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ちよど
2025-02-01 13:38:27
13614文字
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わし様など
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練習1P 2025年1月分まとめ
#練習1P、のタグで書いていたもの。
わし様中心SS。節操なくCP混在。
■2025/01/29 No.547
現パロ ビマヨダ
「ほぼ間接キス」
カウンターに並ぶいろとりどりのスイーツ。さざめく女性たちの中に大柄な男がふたり紛れ込んでいた。
「なんで俺なんだ?カルナやアシュヴァッターマンの方が喜ぶだろう?」
何も聞かされずに連れてこられたビーマに持たせたトレーにドゥリーヨダナは次々と凝ったデザインのスイーツを乗せていく。今の季節のビュッフェはいちごが多い。トレーの上はまるで花畑のように赤色が広がっていた。
「わし様もそう思うが、これはおまえでなければならないのだ。──おまえは何も考えなくていい。ただわし様の前で口を開いてさえいればいい」
「意味が分からねぇ。悪巧みしてんじゃねぇだろうな?」
「いくらわし様が天才の閃きを持っているからと言って、こんな場所で騒ぎを起こしたりせんわ。ほら黙って座れ」
促されて席に腰を降ろしたビーマからドゥリーヨダナはスイーツが山盛りに乗ったトレイを自分の前に引き寄せた。ひとくち。
「うんまぁい」
表情を緩めたドゥリーヨダナにまだ疑惑の眼差しを向けるビーマに一口分だけ欠けたスイーツが差し出される。
「食っていいぞ」
「──おまえの残した分を全て片付けろって事かよ」
大きなため息をついてビーマは口を開けた。食べかけのスイーツがその中に吸い込まれていく。
■2025/01/28 No.546
ビマヨダ
「おまえは王に向いてないな」
「野蛮だな」
森から出てすぐの頃。差し出された料理を空にした俺にスヨーダナは顔をしかめた。
「そういうおまえは行儀が悪いじゃないか」
スヨーダナの皿に食べ残りが冷めているのを指摘すると、スヨーダナは馬鹿にしたように笑った。その意味を俺は死ぬまで分からなかったが。
「野蛮なんじゃなかったのかよ」
カルデア食堂の料理をきれいに平らげてカウンターに皿を返しに来たドゥリーヨダナにそう言うと、こいつはおかしそうに眉を動かした。
「おまえ、本当に分かっておらんかったのか。──ユディシュティラのやつもわし様と同じ食べ方をしておっただろうに」
「兄貴は食が細ぇんだよ」
俺の答えにけらけらと笑ったドゥリーヨダナはぐるりと周りを見渡した。
昼時の食堂には古今東西の英雄達がひしめいている。その中でドゥリーヨダナは周回仲間のモルガンに手を振った。
「女王!おぬしは宴で出された食事を全て平らげた事があるか?」
黒いベールをつけた女王は首をわずかに傾ける。
「私が食べ終えると臣下達も食べ終えなくてはならなくなるでしょう?」
■2025/01/25 No.545
ビマヨダ
「それが技というものだ」
「小さな少女が大きな武器を振り回すのが可愛いだぁ?ふーん。では、大きなわし様が小さな武器を振り回せばもっと可愛いぞ」
食事中の雑談にトンチキな事を言い出したドゥリーヨダナは、持っていた箸をマスターの目の前でくるくると回して見せた。
「箸で?ハエを捕まえてみせるとか?」
「ハエなんかばっちぃではないか。──おいそこのNinja。わし様に何か投げてみろ」
その声に離れた所に座っていた風魔の小太郎がドゥリーヨダナの隣に座るマスターを見た。
「わし様がそんなヘマをするか。やれ」
カン!と音がして小さなクナイが床に転がる。箸をわずかに動かしたドゥリーヨダナが笑う。
カンカンカン!音と共に箸に弾かれたクナイが床に散らばっていく。
「なかなか速いではないか。が、手加減しておるだろう?」
「マスターに当たらないとは限らないので」
たまに同じ編成になるふたりの視線が交差する。
その瞬間、ドゥリーヨダナが大きく腕を動かした。キン!と硬質な音を立てて床に落ちたのはフォークだ。
厨房からビーマが声を投げる。
「そいつはおまえの癖を読んでいるだけだ。相変わらず小手先のごまかしだけは上手い奴だな」
