
ジグさんはスプラッタが苦手なので、魔物の解体作業はエット君のお仕事
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「こなくそっ!」
眼球を狙って放った弾は硬い
嘴に
阻まれたが、
跳弾が羽根の付け根に当たる。
角に
劈く絶叫を上げて暴れ出すソイツの懐に飛び込んで、相棒が冷静に喉元に短剣を突き刺した。そのままその場で反転し、もう片方の短剣を心臓に突き立てる。
そしてさしたる抵抗もなく、獲物は無事に屍となった。
「ふー、何とか始末できたか。」
煙が上がる銃をホルスターに
収めると、改めてまじまじとそれを見る。
「それにしても
……、でけぇな。」
でけぇ種族の中でも背が高い方である、オレよりもさらに倍以上デカいドードーを見て思わず
呟いた。
「巨大だとは聞いたけれど、まさかこんなに大きいなんて、普通は思わないよね。」
俺の隣でやはり同じように見上げたアイツも、
呆れた様子で愚痴を言う。
リムサ・ロミンサの冒険者ギルドの長であるバデロンから押し付けられた依頼は、突然変異で巨大化したドードーの討伐。巨大化っつってもせいぜい一回りか二回りくらいでかくなっただけだろう、と思ったらまさかのサイズ。
こりゃ誰もやりたがらねえわけだよ。
駆け出しから下級の冒険者にゃ荷が重く、中・上級レベルの冒険者にゃ
旨味がない。まさしく嫌な意味で絶妙なラインのこの依頼、受けるやつがいないってのも納得がいった。
「しっかし、コイツはどうするかねぇ。」
やれやれとため息をつきつつ、この
遺骸をどう始末したもんか、と悩む。
このままここに置いてはおけねえし、燃やすとしてもどんだけ火力が欲しいのか検討もつかねえ。解体するとしたってギルドに連絡しなきゃなんねえし、手続きも面倒くせえ。
そんなことをつらつらと考えつつぼやく俺を
他所に、アイツは荷物から少し大ぶりのナイフを取り出した。
とてつもなく、嫌な予感がする。
「お前、まさか
……っ!」
「大丈夫、
任せて。」
何故か自信ありげな顔でそう告げると、突き刺してある短剣を引き抜いた。
「ぐぅっ
……。」
漂う血の臭いに思わず鼻と口を押さえて
蹲る。
幼い頃の嫌な記憶が思い出され、嘔吐感も増してきた。
やべえ、倒れそうだ。
そう思って気を失いそうになったその時、嗅ぎなれた匂いに包まれる。背中をさすられる感覚に薄れていた意識が浮上した。
顔を上げれば相変わらずの無表情、だけどその深緑の目は気遣う色が見える。
「大丈夫?」
「なんとか、な。てか、やるならやるで言ってくれ。」
恨みがましく見上げりゃ、ごめん、と目を伏せて小さく謝られた。
まだクラクラする頭を振って立ち上がると、ふらつく体を支えられ、風上の少し離れた場所まで連れていかれる。古びた
柵にもたれて腰を下ろせば、血の臭いが遠くなったせいか、体調も少し持ち直してきた。
「終わったら言うから、それまでここで休んでて。あと、コレ。布一枚あるだけでも違うよ。」
そう言って手渡されたバンダナを鼻から下が隠れるように巻く。優しい
石鹸の香りにほっとしたのも束の間、頼もしい相棒は目線を合わせて
不穏な言葉を吐いた。
「くれぐれも、こっちを見ないようにね。」
そう言う深緑の目は何故か楽しげに歪んで見えて、背筋に冷や汗が伝う。そんなアイツにオレはコクコクと
頷く事しか出来なかった。
しばらくして。
終わったよ、という声と共に目を開ける。
いつの間にか寝ちまってたみてえで、あちこち
軋む体を伸ばしながら見上げれば、とても
清々しい顔をしていた。
そう、ひと仕事終えた、とでも言うような
……。
「取り
敢えず、内蔵関係は埋めたし、肉と皮は確保、羽も綺麗な所は集めたから、これで依頼は完了。あとは報告だけだね。」
つらつらと指折りそう言いながら、アイツは依頼の完了を告げる。
「
――そうかよ。ご苦労さん。」
立ち上がり腰を伸ばしながら、おざなりな返事をする俺の事を気にもせず、相棒兼恋人は嬉しそうだった。
「あの大きさだから、肉も皮もたくさん
採れたし、羽も
風切羽が残ってる。依頼料は少なかったけど、現物で元取れたから良しとしようか。」
そう言いながら、
解体した素材を詰めた袋を抱え、目をキラキラさせながら足取り軽く帰るその背を、複雑な気持ちを抱えながら足取り重く追いかけた。
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