2025-02-02 18:45:05
1002文字
Public SS・小話
 

1000字にて恋

『恋』という物語を始めるための、「おまえ」と「きみ」の会話劇。
(pixivの1000字ボトルメール企画に投稿した作品です。)

「pixivのさ」
「うん」
「1000字の」
「1000字の?」
「そう。公募の。コンテスト」
「へぇ。応募、するの?」
「うーん。考え中」
「そっか。手伝う?」
「いいの?」
「ご褒美、くれるなら」
「ごほうび」
「そ。万年筆セット」
……。コンテストのこと、知ってた?」
「知ってた。ちょっと、ニヤニヤしてた」
「するなよ。言ってよ」
「楽しそうなの、面白くて」
「面白がるなよ。ずるいな」
「ずるいかな」
「ずるいよ。いつも大事なこと、言ってくれない」
「言うよ?おまえには」
「じゃあ、言ってよ」
「なにを」
「大事なこと」
「んー。じゃ、教えて」
「なにを?」
「1000字の話。どんなのにする?」
「どんなの?…………そうだな。1000字で、恋が始まる」
「恋」
「そう。好きな奴に、好きって言えない奴が、好きって言う」
…………へぇ。1000字で、言える?」
「言えるよ。それが応募要項だし」
「どうかな。そんな簡単じゃないよ」
「恋が?」
「物語も。そんな、簡単じゃない」
「そうかな。俺は、簡単だと思う」
「どうして?」
「俺が物語の支配者だから。『好き』ってこと、俺は、知ってるから」
「なにそれ。ずるいな」
「ずるいよ。作者ってずるいんだ」
「じゃ、おまえもずるいんだ」
「うん。ずるい。ずるいから、聞いてみたい」
「なにを?」
「きみの気持ち。想い。そういうの」
「なにそれ。聞いて、どうするの」
「答えたい」
「応えたい?」
「そう。聞かれれば応えられる。俺の答えを」
「じゃ、おまえが先言えよ」
「言わない。これは俺の描く物語なんだから」
……なにそれ。ずるいな」
「うん。ずるい」
……。なら……もしも僕が。おまえを。好きって。そう……言ったら。」
「うん。」
「おまえは……どう、応えるの?」
「好きって答える。恋は、始まるから」
「始まる?」
「始まる。だってもうすぐ、1000字になる」
「824字」
「831字」
「もうすぐだ。始まるかな?」
「始まるよ。……きみが、好きなんだから。」
「ぁ、ンっ!」

「──。」

「どう?始まった?」
「わかんない。でも、ドキドキしてる」
「俺も」
「本当?」
「本当。すきだよ。」
「そっか。」
「うん。」
……でもさ。これさ。この話?」
「ん?」
「ボトルメールのテーマ、どこ?」
……。あぁっ!」