■2025/01/23 No.544
わし様+叔父
「凶兆の子よ」
「おまえは真実何もしていないのだろうよ。スヨーダナ」
叔父の言葉に幼い子供は涙に滲んだ紫の瞳を上げた。
王宮の庭は広い。だが隠れて泣いていたスヨーダナをいつもシャクニは簡単に見つけ出すのだ。
くたりとした孔雀の雛を抱えて子供は数少ない信じられる大人に問いかける。
「なら、僕は凶兆の子なのですか?皆が言うように」
「皆とは誰だ?私もお前の母も弟妹達もか?」
俯いた可愛らしく跳ねる髪をシャクニは摘んだ。
「生きているものが死ぬのは当たり前だ。その鳥が死ぬ時にお前が立ち会ったのはただの偶然だろう」
子供は顔を上げない。
彼は生まれたばかりの雛を可愛がっていただけなのだ。死んでしまって悲しかったのだ。それなのに皆は彼が殺したのだと言う。スヨーダナが凶兆の子だから。
「
……
お前が生まれた時、私は確かに獣の遠吠えを聞いた。だが、それがどうだと言うのだ?お前の価値は変わるまい」
「多くの人が疎む僕に価値があるのですか?」
クル国の王子の震える声に、ガンダーラの王はその手を小さな肩に乗せた。
「可愛い可愛いスヨーダナ。お前がいるだけで私の望みは果たされるのだよ」
肯定に顔を上げた幼子に復讐者は笑いかけた。
「おまえはおまえであればいい」
■2025/01/20 No.543
アシュヨダ
「オプションを増やしてくれ」
「さて、アシュヴァッターマン。おまえに対して苦情が上がっておる。──何故か分かるな?」
ドゥリーヨダナに呼び出されたアシュヴァッターマンは手の中の端末を引き寄せた。
「アンインストールだけは、」
「わし様を消そうというのか!?」
端末からドゥリーヨダナと同じ声が響く。アシュヴァッターマンが手を開くと画面の中で小さなドゥリーヨダナが叫んでいた。アシュヴァッターマンの端末にいるデジタルアシスタントだ。
「わし様は何もしておらん!!」
「──そうだな。やらかしたのはアシュヴァッターマンだ」
大きなドゥリーヨダナの指摘にアシュヴァッターマンがうなだれた。
「暇さえあれば端末を触っているのはまだよい。だが、おまえは時間を忘れて夢中になっておるそうではないか」
否定しないアシュヴァッターマンに代わり、小さなドゥリーヨダナ。ちびヨダナが声を上げる。
「可愛いわし様の世話をするのは当然だ!」
「アシュヴァッターマンが世話をするのはわし様だ!!」
大人気なく言い返した大きなドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンが顔を上げる。大きなドゥリーヨダナは顔をそらせた。
「俺は旦那が一番大切だぜ。──それはそれとして」
■2025/01/20 No.542
カルヨダ
「おまえほどではない」
カルナの端末には小さなドゥリーヨダナが住んでいる。
なにか頼まれたら必ずそいつに確認しろ!!とそれをインストールした大きなドゥリーヨダナから何度も言い含められているカルナは今回も小さなドゥリーヨダナ、ちびヨダナに問いかけた。
「ポーズモデルを頼まれているのだがいいだろうか?」
「夏の霊衣でならよし!」
カルナには分からない基準で許可を出したちびヨダナははむはむとお菓子を食べている。追加オプションでいろいろなものを買い与える事が出来るのだ。
「シミュレーターでの戦闘訓練は?」
「もうすぐ昼食の時間ではないか?わし様との約束は?」
「共に食べるのは約束だったか?」
「約束は約束するものではないだろう?」
「──確かにそうだ」
頷いてカルナは食堂に向かう。そこでは当たり前のように大きなドゥリーヨダナがカルナを待っていた。
端末を見せると満足そうに画面をつつく。
「よしよし、ちゃんとカルナの役に立っているな」
「わし様は貢がれればちゃんと仕事をするぞ」
胸を張るちびヨダナに大きなヨダナはカルナの顔を見た。
「少し甘やかしすぎとらんか?毎日のように追加オプションを買っておるだろう?」
「欲しがるものを与えているだけだ。それに」
■2025/01/19 No.541
ビマヨダ
「あいつは俺を避けているから」
デジタルアシスタントは必ずしも役に立つ必要はない。愛らしくユーザーを楽しませてくれればいいのだ。だが、
「せっまぁああい!!」
ビーマがこっそり伝手を頼って手に入れたアシスタントの第一声がそれだった。
