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ssblast_is
2016-12-25 03:12:53
2113文字
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プレゼント
※大環ワンライ。
やばい。これはけっこうやばい。
正直舐めていた。
全国の王様プリンファンがこれほどだとは。
ことの始まりは二週間前。
イルミネーションで彩られた街並みと比例するようにクリスマスへ向けて盛り上がる恋人たち。
大和達も例外ではなく、付き合ってから二度目のクリスマスに何をあげようかと嬉しくも頭の痛い問題に直面していた時だった。
「ヤマさん!見てこれ!すっげーの!」
先程まで大人しくスマホをいじっていた環が興奮した様子で画面を見せてくる。
そこに映っていたのは特大サイズの王様プリンだった。
「王様プリンビッククッション
…
?」
「そー!これめちゃくちゃほしい!」
某人をダメにするクッションのような形をしたそれが画面の中で無表情に鎮座している。
自分の手元にスマホを戻した環はうきうきと画面をスクロールさせていく。
大きさの比較画像をみているのだろう、でけー!と歓声を上げている姿が微笑ましい。
楽しそうな環を見ているとこちらまで幸せな気分になってくる。
大和がその横顔を眺めていると、あるところで環の指はピタリと止まってしまった。
「どした?」
「
…
もう、俺、だめかもしんない」
「なんだいきなり」
まるで天国から地獄。
一変して泣きそうな表情もとい半泣きの環が見せてきた画面には、数量限定の文字。
「数量に達し次第受付終了」
「なんで昼からなんだよ
…
俺その日仕事
…
」
「それが働くってことさ」
いやだいやだと喚く環の頭を撫でてやりながら自身のスケジュールを確認する。
その日は確か仕事は夕方から。その時間はまだ寮にいるはずだ。
「
…
俺、注文してやろうか?クリスマスプレゼントに」
「マジで!?ヤマさん神!?」
「ちょ、おま、自分の図体考えろ!」
がばっと音がする程の勢いで大和に抱き着いてきた環に押されそのまま二人とも床に転がる。
「ヤマさん好き!大好き!愛してる!」
「ったく、調子いいなお前さんは」
転がったまま更に腕に力を込めてぎゅうぎゅうと抱き着く環はひっきりなしに愛の言葉を叫ぶ。
そんな環の様子に仕方ないと溜め息をつく大和の顔は言葉とは裏腹に綻んでいて、大きなこどもを抱きしめ返してやると、二人とも顔を見合わせどちらからともなく唇を合わせた。
そして迎えた今日、注文日当日。
久々の夕方からの仕事に少しだけ寝坊してしまったのだ。ほんの少し。
具体的には三十分ほど。
そのくらいなら間に合うだろうと思っていた。
だが目の前には完売、受付終了の文字。
ナギが時間丁度にポチらないとダメですよと言っていたのも冗談だと思って受け流していた。
その結果がこれである。
「やっべ
…
どうしよう
…
」
素直に寝坊したことを告白した方がいいのか。
それとも寝坊したことは伏せて買えなかったことだけを伝えるべきか。
延々とそのことを悩んでいるうちに仕事の時間になってしまい、言い出せないまま時間だけが過ぎる。
「どうすっかなぁ
…
」
深夜テレビ局からの帰りのタクシーの中で悩んでみても、回答は終ぞ出なかった。
翌朝リビングに顔を出した環は大和を見るなり眠そうな顔からきらきらとした顔になり、ダッシュで詰め寄ってくる。
「ヤマさん!買えた?」
「あー
…
あれなんだけど、」
「どうした環、なんか買ってもらうのか」
「クリスマスプレゼントにヤマさんに王様プリンクッション買ってもらうんだ!でっけーやつ!」
朝食を運んでくる三月に嬉しそうな顔で環は答えた。
「へー、おっさんもそういうことすんだな」
まずい。これは非常にまずい。
起きたばかりなのに冷や汗が背中を伝う。
早く止めなければ大変なことになる。
「えっと、」
「もー俺ヤマさんになんでもしてやる!クリスマスに俺のことやんよ!」
クリスマスプレゼントに自分をあげるだなんてベタな展開も可愛い恋人に言われると満更ではない。
クリスマスにかこつけて色々するのも悪くない。
だがまずはこの状況を打破してからだ。
「朝から熱烈なこって」
「あの、タマ
…
」
「ヤマさん大好き!」
「はいはい、わかったから朝飯食えよ」
ダメだ、あんなに幸せそうな顔をして大好きと言われてしまえばもう何も言えない。
どうしよう、コーヒーを持つ手が震える。
何故時間通りに起きなかったのだろう。
三十分の幸せな惰眠がこうも自分を苦しめることになるなんて。
どうにかして手に入れる術はないだろうか。
大和があれこれと思考をめぐらしてる間にすっかりと朝食を食べ終わった環が行ってきますと席を立つ。
適当に手を振る大和にも気づかないくらい上機嫌で出ていく環を見送って、そっと三月が隣に座る。
「おっさん、買いそびれただろ」
「なんでそれを」
「バレバレなんだよ。演技得意なんだからちったぁマシな顔しろっての」
深いため息をつく大和の肩を叩いて環の食べ終わった皿を片付ける三月はどこか楽しそうで、人の不幸を笑ってやがると小声で言うと自業自得だろと返された。
もう一度どうするかなぁと呟いて大和はぬるくなったコーヒーを煽った。
その後無事に再販分を申し込めた大和がクリスマスに環を堪能したのはまた別のお話し。
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