Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
gib_fox
Public
cp要素無
Clear cache
rkrn季節外れの彼岸
タソの父たちの正月飲み会
父たちにはのんびり酒を飲ませたい、口調など捏造です
cp無しですが普段雑高を書いてる者の話なのでご注意ください
『季節外れの彼岸』
忍務のない正月だけは、雪景色の中静かな酒盛りができる。雪見障子の下にしんしんと降る雪を眺めながら、山本は足りない酒を注ぐべく膝を立てた。それぞれの息子たちによく似た顔立ちが二つ、注がれた酒を飲み干した。ただもう一つ──包帯で隠れていても、はっきりと不機嫌がわかる顔をしている男は、注がれた酒の表面をじっと眺めて飲もうとしない。
「もう飲まないよ陣内」
「明日に障るからですか」
「三人とも明日、サボる気でしょ。私が働かなきゃいけないじゃない」
山本にぶつくさ文句を垂れる雑渡が、男たちを交互に見た。
「休暇届は出しましたがね」
「知ってますよ。私が三人分提出したんだからね、城に」
恨み節を込めて雑渡が言うと、三人で軽快に笑う。
「苦労を知れ、昆奈門」
「もうじゅうぶん知ってます」
「そうか。息子がいても不服か」
山本は追い打ちをかけ、一人が──高坂の父が頬杖をつく。
「困ったもんだ、陣左陣左となにかにつけては呼んでおいて」
親二人から追随され、雑渡が鼻白む。厄介な親を二人も持っちゃって、と雑渡が呟くと、山本も高坂の父も嬉々としてもう一杯、酒を注いだ。
「先代のときは、陣内がよく呼ばれていたっけな」
「諸泉殿もです。歳が近かったから」
「いや、両組頭には相当ご迷惑をおかけしております、近ごろは尊がなにやら忍術学園へ出向くことが多いとか
……
」
「気にすることはありません、諸泉殿。むしろ山本にそれは言うべきです、よく尊奈門に説教をしているのを聞きますぞ」
おおかた押都あたりが雑渡を介さず、戯れに報告をしているのかもしれない。諸泉の父以外は皆歳がほどほどに近く、先代の組頭の──雑渡の父のときから仕えてきた猛者で、横のつながりも深い。
「だからって噂話を共有するとか」
「
女子
おなご
のようだと言いたいか?」
「おじさんの集まりでしょ」
雑渡がたった一つの目を細めて忌々しそうに言い放つ。
「お前もあっという間にこっち側だぞ」
砕けた口調で山本は言った。雑渡が「それは言わないでよ」ととうとうやけくそで手元の酒を飲む。まだ飲み慣れない辛い味が喉を通ったのだろう。渋い顔をしている。
これは、「こっち側」へ来られなかった彼の父の、好きだった味だ。今日だけは、我慢して飲んでもらっている。
広告非表示プランのご案内