小さな画面の中でジタバタしているのは小さなドゥリーヨダナだ。カルナが持っていたそれをランサーのクー・フーリンが見かけ、厨房のエミヤが教えてくれたそれはパスさえ入力出来れば誰でもダウンロード出来た。
小さなドゥリーヨダナ、ちびヨダナはビーマに向き直る。
「うむ。まずは音声登録だ。パスワードを言え」
「
……
偉大なるドゥリーヨダナさま」
「登録完了。なんと呼べばよい?」
「──ビーマ」
「その名称は禁止されております。別の名前を言え」
「おいこら!!」
思わず端末を振るがちびヨダナは知らん顔だ。まあ設定されているものは仕方ない。ビーマは息を吸って言い直した。
「バッラヴァ」
「登録を完了しました。さて、何をして欲しい?」
ふてぶてしく笑うちびヨダナのいる画面をビーマはそっと撫でた。
「なんでもいい話をしてくれ」
■2025/01/18 No.540
ビマヨダ
「
…
何したかったんだ?あいつ」
英霊は死しても名前に縛られる。──が、この場所では違う。
「アバターつけても正義の味方なんて酔狂だね」
小さな妖精に囁かれた甲冑の騎士は沈黙で応えた。
ここいるキャラクター達は姿を変えていても皆サーヴァントだ。ちょっとした襲撃イベントに逃げ惑っていてもそれは振りでしかない。
そこに颯爽と現れエネミー達を蹴散らした騎士はからかい混じりに浴びせられた賛辞に驚いたかのように動きを止めたのだ。
もしかしたら騎士の中の人は反英霊なのかもしれない。
妖精が掛ける言葉を選んでいると、人込みの中から妖艶な美女が歩み出てきた。艷やかな褐色の肌、無いはずの風に流れる布。柔らかな唇が開いた。
「なにしてんだ、この──」
騎士が一瞬びくりと体を震わせた。美女が男臭い仕草で頭をかいた。
「あー、悪かった。知り合いだと思ったんだが違うみてぇだ」
「相手が名乗らないのに中の人を当てるのはマナー違反だよ」
妖精が美女に言い募ると、騎士がその頭を撫でた。
視界に入った甲冑の指に妖精が振り返った時には既に騎士の姿は無く。ログアウトの表示だけが残っていた。
■2025/01/17 No.539
わし様+マスター
「ちょっと本体を確認してくる」
「あれは蛇でも竜でもない」
「そうだねー」
ドゥリーヨダナの言葉にマスターは生返事を返した。特異点のレポートで忙しいのだ。
マイルームには机に向かうマスター、ベッドで寛ぐ花の魔術師、そして駄々をこねるインドの王子様がいる。
「これはカルデアの危機だぞマスター!謎生物が侵入しておるのだ!」
「カルデアに謎生物がいるのは最初からですー!!フォウ君見たことない?」
「ふぉう?なんだそれは?」
がっくんがっくん肩を揺さぶられていたマスターはドゥリーヨダナの疑問に視線を巡らせた。そういえばフォウ君はドゥリーヨダナがいると出てこない。
マーリンを見ると、彼はにっこり笑った。
「キャスパリーグにとって君はごちそうだからね。──ちなみに私にとってもなかなか美味しい」
ぎょ!と肩を揺らしたドゥリーヨダナはマスターを見る。マスターはあいまいに微笑みを返す。
人を食べる(食べていた)サーヴァントは少ないけどいない訳では無い。マーリンは人の感情を食べるから確かに感情が豊かなドゥリーヨダナは美味しいご飯だろう。
しかしマーリンが感情を食べるとは知らないドゥリーヨダナは明らかに怯んだ。
■2025/01/14 No.538
現パロ アシュヨダ
「とりあえず殴った」
今日が決行の日だ。
指輪ケースを懐に忍ばせたアシュヴァッターマンはちらちらとドゥリーヨダナの動向をうかがっていた。
恋人は誕生日パーティーも終わり、来客達が帰った後広いリビングで弟達を侍らせてくつろいでいる。
時計の針はもうすぐ12時を指そうとしていた。時間がない。
アシュヴァッターマンは覚悟を決めてドゥリーヨダナに近づき、その足元に跪いた。蓋を開けたケースを差し出す。
「旦那、俺と結婚してくれ」
ぱぁん!とクラッカーの音が鳴った。
すぐ横にいたドゥフシャーサナだ。ドゥリーヨダナも驚いて目を丸くしている。
そこに軽快な音楽が鳴り響いた。
たむろっていた弟達がわらわらと集まり何故か踊りだす。
数人の弟が集まり歌い出した。
「あ~、長年の想い、実ったこの日、祝う俺たち、明日から兄弟、おめでとう!!」
最後は笑い転げる彼らにアシュヴァッターマンは指輪ケースを握り込んだ。ドゥリーヨダナはぽかんとしている。
そんなふたりにドゥフシャーサナはキメ顔をしてみせた。
