rkrn季節外れの彼岸

タソの父たちの正月飲み会
父たちにはのんびり酒を飲ませたい、口調など捏造です
cp無しですが普段雑高を書いてる者の話なのでご注意ください

『季節外れの彼岸』

 忍務のない正月だけは、雪景色の中静かな酒盛りができる。雪見障子の下にしんしんと降る雪を眺めながら、山本は足りない酒を注ぐべく膝を立てた。それぞれの息子たちによく似た顔立ちが二つ、注がれた酒を飲み干した。ただもう一つ──包帯で隠れていても、はっきりと不機嫌がわかる顔をしている男は、注がれた酒の表面をじっと眺めて飲もうとしない。
「もう飲まないよ陣内」
「明日に障るからですか」
「三人とも明日、サボる気でしょ。私が働かなきゃいけないじゃない」
 山本にぶつくさ文句を垂れる雑渡が、男たちを交互に見た。
「休暇届は出しましたがね」
「知ってますよ。私が三人分提出したんだからね、城に」
 恨み節を込めて雑渡が言うと、三人で軽快に笑う。
「苦労を知れ、昆奈門」
「もうじゅうぶん知ってます」
「そうか。息子がいても不服か」
 山本は追い打ちをかけ、一人が──高坂の父が頬杖をつく。
「困ったもんだ、陣左陣左となにかにつけては呼んでおいて」
 親二人から追随され、雑渡が鼻白む。厄介な親を二人も持っちゃって、と雑渡が呟くと、山本も高坂の父も嬉々としてもう一杯、酒を注いだ。
「先代のときは、陣内がよく呼ばれていたっけな」
「諸泉殿もです。歳が近かったから」
「いや、両組頭には相当ご迷惑をおかけしております、近ごろは尊がなにやら忍術学園へ出向くことが多いとか……
「気にすることはありません、諸泉殿。むしろ山本にそれは言うべきです、よく尊奈門に説教をしているのを聞きますぞ」
 おおかた押都あたりが雑渡を介さず、戯れに報告をしているのかもしれない。諸泉の父以外は皆歳がほどほどに近く、先代の組頭の──雑渡の父のときから仕えてきた猛者で、横のつながりも深い。
「だからって噂話を共有するとか」
女子おなごのようだと言いたいか?」
「おじさんの集まりでしょ」
 雑渡がたった一つの目を細めて忌々しそうに言い放つ。
「お前もあっという間にこっち側だぞ」
 砕けた口調で山本は言った。雑渡が「それは言わないでよ」ととうとうやけくそで手元の酒を飲む。まだ飲み慣れない辛い味が喉を通ったのだろう。渋い顔をしている。
 これは、「こっち側」へ来られなかった彼の父の、好きだった味だ。今日だけは、我慢して飲んでもらっている。