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ssblast_is
2017-03-31 23:50:26
1448文字
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『将来』
※大環ワンライ
しょうらいのゆめはなんですか
そんなの解らなかった、考えたことがなかった。
妹と二人生きていくことだけで頭がいっぱいで。
夢ってなんだろう。将来ってなんだろう。
遠い他人事だと思っていた。
二年前までは。
宴も終わりみんな寝静まった頃、控えめなノックで訪れた。
「ヤマさん」
来訪者を出迎えるとほんのりとアルコールの香りがした。
昔は大嫌いだったこの匂いにも慣れて、今ではどこか憎めなくなっているのはきっとこの人のおかげ。
「どした、部屋に来いだなんて」
「なんでもねー、けど」
ぎゅっと抱き着いてアルコールだけじゃない、大好きな匂いを吸い込む。
「けど?」
「なんでもねー
……
」
「なんでもないのか」
俺の髪を優しくかき混ぜて肩口辺りでくすくすと笑われる。
祭りの後の静けさは少し苦手だ。
自分を祝ってくれたものであれば尚更。
黙ってしまった俺の頭をヤマさんは撫で続ける。
今日また一つ大人に近づいた。
去年とはまた違う、寮でのお祝い。
ぐちゃぐちゃになったプリンの無事なところだけを食べて、みんなで笑った。
今はもう遠い他人事じゃない。
みんなといるここが自分の居場所で、夢。
将来はまだわからないけれど、みんなを笑顔にできる人間になりたい。
今以上にもっと、もっと。
それで、もしも。もしも、許されるのならば。
許されるのならばこの人とずっと一緒にいたい。
いつかそれぞれの道へ進む時がきたとしても。
この人と共に歩んでいきたい。
「ヤマさん」
「ん?」
「俺、ヤマさんとずっと一緒にいたい」
腕に力を込めて、もっと近づくように。
いつもより高い体温が心地いい。
「来年も再来年も、その先もみんなといてーし、ヤマさんといたい」
「
…
うん」
「俺と一緒にいて、ください」
誰よりも未来を信じてなかったこの人へ、誰よりも未来を見てこなかった俺が将来を口にするなんて。
二年前の自分ならきっと信じないだろう。
「なんか、プロポーズみたいだな」
ふはっと酒臭い息を吐き出したヤマさんはまた肩口で笑った。
「俺なんかでいいの」
「ヤマさんがいい。ヤマさんじゃなきゃやだ」
「
……
言うようになったね、お前さんも」
そっと身体を離されて、レンズの奥の瞳と目が合う。
「まさかタマに先に言われちまうとはな」
「どっちが先とかかんけーなくない」
「大人には色々あるんだよ」
酔っているけど真剣な眼差しが俺を射抜く。
「幸せにするよって言うとお前さん怒るから。一緒に、幸せになりますか」
「うす」
秒で返事をしてもう一度抱き着いた俺に、少しは考えろとか戸惑えとかヤマさんが煩い。
そんなのもっとずっと前から考えてた。
ぎゅむぎゅむとヤマさんを抱き締めてたら苦しいと腕を叩かれて仕方がないから放してやると、軽く突き飛ばされてベッドに
尻もちをついた。
「ちょ、なにすんだよ」
覆いかぶさるようにヤマさんがベッドに乗り上げて来て、思わず後ずさると王様プリンのぬいぐるみにぶつかった。
「誕生日おめでとう。愛してるよ」
耳元でそう囁くヤマさんはすごく恰好よくて。
でもなんだかむず痒くて俺は大声出して笑ってしまった。
「うは、なにそれウケる」
「お兄さんが折角愛を囁いてやったのに。傷つくわー」
二人で顔を見合わせてまた大声で笑った。
どこかの部屋から苦情がきそうだが今日くらい誕生日に免じて許してほしい。
暫く笑い転げた後、俺はヤマさんの頬にキスをして、これからもよろしくと抱き着いた。
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