「フラッシュモブってやつ?忘れられない思い出になっただろ?」
■2025/01/14 No.537
ビマヨダ
「おまえが潰したから」
ドゥリーヨダナは俺の事が嫌いだ。憎んですらいるのかもしれねぇ。生前の事を思えば当然だろうが。
それは思いを告げて、恋人として付き合うようになってからも変わらなかった。
「
……
どうしてもせねばならんのか?」
「恋人だろ?」
ベッドに座らせたドゥリーヨダナにそういうと、視線がそらされた。
夜になり人目が無くなるとドゥリーヨダナは恋人同士の触れ合いすら嫌がるようになる。
それでもいい。この第二の生を諦めたくなくて、何度も何度も想いを告げて、やっと頷かせたのだ。本心はどこにあろうとも今のこいつは俺の、俺だけの恋人だ。
いつもと同じように愛してると囁きながら、服を脱がせて愛撫して想いを果てる。
そしていつもと同じようにその間恋人は無反応だ。
気持ちいい振りをしてくれるが男はどうしても嘘をつけない。
「
…
そんなに良くねぇのか?」
初めて零してしまった弱音。
それにドゥリーヨダナが返した言葉に俺は心臓を潰された。
「無理、なんだ」
■2025/01/13 No.536
現パロ アシュヨダ
「甲斐性」
何日か前、旦那との食事に出かけようとした途中で電車が止まった。配線のトラブルだとかで復旧の目処は立たないという。
急いで謝罪の電話を掛けると旦那は笑った。
「そこからでは家にも帰れんだろう。──そこから少し離れた新しく出来たホテルは分かるか?フロントでわし様の名前を出せ」
その言葉に甘えて、ごった返す人混みの中をなんとか通り抜け俺は一晩の宿をスィートルームで過ごすことになった。
と言う話をドゥフシャーサナにするとヤツはにたにたと笑った。
「アシュヴァッターマンくんは知らないと思うけどさー。そこはカウラヴァ系列じゃねぇぞ」
「え?スタッフ総出で対応してもらったぜ?」
てっきり旦那の持ち物のひとつだと思っていた俺にドゥフシャーサナは笑みを深めた。
「そこのグループとはちょっと揉めててさぁ。──数日前に兄貴がいきなり大幅に譲歩したんだよねぇ」
俺は顔を覆った。
それがどういう意味か分からない程馬鹿ではないつもりだ。俺もいい大人だし格闘技も嗜んでいる。最悪公園のベンチで寝てもなんとかなるのだ。だというのに。
「こんなの、礼も言えねぇじゃねぇか」
■2025/01/13 No.535
現パロ アシュヨダ
「ハッピーバースデートゥーユー」
「プロの仕事を奪うのはわし様の流儀ではない!、が」
生演奏が奏でられるバーの、黒塗りの大きなピアノに近づいた旦那は奏者の青年に畳んだ紙幣を渡した。
「リクエストだ。ジョン・ゲージの4分33秒。もちろん知っているな?」
ぽかん、と口をあけた青年を椅子からどかせて旦那は奏者が座る椅子に腰を降ろした。鍵盤に指を置く。
4分33秒とは一部で有名な無音の曲の事だ。要するに演奏するなと注文された青年が立ち尽くす中、旦那は鍵盤に指をすべらせた。
しゃらしゃらと音が流れる。
音楽は富裕層の嗜みだ。旦那の家にはピアノもバイオリンも飾ってあったが弾くのを見るのは初めてだ。
席から立つタイミングを逃して、旦那の慣れた仕草に思わず見入っている俺に紫の眼差しが微笑む。
「誕生日プレゼントだ。アシュヴァッターマン」
自分の稼ぎでは足を踏み入れることすら出来ないような店に連れてきてもらったのは今日が誕生日だからだと分かっていた。脳髄を溶かすような酒も、ふたりっきりの時間もとっておきのプレゼントだと。
まさか、その先がある。のだろうか。
旦那の指先が誰もが聞いたことのある曲を奏で出す。
よく通る声が子供のように歌い出した。
──ああ、なんて最高のプレゼントだろう。
■2025/01/11 No.524
ビマヨダ
「俺だけがいればいいだろ?」
「ビーマさんが来ない!!」
聖晶石、そう書かれた空の段ボールを抱えて叫ぶマスターにビーマは困ったように眉を上げた。
「俺ならちゃんといるじゃねぇか」
「意地悪!」
このカルデアにはビーマはひとりしか来ていない。つまり宝具1だ。
そのビーマは召喚されたばかりだと言うのにレベルが100を越えている。──完全体を目指しているのだ。
だというのに肝心のビーマが来ない。どれほどまわしても!聖晶石を湯水のように注ぎ込んでも来ない!!他の星5サーヴァントすら来ない!!
