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ちゃび
2025-02-01 03:04:53
1744文字
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自機ヒカセンと一般人・グリダニア編
グリダニアの一般人モブ目線。
時系列は自機ヒカセンの旅立ち直後。
少女を助けに咄嗟に飛び出したは良いものの、腰がひけてしまう。
自分はただの依頼仲介業。一度だけはぐれヴァルチャーを退治したことだけが武勇伝の人間が、こんな巨大なヤーゾンを相手にできるわけが──
…
。
*
私を助けた男は、笑うでも嗤うでもなく、大丈夫ですか、と「言った」。
案じるでもなく、言わされているかのような抑揚のない物言いは、市民に扮した盗賊くずれのそれに似て、見たところ衣服は冒険者然としているが、肌の色や背格好からシェーダー族のようだ。顔には痛々しい傷が斜めに走っている。
「森の」にしろ「都市の」にしろ、シェーダー族というのは厄介者ばかりで、「森の」はいわずもがな、都市に出てくる時は大抵厄介ごとを抱えているし、「都市の」は常日頃から市民に冷遇されている影響で卑屈な者が多い。
よって必要以上に関わらないのが一番だが、今の状況でそれは流石に礼儀に欠ける。それに、ひとまずは狼狽した少女を家へ送っていきたい。道中が不安だ。
男に礼をするとともに、同行を依頼し同意を得られたことに胸を撫でおろして、顔なじみの木こりの家へ少女を帰し一息ついた。
つき合わせて悪かったな、と男へ告げると表情を変えずに一言「うん」と頷く様子に、どうも知っているシェーダー族とは反応が違うように感じて、つい一歩踏み込んでしまった。
「なあ、礼と言っちゃあなんだが、飯でも奢らせてくれないか」
その瞬間、先ほどまで仏頂面をしていた男の顔に色が差した。
聞けば、ここ数日まとまった食事をしていないと言う。
「商店街には売る分の食料はないみてえだし、あまり金もないです、から、カーラインカフェの飯は我慢してる
……
ます」
かと言って、森の獣は獲って良いものか分からないため落ちている実を食って繋いでいた、とマーモットのパイを頬張る顔をよく見てみれば随分若い──自分の息子でもおかしくない年齢の──青年のようだ。
印象の変化には彼の表情が和らいだことも作用しているだろう。
第七霊災の傷が癒えていないとはいえ、店を開けていながら「売る食料がない」ことなど、有り得ない。
恐らく市街のあちらこちらで門前払いされてきたことが伺える。
都市生まれのシェーダー族ですら忌避されるのだから、彼のような見るからに素性の怪しいシェーダー族など警戒されて当然だ。
そういえば、さきほど娘を送ってやった木こりが周辺の魔物を討伐できる者を探していたな。
あのオヤジには普段から貸しがある。多少の厄介者をあてがってもバチは当たらないのではないか?
「なあ、あんたが良ければ仕事を紹介してやろうか」
「いいの!?
……
ですか」
その顔には、グリダニアの子供と変わらない人懐こさが浮かんでいた。
*
──そうして、いくつか仕事を紹介したのち、私が食わしてやったんだと吹聴してまわる前に彼はグリダニアの英雄として外国へ旅立っていった。
律儀なもので、今でも顔を出しては、難易度が高く振りにくい仕事を二つ返事で引き受けていく。
それは有難いのだが、どうやら彼はグリダニアを旅する中で出会った、食い扶持に困るシェーダー族に私のことを紹介しているようで、訪れる悩める者たちが一人、また一人と増えて気がつけば私はシェーダー族専門の依頼仲介屋として認識されるようになっていた。
すっかり敬語が上達した彼曰く、「都市のシェーダー族にしか紹介してないです」とのことで、確かに粗暴な者はなく、依頼も市内の荷物の運搬やら見張りやら、穏やかな依頼が中心である。
だが、暴力がなくとも依頼品を盗んだり数を誤魔化す者はあり、それが発覚するたびに私は依頼主のところへ頭を下げに行き、依頼主と過ちを犯した者の両者を説得し、時には問題児とともに依頼をこなすこともしばしばだ。
都市の無難な層を相手に、リーヴからこぼれた依頼の仲介をしていた頃の私が聞けば馬鹿だと嗤うだろう。今の私だって苦笑しているとも。
常連の一人は私のことを、森でならず者を相手に酒場を開いているというバスカロン氏のようだと言う。
流石にそのような勇士と並べられるのは気がひけるが、悪い気はしない。
いつか彼らに護衛を頼んで、酒場へ足を運んでみたいと考えている。
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