三毛田
2025-01-29 22:15:09
1064文字
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87 087. 霧の森を抜けて

87日目
合流する

 迷いの森と呼ばれる、その場所。
 深く濃い霧が立ち込めていて、そりゃあそう呼ばれるなと一人納得する。
「丹恒、いる?」
「さっさと一人で行くな。迷子になるぞ」
 振り返ると、撃雲を手にした丹恒が呆れたように俺を見て。
「丹恒がいれば、大丈夫。多分」
「お前……
 声にも表情にも、さっきより濃い呆れ。
「それよりも、なのだよ!」
「三月のスマホに連絡入れたのか」
「入れたけど、返事はない。電波は、何となくあるんだけどさ」
 そう。アンテナは立っているけど、たまに消えたりするのであまり役に立っているようには見えない。
「ふむ。ここには、電波に干渉する何かがあるのかもしれない」
「あー……もしかして、この霧?」
「かもしれないな。調べてみたいが、まずは三月と合流することが優先だ」
「そうだな。でも、今、丹恒と二人きりで嬉しいって言ったら、不謹慎かな」
 人差し指同士をくっつけ、くるくる回しながら問いかけるとコホンとわざとらしく咳払いをして。
「俺も、少しだけ……お前と二人きりになれて、その……嬉しいと思う」
 プイとそっぽを向いて、ボソボソと。
「え、えへへ……でも、今は緊急事態だから、列車に戻ったらいっぱいイチャイチャしたいかも」
「そ、そうだな。今は……我慢しよう。ああ、そうだ。そうしよう」
 自分の気持ちを吐露するのは未だに恥ずかしいのか、声は上ずっているし、顔は真っ赤だ。
「じゃあ、さっさとなのを見つけて帰ろう。もしかしたら、依頼はフェイクだったかもしれないし」
「その可能性はあるな。この森の特性を知らせなかったのは、わざとなのだろう」
「うん。なの、無事でいてくれ」
 霧が濃い上に、足元はちょっとぬかるんでいて歩きにくい。
「ふう。あ、ここなら、電波がよさそう」
「三月から、メッセージが大量に届いているな」
「わわっ」
 急に電波が良くなったことで、スマホが震え。
 突然の着信に驚いて、スマホを落としそうになった。
「もしもし!」
『やっと繋がった~!』
「三月、どこにいる」
『入り口の辺りを、ずっとぐるぐるしてたみたい』
 ぐずぐず鼻をすする音。安心したら、脚から力が抜けて。丹恒が慌てて支えてくれる。
「俺たちもこれから移動する。そこから動くな」
『うん! わかった!』
 なのの元気な声を聞いたら、安心した。
「決まりだな」
「問い詰めるのは後! 丹恒、戻ろう」
「ああ、そうしよう」
 手を繋ぎ、ゆっくり歩む。
「二人とも~!」
 なのが飛びついてきたのを二人で慌てて支える。