いくらなんでもあんまりではないかっ!
嘆くマスターに笑い声が掛けられた。
「ふっふふっ!ここはビーマなどという甲斐性なしではなく、溢れるほど召喚されてコインが山のようにある全体宝具バーサーカーを育てるべきではないか?」
ビーマと同時PUされているドゥリーヨダナの言葉にマスターはビーマを見上げた。
このビーマが召喚されてから星4以上のサーヴァントはドゥリーヨダナしか召喚されなくなったのだ。
すり抜けすらない。
マスターの視線を受けてビーマはドゥリーヨダナを見つめる。色の薄い瞳が虎のように細められた。
■2025/01/09 No.523
人間と吸血鬼パロ アシュヨダ
「迎えにきたぞ!」
※残虐な描写があります
「俺が殺した」
一家惨殺事件の犯人として逮捕されたのは赤毛の青年だった。鈍い金色に光る理知的な瞳には狂気の陰りはない。
難事件を押し付けられたまだ若い弁護士は小さな窓の向こうから問いかける。
「君は敵討ちだと言ったけど、ドゥリーヨダナという名の戸籍は無かったよ」
その言葉に青年は場違いに少し微笑んだ。
「旦那は吸血鬼だったから戸籍なんてねぇよ」
違法薬物の反応も無く精神鑑定も正常だと判断された青年が繰り返す物語に弁護士はため息をつく。
「君は人間だろう?」
「その方が旦那にとって都合がよかったから。──俺は何度も仲間にしてくれって言ったのに。昼間見張る者が必要だからって。なのに俺はあの時」
悔恨に顔を歪める青年は、よく晴れた日に彼がドゥリーヨダナと呼ぶ男が欲しがっていた花を買いに出かけ。戻った時には杭と灰が散らばっていたのだと言う。
そんな幻覚のために一家は無惨に殺された。血を絞られ心臓を持ち去られた。
「俺を殺すなら殺せばいい。──どうせ旦那と同じところには行けねぇ」
吐き捨てた青年が突然黒い靄に襲われる。驚く弁護士の前でそれは蝙蝠へと姿を変えた。
■2025/01/08 No.522
わし様+マスター
「蛇が旗印なだけでは特攻にならないよ」
ドゥリーヨダナは逃げていた。巷で完全体と呼ばれるレベル120、アベントもスキルマ、ついでにクラススコアも全開放されている彼が恐れるのはただひとり。
宿敵のビーマ、ではなくマスターである。
いわゆるマハバサーヴァントが彼以外召喚されていないカルデアでは、ドゥリーヨダナの天敵がいない代わりに匿ってくれる味方もいない。
ドタドタと廊下を走り抜けるドゥリーヨダナに生暖かい眼差しが向けられるが誰も助けようとはしなかった。日ごろの行いのせいだ。
それでなくても新イベントが始まるとの事でカルデアは騒がしい、トンチキな王子が起こす騒ぎなどいつものごとくスルーするに限る。
「キンコンカンコーン!マスターから発令。蛇と関わりがあるサーヴァントは至急管制室に集まるように!嫌がる者を捕まえて来た者には金一封」
ざわりと一部の金欠なサーヴァント達が目の色を変える。
獲物を探し始めた彼らのひとりとドゥリーヨダナの目が合った。
「わし様は関係ない!!」
「自己紹介乙、周回スタメンさんがなんでこんな時期に逃走してるんですかねぇ?」
その後、壮絶な捕物を繰り広げた後に差し出されたドゥリーヨダナにマスターは首を振った。
■2025/01/07 No.521
カルヨダ
「
…
サーヴァントは酔わんぞ?」
カルデアにミスマッチな組み合わせは多々あるが、カルナと一升瓶は行き違うサーヴァントが皆振り返るレベルだった。大きな槍を握るとは思えない細い腕で一升瓶を何本も抱え込んだカルナが向かうのはドゥリーヨダナの部屋だ。
「リベンジだ」
「何の!?」
唐突に現れて意味不明な事を言った挙句テーブルにどかどかと一升瓶を乗せたカルナに、身に覚えがないドゥリーヨダナは食べかけの食事から顔を上げた。
