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ssblast_is
2022-03-15 23:38:56
2156文字
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ごちそうさま
サガミス。サミトークで引いたお題です。
ミストは自他ともに認める少食だ。
サガがラーメン大盛りを食べるところを、小盛りが食べられれば良い方で日によってはそれを更に半分で注文したりしている。調子によっては食べられないこともあるがLOS†EDENの面々が食事をする時には必ず同席するし、家での料理担当として自分が食べなくとも料理だけは作ったりもする。そういうところが律儀だ。
ミストは今日の朝食もコーヒーだけですませていた。それ自体は珍しいことではない。ないのだが、昼食まで抜くのは珍しい。そもそも食事の必要性がないので何もおかしいことはないが、習慣化していることはできるだけこなしたいタイプであろうミストが昼も抜くとなると何かあったのではと思ってしまう。
本人は特に何でもないと言った顔で三人分の昼食を作り烏龍茶を飲んでいたが、親として、仲間として、そして恋人として心配をするのは当然だろう。
ちなみに今日の昼食は炒飯に卵の中華スープ、海藻サラダ。炒飯に入っていた細かく刻まれた焼き豚は以前お取り寄せとやらでミストが注文していた物だ。届いた日、きっとサガのお口に合いますよと嬉しそうに密封されたパックを見せられた。
「ミスト」
泡を流した皿を立てかけ洗い物を終えたミストに話しかける。
「どうしました?」
そうこちらを伺う顔は至極いつも通りだ。元から青白い顔が更に真っ白な訳でも、どこかに怪我をしている訳でもなさそうである。それでも聞かずにはいられない。
「どっか調子悪ぃのか」
「いえ。特に変わりはないですが
…
」
言葉を紡ぎ不思議そうに小首を傾げたところで、何かに気付いたようにミストは喋りはじめた。
「もしかして昼食がお口に合いませんでしたか?今日はべスがいるので油の量こそ控えめにしましたが味付けはいつも通りの分量です。その分香りづけのごま油には香りが良いものを使用したのですが、何かミスがあったでしょうか。濃かったですか?薄かったですか?ああ!それともサガが好きそうだと思って入れたお取り寄せの焼き豚が口に合わなかったとか。でしたら次回からは違う生産所の物に変えますので
……
」
「ミスト」
「は、はい!申し訳ありません!」
機関銃の如く打ち出される言葉に毎度関心しつつ思考の方向性が狙いとズレているため一度止めてやる。自分でも癖をわかっているのか止められると謝るところまでがお約束なのだが、いつも謝る様なことをしていないのに謝られるので治していかないととは思っている。時間だけはいくらでもあるので焦ってはいないが。
「今日も美味かった。焼き豚も好みだ」
お前が見立てて外れたことはねえよと付け加えてやると、強張り始めていた頬が緩みミストは安心したように息を吐いた。
「
…
サガ様、それでしたら何故私の体調などお聞きになったのです?」
「様付けんな」
「あっ、申し訳ありません
…
」
しゅん、と俯いたことで見えた綺麗なつむじを覆うように手で頭を撫でてやる。するとほんの僅かに手に擦り寄ってくるのが愛おしい。柔らかく指通りの良い髪を伝って頬に手を当てても熱っぽさは感じない。
「お前、朝食ってなかったが昼も食わなかっただろ」
ジャックもエリザベスも昼食まで取らないミストに対し、やや心配そうに視線を送っていた。見た目に引きずられているのかミストは二人の前で弱さを曝けだそうとしない。特にジャックがいるとそうだ。まあ、そもそもミストは簡単に他者に己を曝け出せるタチではないのだが。
「そ、それは
…
」
親指で目の下と頬の間を撫でながら言葉を待つ。先程の機関銃のような勢いはナリを潜め瞳を彷徨わせている。手のひらに少し熱を感じ、青の瞳の薄膜が揺れるとミストはゆっくりと口を開いた。
「
…
お腹がいっぱい、という感じで」
「何か食べたのか?」
仕事の合間に菓子でも口にしたのだろうか。しかしそれで昼食が取れないなど、ジャックではあってもミストでは考えにくいのだが。
「いえ!何も
…
。いや、ある種口にしているというか、何というか
…
」
再び視線を彷徨わせてしまったが頬の熱さは増している。やはりどこか体調が悪いのだろうかと顔を覗き込むと、きゅっと手首を掴まれた。
「調子は、大丈夫なのですが
…
。その、たくさんシた時は、まだお腹に
……
お腹に、サガのものが、入っている気がして
…
」
呻き声をあげつつも手に頬を寄せて恥ずかしがるミスト。そういう仕草は煽りというのだといい加減学んでほしい。
「昨晩はあまり気をやらずに、頑張れたからでしょうか
…
。痛みもなく、ただ感覚的にそうというだけなのですが」
自らの利き手ですりすりと下腹部を撫でてはにかみ、いつもよりも感覚がはっきりしているのだと言う。
「たまにあることなのですが、今日は特にはっきりしていて。お腹がいっぱいだという感覚と、この感覚を消したくないという気持ちが合わさって、つい昼食も抜いてしまいました。しかしサガを心配させてしまうようでは駄目ですね」
眉を下げて笑うミストの腰に腕を回しそのまま引き寄せ閉じ込める。耳元で驚いた声が上がるが、無視させてもらう。そんな寂しそうに笑われては好きにしろとしか言えない。言えないが、今声を出すのは不味い。取り繕えないくらいの甘ったるい声しか出せない自信があるからだ。
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