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ほしのまなつ
2024-05-21 05:20:04
5246文字
Public
:ドルパロ
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🥞🎩3️⃣/あくまでアイドル!
これが、千年王国……!
※『副業:アイドル』やってるふたり
※とあるミレキンファンによる推し活記録
・
・
・
「うそ!? もうサムネきてる!! ハー
……
番組公式チャンネルのおかげで、地方民も見られるのありがたい
……
っ」
公開する時間が、金曜夜なのもありがたい。真夜中に踊り狂っても次の日が休み、ありがたすぎる。
本当は午前中にやっているのだけれど、公式の動画チャンネルでの公開がこの時間なので、ネタバレ解禁もみんなそれに合わせてくれている。
古参が言うのもなんだが、ほんとうに治安がいい。
「あ~~~今日のサムネも理解ってる。黄色いエプロンでおぼん両手もちしてる3世くん、この世の宝じゃんね
……
」
『国民の孫』などと世間から呼ばれるようになった私の推し。
ミレニアムキングダムのメフィスト3世くん。
歌っちゃうとバチクソにかっこいいのに、エプロン姿でスタジオ内をちょこまかと動き回る姿がきょうも愛くるしい。投げ銭したい。
「まって、ももかさま、ピンク髪にツインテだ!!?? さいこうじゃん」
3世くんのとなりで、豪快な腕まくりをしている美少女、星宮ももかちゃん。一挙一動が大振りなので、腕まくりがマエケン体操みたいになっちゃってる。最高。
カムバのMVがピンク髪だったけれど、そのまま継続するらしい。あの髪型だいすきだからうれしい。二次元か?
そう、これはももかさまと、3世くん、わたしの推しふたりがでている朝の情報番組
……
の切り取り動画。もちろん公式だ。
月に一度、料理コーナーがありその枠をももかさま、ことアイネクのももかちゃんと担当しているのだ。
アイネットワーク(i☆network)略してアイネクは、私が応援しているミレキンと同時期に浮上してきた大所帯のガールズグループだ。
星宮ももかという名前は本名で、名前の通り人形のようなふわふわした砂糖菓子のような美少女。
3世君のレギュラー化に喜びつつ、もうひとりアイドル使うの? などと、
ももかさまのことをよく知らなかった頃は、3世くんの尺減るじゃん
……
だなんて身勝手なことを思ってしまっていた。
そもそも、推しに恥ずべき思考である。猛烈に反省したい。
――
あれは、番組がはじまってすぐの頃だった。
ももかちゃんは試食役で、ちょっと独特だけれどうまくコメントをまとめていた。
『次は横入り企画! アイネクのお嫁さんにしたいナンバーワン、ももかちゃんやってみよっか!』
あれは台本になかったのだと思う。本当に。
突然、料理をする側に指名され、彼女のビスクドールのような顔が白を通り越して真っ青になっていたのをみて、ほんとうに料理が苦手なのだと思った。
若い女の子が料理をする不慣れな場面をとらえて、笑いものにするコーナーだ。
ゲストの若手俳優もどう反応すればいいのか分からないようで、困惑気味だった。
女の子に寄りそっても、番組の主旨どおり笑っても、どっちも叩かれることが目に見えている。
(あ、こういうコーナーやっちゃう番組なんだ
……
)
ひどく落胆したし、せっかくのレギュラーに喜んでいた気持ちが一気に沈んだ。
3世くんはみたいけれど、わたし向きじゃない番組だ。切ろう。そう思った
……
瞬間だ。
『これ、パパの得意りょうりです!』
ふひっと笑う悪魔の子が、きいろいエプロンに手早く着がえ、ぴょこんっと画面に現れたのだ。
――
え
……
?
てんし
……
???
いや、ミレキン公式設定では悪魔だけどてんしだ?
キッチンの妖精か?
気づけばスマホをそっと閉じて、PCを立ち上げていた。これはでっけぇ画面で見たい。
凍りついていたももかちゃんや、突然の嘲笑モードにとまどっていたゲストの表情もゆるんでる。
『なに笑ってんですか! うちのパパのごはん、すごく美味しいんですよ!』
『おれもお手伝いしたことがあって
――
、』
『裏ワザだけはちゃんと覚えてるんです』
『忘れちゃってるところもあるから、いっしょにやりましょ?』
へ~~~~~
キッチンの妖精さんって、きいろいエプロンなんだ~?