彼はとある事情で食堂には行きにくいためデリバリーを頼んでいたのだ。
そんなドゥリーヨダナの前でカルナは背中のもふもふに乗せてあったふたつの枡を取り出した。ドゥリーヨダナと自分の前に並べる。
飲み比べの体勢にドゥリーヨダナは視線を巡らし生前の記憶を引き出した。
「ああ、あれか。あれは仕方ないだろう?おまえは『本物』の酒を飲んだことが無かったのだから」
生前、庶民の間に流通していた混ぜ物の酒しか飲んだことが無かったカルナはドゥリーヨダナの友になり初めて純粋な酒を飲み無様に倒れたのだった。
「どんな理由であってもオレが敗れたことには変わらない。おまえもオレも飲んだことの無い酒ならば勝敗は自ずと明らかになるだろう」
■2025/01/06 No.520
わし様+モブ
「わし様の名を呼ぶがいい」
「さすれば、わし様はどこにいてもおまえを助けに行こう」
逃避行の最中にそう俺に言った王子の瞳は明らかに嘘をついていた。ハスティナープラは遠く、すぐに追っ手に追いつかれるだろう。
口の上手い王子は先払いだと言わんばかりに都合のいい事ばかり並べ立てるが、そもそも王子が俺みたいな何の取り柄もないシュードラを助けるはずがない。本来なら目の穢れとして斬り殺されてもおかしくはないだろう。
だが、王子の。
クシャトリヤの中でも尊き手が、俺の黒く汚れ日焼けで荒れた手を取った。
「おまえはわし様の命を助けた。愚かな連中よりわし様の方が正しいと身を持って証明したのだ」
そんなつもりはなかった。提示された報酬に目がくらんで裏切っただけだ。
「わし様は恩には必ず報いる。──さあ、わし様の名前を呼べ」
「
…
ドゥリーヨダナさま」
尊い方の名を呼べる名誉に心が震える。嘘つきの王子にとってはこれは軽い対価なのだろう。だが、名誉の影も知らずに生きてきた俺には太陽が落ちて来たようだった。
だから、追いつかれた時に俺は先に王子を逃がしたのだ。名前を呼ぶ。当然助けは来ない。ああ、なんという幸福だろうか。
■2025/01/05 No.519
ビマヨダ、カルヨダ
「オレはお前の事をなんと呼ぶべきだろうか」
「そうだな。だがオレはこの二度目の生を楽しみたい」
召喚されたばかりのカルナの言葉に、『カルナ』の腕を掴んでいたドゥリーヨダナは残念そうに肩を落とした。
「おまえがそう言うなら宝具上げは諦めよう。まあ、宝具1でもお前の強さは変わらん。そうだろう?『カルナ』」
カルナと呼びかけられ、ドゥリーヨダナに腕を掴まれたままの男。──ビーマセーナはぎくしゃくと笑顔を浮かべた。その視線はカルナから逸らされている。
このカルデアにビーマが召喚されたのはドゥリーヨダナより後の事だった。その時マハーバーラタ関連サーヴァントふたりめだと喜ぶ皆の中でドゥリーヨダナが叫んだのだ。
「カルナっ!遅かったではないか!!」と。
検査の結果、ドゥリーヨダナがビーマをカルナと誤認識する原因は分からなかった。故に治療する方法もなく、ビーマは渋々ドゥリーヨダナの『カルナ』をしていたのだ。
仕方なくだと。そう思っていた。本物の『カルナ』が召喚されるまでは。
「わし様の友がふたりもいるとは。これで我がカウラヴァは安泰だな」
『カルナ』ふたりと両手を繋いでうきうきとカルデアの廊下を歩くドゥリーヨダナは、彼らの身長の違いにすら気づかない。その明らかな異常に本物のカルナは何も責めず、ただビーマを見上げた。
弟でもあり、彼の振りをしている友の宿敵を。
■2025/01/04 No.518
生前カルヨダ
「わし様の息子にならんか?」
半神など眉唾だと思っていたが、カルナは年を取らなかった。パーンダヴァの兄弟と同じように。
「今更オレに命ずることなどあるまい」
