三毛田
2025-02-06 22:19:10
1069文字
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95 095. 健気な子犬のように

95日目
あなたに甘える

 庇護欲をそそるというか、つい甘やかしたくなってしまうようなそんな鳴き声。
「可愛い?。撫でてもいいですか?」
 尻尾をブンブン横に振り、期待を込めて見上げてくる子犬と同じ目線となるように座り込んだなのは、リードを持つ飼い主を見上げ。
「ありがとうございます! よしよし。可愛いね?」
 許可をもらい、そっと手を差し出して。子犬が自ら体を擦り付けてきたので、優しく撫で始める。
 そんな光景を、少し離れたところで眺める俺と丹恒。
「丹恒先生」
 甘えた声を出しながら、肩に顎を乗せると指先で顎を撫でた後頭を撫でてくれて。
「くぅん」
「ずいぶんと甘えん坊な大きい犬だな」
 優しい表情と声色。
 今すぐキスしたいくらい。
 でも、外だから我慢。俺は、我慢できるいい子だから。
「ありがとうございました! バイバイ!」
 なのは元気に手を振って。相手の犬も、満足したようにワンと元気に鳴いて尻尾を振る。
「三月、動物に触れたのであれば手を洗え」
「わかってるよ~」
 お店の外の水道を借りて、手を洗う。俺も一緒に手を洗ってから、丹恒先生に拭いてもらう。
「もう。丹恒、穹のこと甘やかしすぎ」
 自分のハンカチで手を拭いていたなのは、呆れたようにこちらを見て。
「いいか、三月。これくらいしないと、こいつは濡れた手のまま走り回る。そして、せっかく綺麗にした手を汚す」
「そんなこと」
 ないと言い切れないのが、悔しいところだ。
「あー……
 なのもなので、納得したような表情を浮かべている。
 二人ともひどくない?
「穹を、先程の撫でて欲しくて健気な表情やら行動をする子犬のようだと思ったら、大間違いだ。甘やかすところは甘やかしていい。だが、締めるところは締めないとひどいことになる」
「納得。ただ甘やかしてるだけじゃなかったんだ」
 なのが若干尊敬するような表情を向けたが、丹恒はそっと視線を逸らす。
 さっきのは、ただ甘やかしてくれてくれていただけだよ。
「行くぞ。必要な買い物を終えたら自由時間にしていいと聞いている」
「本当? 速くしよう! 自由時間が無くなっちゃう」
 と、彼女は俺たちの腕を引いて、歩き出す。
「自由時間、何に使おうかな~」
「集合時間は守るんだぞ」
「わかってるって!」
 今にもスキップしそうだが、巻き込まれても困るのでそっと手を離す。
 そして、それぞれで分担して買い物をし、何とか自由時間を確保。
「丹恒、これはどうだ?」
「悪くないな」
 なのと別れ、丹恒とデートする。
 もちろんすごく楽しい。