三毛田
2025-02-02 13:35:07
1059文字
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91 091. 君の唄が聞こえる

91日目 俺の好きな歌声

 今日も今日とて部活の助っ人を頼まれて。でも、他の人よりは早く帰らせてもらえるので着替えて帰ろうとしたら、歌声が。
 そうっと覗くと、黒髪と銀髪。
「丹恒さん。あなた、自分で思うよりいい声をしているわ」
「そうだろうか」
「ええ。今のあなたに足りないのは、自信ね」
……あっても、仕方ないだろう」
「クラス対抗の合唱で、みんなに迷惑をかけたくないと言ったのはあなたよ? 今足りないのは、自信だけ。音程も、歌声もしっかりしているもの」
 わかる。この間カラオケに行ったときも、すごく綺麗な声で歌っていた。
 丹恒に足りないのは、自信。自分なんかが……。みたいな部分がある。流石はロビン。よくわかってる。
「手を後ろに。そう。足は肩幅で。もう一回、サビだけ歌いましょう」
「ちょっと待って。俺も参加する!」
「穹?!」
「あら。飛び入りは大歓迎よ」
 彼らを二人きりにさせるのが嫌っていうのじゃなくて、ロビンだけ丹恒の歌声を聴いてるのがズルい。そっちの気持ちが大きい。
「お前、助っ人は」
「終わって、帰るところ」
「なら」
「丹恒が居るなら、一緒に帰る。練習するなら、俺も付き合う」
 譲らないから。というように見つめると、諦めたように詰まらせていた息を吐いて。
「好きにしろ。歌詞は覚えているか」
「サビだけなら、大丈夫」
「ふふ。サビに入る少し前から、伴奏を開始するわね」
「頼む」
 先ほどロビンに言われた通りの体勢を取る丹恒。俺もそれに倣い、彼の隣に立つ。
 伴奏に乗り唇から出たのは、先ほどよりも力のある歌声。
 途中で歌うのをやめて、聴き惚れてしまうほど魅力的なもの。
「穹、お前……
「あらあら」
 丹恒は呆れたように。ロビンは、楽しそうに笑いながら。
「丹恒さん、今の歌声はとても素敵だったわ。穹さんは、本番では今みたいなことがないように」
「はい。ロビン先生」
 ペロッと舌を出すと、くすくす笑われた。
「穹さんが隣に居たからかしら。ほどよくリラックスしていて、でも、力強さがあって。私は好きよ」
「俺も俺も!」
「ありがとう。あなたに言われると、自信に繋がる」
「それなら安心ね」
「ところでさ。何で今回は伴奏なんだ?」
「兄様に負けたくないの。隣のクラスは兄様が伴奏するでしょう?」
 あー、なるほど。負けず嫌いというやつか。
「それに、私のレベルに合わせるとみんなの練習が大変だと思って」
「それは、そうだな」
「さすがにスパルタすぎて音を上げるよな」
 二人で頷くと、彼女は苦笑して。