王宮に公式に呼び出されて高慢に言い放ったカルナにわし様は頭を抱えた。言いたいことは分かるが分かるものばかりではない。居合わせた重臣の中にはあからさまに顔をしかめている者が多かった。
わし様は高座から視線を巡らせる。正面に立つカルナ。そこをぐるりと囲むように椅子に座っている重臣たち。
彼らも皆年老いた。わし様ですら老いの足音が聞こえるようになったというのにカルナだけが若いままだ。
このままいけば、──カルナだけが遺されるだろう。
武力に優れ、聡明だがそれを伝える言葉を持たない男。わし様がいなければどんな末路を辿るか簡単に想像出来る。
わし様はカルナに笑いかけた。
「なぁに、大したことではない。ちょっとした手続きだ」
「必要な事とは思えないが」
あまりにも言葉を選べないカルナにそれは呪いのたぐいではないかと疑ったこともあった。ただの性格だったが。
だからこそ直せないそれはお前を周りから孤立させるだろう。向けられる敵意から守る盾が必要だ。
先に逝くであろうわし様がいなくても、お前を守るものを。
わし様はなんでもない事のように口を開いた。
■2025/01/03 No.517
ビマヨダ
「誰にも渡さない」
ドゥリーヨダナの瞳を見て、ビーマはやっと手に入れたものが失われたのを知ったのだ。
人理は修復され世界は元の姿を取り戻した。そうしてまた聖杯戦争が行われる。
ランサーとして召喚されたビーマは敵マスターを襲撃し待ち構えていたであろうサーヴァントと戦闘になった。
「ドゥリーヨダナ!!」
棍棒でビーマの槍を受け止めたドゥリーヨダナの瞳には生前と同じ敵意しかない。
「
……
ドゥリーヨダナ、」
力が抜けたビーマの槍を打ち払ってドゥリーヨダナは花のような瞳に怒りを滾らせた。
「腑抜けたか!それともわし様相手では本気を出せないというのか!」
出せるはずがない。何故なら、あのカルデアでビーマとドゥリーヨダナは結ばれたのだから。
やっとその肌の温もりを知った相手に向ける槍をビーマは持たない。例え相手がそれを忘れたとしても。
サーヴァントの記憶は英霊の座に記録される。『ビーマ』はこの想いを座の本体に伝えたが、『ドゥリーヨダナ』は違ったのだろう。
あれほど愛していると言ってくれたのに。
槍を取り落としたビーマに記憶の一欠片も分け与えられなかったドゥリーヨダナは驚いて後ずさった。
■2025/01/03 No.516
わし様+女王陛下
「そして、周回競争が始まった」
グランドの実装。
それはこのバーサーカーカルデアに風雲をもたらしていた。
つまり、レベル120ドゥリーヨダナとレベル100モルガンとの頂上決戦である。
ATKはほぼ同程度、アーツとバスターという長短はあれど周回の要としてどちらも重宝されていた。
ドゥリーヨダナが棍棒を構える。
「どこぞの田舎の女王だか知らんが最強のバーサーカーといえばわし様。わし様こそがグランドに相応しい」
「もう成長の余地がない小者が何を言うやら。私がレベル120になればおまえなど足元にも及ばないでしょう」
「サーヴァントコインが足りないではないか!マスターは星5の宝具上げは回さない主義だ。すり抜けでコインを貯めるまで何年かかるやら!」
大人気なく舌を出したドゥリーヨダナにモルガンは魔槍を揺らし、マスターに視線を投げた。
「私以外のバーサーカーは必要ありません。この者を退去させても問題はありませんね」
断定したモルガンにマスターは飛び上がった。どちらがいなくなっても困るのだ。
マスターは叫んだ。
「先に絆礼装をくれた方をグランドにします!!」
ふたりの目の色が変わった。
■2025/01/02 No.515
わし様+ロマニ
「嘘はついておらーん!!」
「これは紀元前の著名人が作った壺なんだよ」
ロマニが披露した陶器の壺にダ・ヴィンチは眉を寄せた。
彼
…
?彼女
…