かわいい。こんなにかわいいのに、ももかちゃんへ差し出す手がやさしい。
ちいさな王子さまだ。すき。
そう。
すっかりかっこよくて可愛い推しに私はメロっていた。
――
ももかちゃんが包丁を、握りしめるまでは。
『わたし、ヤッパ握ると性格が変わっちゃって
……
っ』
ヤッパ
……
?
性格が変わるのは置いといて、いや置いとけないけど
……
ヤッパ
……
?
包丁のことヤッパ(※刃物の隠語)って言わなかったこの子?
わたしはオタクでもあるので、分かるけど、一般の女子から出る単語じゃない。
そんなかわいらしく頬をベビーピンクにふんわり染めながら言うセリフじゃない。
なんかこう、役柄であったのかな? と。
聞き流すことにしたけれど、それはすぐに打ち砕かれた。
え????
ハチミツとクローバーを読んでいたと思ったら、
これゴルゴサーティーンだった?
液晶画面から滲む作画が違うのだ。
あれ
……
? たしかにハチクロだったよね、さっきまで?
3世くんは3世くんで【作画さいとう・たかを】になってしまったももかちゃんが、
料理用の包丁からは想像つかない音を立てているのに、『じゃあ、おれはいまのうちにお出汁取っとくね』と普通に会話している。
するどい眼光は役作りだとしても、心なしか眉毛までふとい気が
……
太いな????
3世くんがリアルばんびちゃんのままなので、余計に画面がおかしいことになっている。
(え、なにこの番組
……
っ)
ちなみに幻覚ではなく、みんな同じものを見ていたようでSNSでは、ゴルゴの仕事用擬音『ズキューン』があふれていた。
アイドルのクッキングコーナーだと思ったら、ディズニープリンスがデューク東郷と獲物を料理するシーンだった。
こんなおもしれぇ料理番組ある???
――
それからだ。
この番組が人生の楽しみになり、私がももかさまにハマってしまったのは。
先日やっていた、リアルタイムでファンの質問に答えていく動画では
『上着ぬいでくれたら天使!』とかいうクソコメに、
『わたし女神なのでぬぎません♡』
と、なっとくの女神フェイスで即答していた。好きすぎる。
例の料理コーナーにはやっぱり指摘が入ったのか、すこしテコ入れをしたらしく食材を手に入れるためのクイズが追加されていた。
アイドルのダンスプラクティス動画をみながら、Pをはじめとするオジ
……
みなさんがダンスし、それがなんの曲か当てるというものだ。
おもしれぇ女とちいさなプリンスによる料理シーンと、よたよたと踊るおじさんが痛み分けをする番組。
しかも正解用に、なかなか地上波では見られないアイネクとミレキンのMVまで流れる。最高か。
そのうえ、わたしが踊り狂った第五回放送。
『「あくまと踊れ!」 ラスサビまえの! あくまくん!』
『大正解だけど細かすぎない??? 3世君???』
『これ本当はおれとシンメの悪魔くんが右をみなくちゃいけないのに、左むいちゃって!
そのせいで、おれとばっちり目があっちゃって
……
びっくりして顔に出ちゃったおれも悪いんですけど、
悪魔くんちょっと笑っちゃって
……
そのせいでおれがフリ間違えたみたいになっちゃって、ですね!!!
悪魔くんの笑顔が貴重だからって、公式ダンス動画もそのままなんですよ??? もー悔しくって覚えちゃいました!』
え
……
なにその可愛すぎる裏話。
ありがたすぎる。
問題の動画はすでにファンによって検証されていて、3世くんはたぶんそっちを知らない。
一郎くんが間違ってるのも一部界隈では有名だし、
一郎くんがわらっちゃったのはぽかん顔の相棒がかわいかったからだよ
……
と、我々にはバレバレになっている。
無表情な一郎くんが、わずかに口元をゆるめるとき、だいたい
……
でなくすべて3世くんがらみなのだ。
これはミレキンwikiに載ってます。
『BL営業おつwwwww』だの『必死すぎ』だのと言われる度、
雨の中、初舞台のティザー広告を手渡ししていた3世くんに不器用に傘をさして肩を濡らしてる一郎くんだとか、
そんな一郎くんにぽこぽこ怒りながら傘を傾けようとして、ちいさな肩が濡れちゃってることに気づかない3世くんだとか、
それ見かけて残りの広告ぜんぶもらって職場に配った初期エピソードをタイムラインに流し続ける、ミレキン古参なのだ、わたしは。
『嘘松』などと言われてしまうこともあるが、残念でした~~~!
