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猫澤
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ここ三日分の総睡眠時間、およそ二時間。さすがに疲労もピークに達したのだろう
――
自らの手から零れ落ちたネジが板張りの床を跳ねコロコロと転がっていくのを、類は茫然と見つめた。
そして類は思った。今夜は絶対司くんとエッチがしたい、と。
きっかけなど些末事だ。そうと決まれば話は早い。類のたぐい稀なる天才的頭脳はすぐさま目の前の演出装置から今夜どうやって恋人をベッドに誘おうかと思考を切り替えた。
かれこれ五年の付き合いである司と清い交際を経て、同棲に漕ぎつけるまでの脳内チャートは完璧だったと自負している。
多少、道中にアクシデントはあったものの
――
司の夢も自分の夢も、そしてついでに恋も叶える覚悟を決めた類は強かった。えむを筆頭に鳳家や、旧友の瑞希、司の幼馴染である冬弥や、天馬家まで周到に根回しして、それはもう、幼馴染の寧々が頭を抱えるほど丁寧に丁寧に外堀を埋めていった。
そんなことなど露知らぬうちにまんまと罠にかかった司は無事、神代類に恋をした。いまでは知る人ぞ知るおしどり変人ワンツーカップルである。ここまで類の計画通り。いい意味で司に期待と予想を裏切られることはままあれど、素直で単純な彼を思い通りに誘導することは類にとってはネネロボのボルトを締めるより簡単であった。なぜなら自分は生粋の演出家であるので。
さて、思い立ったが吉日、善は急げと先人も言っている。
いそいそと自室を抜け出し、寝室のドアを開け、そこに目的の人物がいることを確認した類は目尻を下げにんまりと頬を持ち上げた。
「つ、か、さ、く〜ん」
「却下だ」
却下された。まだ何も言ってないのに。
ベッドに腰掛け脚本を読む司 なぜか脚本が上下逆さまだがこの際そんなことはどうでもいい
「お前がそんな甘えた声を出すときはたいてい、その
……
えろいことをしたいときだと知っているからな! 皆まで言わずともわかる!」
「おや、さすが司くんだねぇ。僕のことをよく見ている」
「ふん、そうだろうそうだろう。もう長い付き合いだからな。お前のことならばすべて
――
ってコラー! 言ってるそばから無理やりベッドに入ろうとするんじゃなーい!」
「だいたいお前、昨日も一昨日もろくに寝ていないだろう」
「この部屋にスキンってまだあったかな」
「先ほど軽く昼寝はしていたようだが、しっかり睡眠をとらんと免疫力が落ちて風邪をひきやすくなってしまうぞ!」
「あ、あったあった。よかった、僕の部屋に置いてる方空っぽだったんだ」
「こ、こののんびり屋さんめ
……
ゴムの心配より人の話を聞かんかー!」
こうなったら泣き落としだ
「司くん
……
一回だけでもダメかい?」
「ダメだ」
にべもない どうも年々泣き落としが通用しなくなっていってる気がする
「ほら、添い寝くらいならしてやるから少し休め。どうせ横になったらすぐ眠くなる」
「ええ〜
……
」
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