?の部屋には美しいアミュレットが溢れている。その中で素焼きの壺は異彩を放っていた。
「どこから出てきたんだい?倉庫じゃないだろう?」
「ムニエルくんは関係ないよ。故人の部屋からだそうだ」
ふむ、とダ・ヴィンチは顎に手を当てた。
南極のカルデアではあの爆発事故で亡くなった職員の部屋を召喚したサーヴァントに割り当てている。魔術的隠蔽されていたとしてもサーヴァント相手では無意味だろう。
「質問を変えよう。誰が持って来たんだい?」
「カルナだよ。彼なら信用出来るだろう?」
真面目な施しの英雄の名に流麗な眉が上がる。
「彼は確か同郷の友人がバーサーカーで召喚されたらしいね。何かと物入りなんだろうが
…
これはちょっとアウトかな」
ロマニの視線がダ・ヴィンチを見て壺を見て、またダ・ヴィンチを見た。
「私が見るに。確かに一定の芸術的素養がある人物が作った物で間違いはない。けど、価値があるものではないね。──いくら払ったんだい?」
「
…
紀元前の著名人」
「英霊はみな著名人だ」
つまりはただのサーヴァントの手作りの壺である。
■2025/01/02 No.514
カルヨダ
「愛している」
「どうしてつかなくてもいい嘘をつくんですか?」
青い帽子を被ったキャストリアの質問に槍を握っていたカルナは前衛を見た。セイバーの集団を宝具で蹴散らしているドゥリーヨダナの高笑いが響いている。
「
…
好きなんですよね?」
何がとは言うまでもない。カルナは首を傾けた。
どう説明すれば、この幼さが残る少女に伝わるだろうか。
「オレとあれとは親子であり友でもある」
「でも、そういう事を気にしないよね」
「オレ達は気にしない。だが、あれは王子だ」
カルナの説明にキャストリアは瞬きした。
「──ここはカルデアだよ?」
今度はカルナの目が瞬いた。ドゥリーヨダナを見る。今度は視線に気づいたドゥリーヨダナが振り返った。
「かぁるな!わし様の活躍をちゃんと見ていたか?」
「無論だ。──無論だとも」
論ずるまでもなく、ここはカルデアで生前の身分からは開放された場所だった。カルナは軽く頭を下げる。
「感謝する」
「どういたしまして」
ぺこり、と頭を下げて返した少女が顔をあげると。すでにカルナはドゥリーヨダナのところに向かっていた。
声が聞こえる。
「ドゥリーヨダナ。言わなくてはならない事がある」
■2025/01/01 No.513
カウラヴァ
「あけましておめでとうございます」
「謹賀新年!よぉし!マスターに貢がれにいくぞ!!」
カウントダウン終了と同時にこたつから立ち上がったドゥリーヨダナに他のふたりは目を丸くした。
「旦那、さすがに新年早々は不味くねぇか?」
「さすがだな。その暴虐。恥を知らぬと見える」
気が乗らない様子のアシュヴァッターマンとカルナにドゥリーヨダナは自信満々にカレンダーを指さす。
「今年の干支とやらを知っておるだろう?蛇といえば?」
「ビーマの槍」
「ヴリトラだな」
「ちっがーう!!お前たち!それでも我がカウラヴァか!!」
大声を上げてカウラヴァ旗頭は自分の胸を叩いた。
「蛇といえばわし様の旗印!つまり今年はわし様の年!年男のわし様にマスターが貢ぐのは当然というもの」
確かにドゥリーヨダナの旗印は蛇
…
というかコブラだ。
そしてわずかでも理由があれば、理由が無くても欲する物があれば止まらないのがドゥリーヨダナだった。
アシュヴァッターマンとカルナは立ち上がる。
「ふっふっふ、これでマスターからの貢物も3倍になるというもの」
「──ところで旦那。マスターの故郷ではお年玉という風習があるらしいぜ」
そうしてカウラヴァ達は共にマスターの元へと向かった。
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