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ssblast_is
2016-06-29 00:33:36
1755文字
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台形の底に溜まった、半透明の澱みに顔を長く漬け込みすぎました。
大環 ※年齢操作あり
同名の曲とは何の関係もありません。
※何でも大丈夫な方向け。
二階堂大和(26)×四葉環(21)設定です。
全員寮から出ており、大和と環は一緒に暮らしています。
過去に付き合った後別れており、現在は付き合っていません。
環は酒類が嫌いな設定です。
付き合いでは飲みますが、飲める飲めないに関わらず嫌いです。
大和さんの飲酒量が増えている設定です。
ぎしり、と何処か遠くで世界が軋む音がした。
気づくと目の前には環がいて、大和にしきりに何かを訴えている。
大和が環のプリンを食べてしまったのだと詰め寄られ、証拠があるのかと問えばいつの間にか大和の右手には空の瓶が握られていた。
マジふざけんなぶっころす。
このこどもの語彙力の限りに罵られれば奇妙な浮遊感が大和を襲う。
まるで波に揺られたかのような感覚をやりすごすと目の前にいたはずの環はいなくなっていて、辺りを見回すと同時に後ろから何かが抱きついてきた。
「タマ」
ここには、大和と環しかいない。
そのことを何故知っているのか疑問さえ持たずに大和は腹に回された手を撫でる。
もう一度名前を呼んでやれば、掠れて、かさついた声がごめんと鳴いた。
すらりとして骨張った男性の手。
後ろを向こうにも強く抱きつかれ、半回転もできない視界に入った二の腕は、強くたくましい。
違和感を覚えながらも前を向きなおすと、今度は美味しそうにプリンを食す環と目があった。
「タマ
…
?」
思わず漏れた言葉に呼応するように首にかかった吐息が熱くて、思わずびくりと身体を震わせる。
おかしい。
環は大和の目の前にいる。
目の前のこどもは幸せそうに大和に笑いかけていて、あの日のまま変わらない。
それなのに後ろで今にも泣き出しそうに自分を呼ぶのもまた、環の声なのだ。
声を出そうと息を吸い込むと、独特の匂いが鼻を突いてくらりと視界が揺れた。
この匂いを大和は知っている。
知りすぎている。
そうして何もかも飲み干してそこへ逃げる大和を、ほんの少しだけ悲しそうな顔で見た環が忘れられない。
今度は近くでみし、と歪む音がしてゆっくりと目の前の環が消えていく。
「あ、あ
…
」
少しずつ消えゆく影が、いつかと同じようにその唇で大和の名前をなぞる。
なのに、もう、声は聞こえない。
どちらのものともつかない低く掠れた呻き声が、大和の意識を浮かび上がらせた。
そうっと差し込んで、ゆっくり回す。
かちりと控えめな音で鍵を開けた環は、身体を滑り込ませるようにドアを開け同じように慎重に鍵をかける。
深夜の帰宅時はできるだけ物音を立てないこと。
大人になって最初に環が覚えたことの一つだ。
思わず詰めていた息を吐き出すと、リビングにかけられた時計が短針を頂上よりも右側に傾け環を出迎えた。
カバンをソファに預け音を立てないように自室とは反対側に位置する部屋のドアをそっと開ける。
酒臭い。
自分も、この部屋も。
脳裏に浮かぶかつての部屋よりも、床に転がる空き缶の数は多い。
眠っていた空気清浄機を叩き起こして環は部屋の主の眠るベッドに潜り込んだ。
成人男性二人をその身に受けたベッドはぎし、と鳴いたが、環は気にせずに背を向けて眠る大和に抱き着く。
そっと腹の辺りに手を回せばじんわりとぬくもりが伝う。
「タマ」
名前を呼ばれ、環の肩がひくりと揺らぐ。
離れようと手を引く前に大和の手が優しく環の指をなぞった。
なんだ、寝ているのか。
起きているのなら大和は絶対にこんなことはしない。
そろそろと息を吐いた環を、あの頃のように柔らかい口調で大和が呼ぶ。
「ごめん」
吐き出すままに零れた声は情けなくなるくらいか細かった。
夢の中の大和は、自分と何を話しているのだろう。
そんな心中を探るように名前を呼ばれ、思わず吐息が零れる。
びくりと跳ねた大和の肩にそっと額を押し当て目を閉じた。
「ヤマ、さん
…
」
置いていくのなら、置いていったのなら。
夢の中でさえそんなに優しく呼ばないでほしかった。
堪えるように身じろいだ環をベッドがみしり、と慰め抱きとめる。
「あ、あ
…
」
どんなに欲してもあの頃のように頭を撫でてはくれないくせに。
どちらのものともつかない低く掠れた呻き声を残して、環の意識は沈んでいった。
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