公式ブログに、雨上がりの虹の写真をのせた3世くんと、撮影中の3世くんと一郎君の後姿を激写したパパの記事が残ってるんです~~~。
話しがそれた。
ついついミレキンのことになるとスイッチが入ってしまうが、普段はあたたかく二人を見守るいちモブファンなのだ。
今日は記念すべき第十回放送である。
ピンク髪ツインテのももかさまは今日はヤッパを握ることはなく、きゅるるん美少女フェイスだった。
そう。バカでけぇ~声で『3世くん! メシてぇてぇてぇぇ!』と叫ぶまでは。
テロップに(岡山弁:ごはん、炊いといてくださいの意味)が表示される。
いやいやいや、おじいちゃんおばあちゃんですら、かろうじて使うやつだ。わたしはオタクなので分かるけど。
ももかちゃんは時おり、ものすごい岡山弁をぶっこんでくることがあり、その
……
好きです。
(え
……
?)
愛嬌のかたまり。
国民の孫。
リアルばんびちゃん。
そう呼ばれ愛くるしさをお届けしてきた、3世くんが
――
へにょっとまゆをよせて
……
こまり顔をさらして、いる
……
?
時間にしたら数秒だ。
なのに、なんだ、この破壊力は。
3世くんは空気をものすごく読める子なので、ももかちゃんの必死の訴えと炊飯器へ向けた目力ですべてを察したらしく、すぐにごはんへの準備に取りかかっていた。
じぶんが無防備な顔をしてしまったことに気づいているらしく、ちょっと耳のふちが赤い。
プロであろうとする姿と、かくしきれぬ初々しさ。
五億点
……
。
記念の第十回目は、こうして幕を閉じた。
金曜の夜は踊り狂い、三日ほどSNSでトレンド入りしたワードを見ては、やっぱり踊り狂った。
『3世くん』
『困り顔』
『(´・ω・`)?』
『国民の孫の破壊力』
『おもしれー女がやりました』
『ももかさま』
『ももか感謝祭』
――
最高。
ももかちゃん本当にすき
……
っ
・
・
・
そして、今日は何にもない金曜日
……
じゃない。
地上波にミレキンが出ています。ありがとう世界
……
っ
私は正座で待機して、なんなら興奮が抑えきれず、スクワットしていた。部屋の隅で。
『そういえば例の料理コーナー大好評だって?』
『ええ、先週十回目を迎えて
……
』
『ファンの子かな、動画あがってるの見たよ~~3世くんにしてはめずらしいね』
お???
これは裏話がきけちゃう?
思わずスクワットの体勢のまま、私はTV画面ににじり寄っていた。
公式チャンネルでは『番組名、動画リンク』を添付してくれれば、短い動画の切り取りやスクショOKとなっている。
3世くんのあの困り顔は、実際に貼られまくっていた。
『なんか、3世くんのあのスクショ載せると、一郎くんからいいねが飛んでくるって聞いたんだけど』
「それ~~~~~~~!!!!!!!!!」
うっかりバカでかい声を出してしまったが、それ、それなのだ。
一部ファンには怯えられていたが、あまりタイムラインでお見かけしない一郎君がめずらしくイイネを押しまくっていた。
ぼくの相棒の痴態を載せたヤツ、見てるぞ
……
ってこと??? などと怯えられていたが、まあ普通に話題になっている相棒が気になっただけだろう。
(すごいな。司会の人)
(ミレキンのことちゃんと調べてくれたんだ
――
)
そう、ほっこりしていた。ワイドスクワットのままで。
だがこの体勢が保てていたのは、そこまでだ。
『
……
ぼくも、見たことがないメフィストの顔だったんで』
は??????????
え????? なに?????
いやいやいやいや、
キャーーーーー! じゃないのよ、スタジオ。
3世くんの???? じぶんでも見たことがない表情だったから???
ひっしにイイネ! 押しまくって
……
眺めてたの
……
??????
氷のプリンスが??????
氷点下のメシアが?????
「
……
っ
――
」
がくっと、膝から力が抜ける。
どうしよう、今夜もミレキンに踊りくるってしまう。
ミレキンには、千年王国というものを目指している設定がある。
設定だとおもっていた。だけどちがう。
「
……
これが、千年王国
……
っ」
・
・
・
(※地方在住モブ古参ファンさんが、ナイトフィーバーするはなし)
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