さぁ行こうぜ、キテレツ!

 次回、魔法少年プリティ♡キラー!



 次回も見ないと……ゴーヤー食わされるんばぁよ!