いさき
2025-02-06 11:11:52
786文字
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ブレ匁

「浮かれてんじゃねーか」

 薄明かりの中、乱れた服の間から覗く肌がやけに白くて、とてもいやらしかった。
 普段は手指まで手袋できっちり肌を隠しているせいか、直接触れた指も熱くなった肌も、いつもフードで隠れている表情がよく見えることも、すべてが俺は彼の特別なんだと思わせて、酷く興奮した。
 事を急いて来たままの衣服が汗で貼り付く。熱くて頭が回らないのは、服のせいか、貪るように食いついているせいか。暑くて堪らなかった。
 伸びてくる腕に引き寄せられて唇を合わせて、その間からも熱を奪い合う。湿った熱い肌で触れ合って、潤んだ瞳で見つめられ、熱い息を吐き出す唇が俺の名をーーーーー


「いい加減にしろ!」

 頬杖をついていた頭を丸めた紙で振り下ろすように殴られた。痛くはないが、油断していたせいで驚いた。

「なんだよツルギ」

 頬を膨らませたツルギが、俺の頭を叩いた紙をぽんぽんと肩に当てながらこちらを睨む。ツルギの隣で匁もじっとりとした目でこちらを見ていた。

「どーせスケベなことばっかり考えてるんでしょ!? 顔に出てるわよ、このスケベ猿!」
「ドン引きですよ、スケベ猿」
「スケベ猿ってなんだよ!」

 ツルギは何か言いたそうに目を細めてじっとこちらを見つめてくる。匁はとんとんと手元の紙束を整えた。

「一日中そんなことしか考えてないんじゃないんですか? 我らが王なのに」
「やっと甘えてくれた恋人のこと考えてちゃいけねーのか? 王でも一人の人なんだよ!」
「ハッ、ぬるいことを。昼間くらい王としてきちんと振る舞ってくださいよ」
「王である前に人なんだって」
「はいはい、夜になら甘やかしてあげますから頑張ってください」
……嘘じゃないな?」
「え? ……あっ」



「どっちも浮かれてんじゃねーか」

 ツルギとともに一部始終を見ていたキザミが、乾いた笑いを浮かべていた。