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雨雨
2025-01-31 01:57:30
1248文字
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ありふれたキス
りあ
りあ
りあ
りあ
りあ
りあ
りあ
りあ
いつだって、オレを男だと自覚させてくるような女。
嫌悪感のない絶妙な甘い匂い。やたらと長ェ睫毛は髪と同様に色素の薄い茶色で、太陽光のような強い光があたると肌の白さも相俟って余計に透けて見える。いつでも潤った唇を褒めた時には、いつでも君とキスできるようにしてるの、とかさらっと返してくる。そんなあざといオンナ。仮にそれが謀だとしても、オレの本能が無碍にできないと訴えてくる。なんつうか、敗北感すら感じる。
けど別に悪い気はしねえ。安心して負けさせてくれる環境を作ってくれるオレの彼女がスゲエって話。
「まいきー」
「ン」
甘ったるい声。オレを呼ぶ時、カタカナよりひらがなっぽい発音になることがある。これは主に二人きりでいる時に甘えたい気持ちの現われなんだと思う。肩にもたげてくる
りあ
の頭に手を置くと目を細めて視線を此方に向けてくるから、オレも見た。無意識にもオレの目が細まる。
さっきコンビニに行ってきたばっかで、まだ鼻先が赤いのがマスクをしてても少し見える。マメにマスクをするのはバイトを休んで迷惑掛けたくないからだってインフルが流行りだした頃に言ってたっけ。
「マスクとんねーの?」
「
……
あ、」
と、こんな感じで外し忘れることも多い。
「鼻赤いから、もうちょっと」
「ソレは恥ずかしいのかよ~」
セックスはそれなりにっつうかオレよりも高頻度で誘ってくる癖に、鼻先赤いのは恥ずかしいって基準がよく解んねえ。マスクに掛けた手は取ろうとするんじゃなく、ズレを直す所作を取る。
「フーン。いつでもキスできるって
りあ
が言ったのにな」
たまには意地の悪いことを言ってみたくなった。今日はまだキスのひとつもまだできてないってのもあって。外の風ですっかり熱を奪われた
りあ
の髪先を一房手に取って、その動作のついでに至近距離で顔をじっと見つめてやる。
言葉通りの煽りの意味も含ませたけど、何より見たかった。
りあ
の困る表情が。
マスクの無機質な白とはまた違う、白。エマがミルク色って言ってたのを思い出して確かにしっくりくると思った。寒さで赤らんだ鼻先をきっちり隠したままの
りあ
は、困るでもなくまた目を細めて此方を覗いてきた。
ふわ。
言語化するなら、白桃とミルクを混ぜたような。そんな匂い。隣でうっすら漂っていた匂いが、
りあ
が動いたことで少し強く香って。
マスクをしたまま唇を重ねる。
不織布という隔たりがある割に柔らかさは存外感じられた気がした。感触は曖昧だけど、予想外の
りあ
の行動に少し目を見開く。
「ね、いつでもキスできるでしょ」
「ああ、」
悪戯な笑み。唇が離れても、オレに凭れかかってきた身体を退ける気はないらしい。それはそのまま、キスのその先に誘ってる。
オレは最初に誘われた時点で籠絡されてる訳だし躊躇うようなことももうねえ。
甘んじて。
りあ
の望む、本能の望む反応を。
「その前に、もう一回しようぜ」
「あは。じゃあ今度は直接ね」
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