三毛田
2025-01-31 22:20:01
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89 089. 夜の帳と幕間

89日目
君と一緒に過ごす

89 089. 夜の帳と幕間
 星空の間を駆け巡るこの列車。
 車掌の合図で、ライトが消されると夜の帷が落ちて眠りの時間へと変わる。
『消灯時間じゃ』
 車内アナウンスとともに、電気が消され。部屋に響くのは機械音。
 それから、集中力が切れて唸る恋人の低い声。
「丹恒、休憩だ。一度寝て、頭をスッキリさせたほうがいい文章を思いつくかもだろ」
 デイリーミッションも全部終えて、ゲーム内体力も全て消費したのでキリがいいと声を掛ける。
「それもそうだな」
 上着を脱いで手すりにかけたので、俺の上着もそこへかけ。
 靴は脱いで揃えて置き、先に寝転がる丹恒の隣に寝転がって。
「おやすみ、丹恒」
「おやすみ、穹」
 軽い口づけを交わし、眠りにつく。そんな、開拓の旅の穏やかな幕間。
 毎日のようにこうして二人で眠りにつくことは、実はあまり出来ない。
 俺は依頼であちこち駆け回っているし、丹恒もアーカイブの整理や論文の執筆が忙しい時もある。
 それでも、心を通わせたのだから傍に居たいと思うのは自然なことで。
 丹恒の邪魔をしないように、資料室にこもっている彼に差し入れをしたり、同じ空間にいるようにしたり。
『穹がいてくれると、それだけで頑張ろうと思えるな』
 そう言われると、俺だって頑張っちゃう。頑張るための気力が、こみ上げてくる。
「丹恒、大好きだよ……
 ふと目が覚めたので、そう告げて。彼のまろやかな額にキスをして。それから、眠る。
……
 腕が重いなと思って目が覚めた。
 丹恒が、俺が下にしてた腕を枕にしていて。そのせいで、重いようで。
 腕枕で眠る丹恒、超可愛い。
 そう思っていても、声には出さない。そんなことをしたら、起こしてしまうから。
 優しく、包み込むように抱きしめて。
 髪に優しく口づけていたら、うとうとちょっとだけ眠くなってきた。
「きゅ?」
「おはよぉ。おきられる?」
 眠そうな、舌足らずな声が聞こえてきたので、声をかける。
「まだ、ねる……
 今日は、眠り足りないようだ。
 そういうところも可愛い。
 昨日は、根詰めていたのかもしれない。そうでなければ、こんなにうとうとと俺の腕の中でむにゃむにゃしないはずだし。
 まあ、いいか。
 朝食も、みんなと一緒に食べなくても、問題ない。
 夜の帳は、もう開けている。でも、眠気には勝てないのだから。
……起きる」
「おはよぉ」
 二システム時間ほど経った頃、ちょっと恥ずかしそうにしながら俺の腕から起き上がり。
「腕は大丈夫か」
「滅茶苦茶痺れてる」
「すまない」
「いい寝顔だった」