珍しくロナルドくんが「これが食べたい」と言いながらスマホを差し出してきた。自らリクエストなんて珍しいなと思いながら差し出された画面を見てみると、そこには「余ったポテトサラダでつくる!いろいろアレンジレシピ」の文字が大きく表示されている。ロナルドくんはそのうちのひとつを指差して、「これさ、」と言った。
「これ食べてみたくて。昨日の夜食ポテサラだったじゃん?」
「ああー…」
確かに昨晩の副菜はポテトサラダだった。が、それらは既に昨日のうちに全てロナルドくんとジョンの胃の中である。ていうか、そもそもうちでポテトサラダが翌日まで残ることはまず殆どない。ロナルドくんもジョンもおかわりをするので、作りおきの甲斐無く大抵その日のうちに全部食べきってしまうのだ。
一応材料は揃っているから作ろうと思えば作れなくはない。が、正直2日連続で同じメニューを作るのは少々面倒くさい。ていうかアレンジレシピのためにわざわざ作るのは本末転倒なのでは?と色々考えながら、うーんなんと言って誤魔化すかと答えに迷っていると、ロナルドくんは何か察したのか「…もしかして、もうない?」と眉を下げ、とても残念そうにそう言った。
………。
ぐう。
「う、ん、まあ……………今から作ればある、けどぉ…!」
「おっマジ!?今日食べれる?」
「ま、まあ……昨日作った分はもう無いから、ポテトサラダは作りなおすから少し時間はかかるが…」
「やったー!あっ!じゃあ俺じゃがいも潰すの手伝うぜ!」
「うん…ありがとう……」
負けた。完敗だ。完膚無きまでに完全敗北である。何を隠そう、私は本当にロナルドくんのあの顔に弱いのである!全く、何とか誤魔化そうかと考えていた数分前の私は一体どこに行ったのか!
しかしまあどんなに断る理由を考えたところで、彼にあんな悄気げた顔を見せられては簡単に「また今度ね」とも言えないのである。
っていうか、食べられそうと分かった側からあっからさまに嬉しそうに顔輝かせおって!!何なら「ぱぁ!」って効果音ついてるのまで見えたわ!私がきみのそういう顔に弱いって分かってやってるのかなぁ!?ていうかそんなに食べたかったのか!?可愛いな全く!!
…とは、まあ。直接本人には言えるはずもなく。
もう言ってしまったからには作るしかないのだ。側でそわそわワクワクしている5歳児を宥めつつ、置いたままにしていたエプロンを手に取ると、ソファの向こうで一部始終を見守っていたらしいジョンが「やれやれ…」という顔で、仕方なさそうにこちらを見ていた。
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