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三毛田
2025-01-27 22:02:38
1092文字
Public
1000字2
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85 085. 不条理シークエンス
85日目
そういうものだと受け入れないで
この世の中は、不条理な事が多い。
それらと対立したとしても、前に進まなければならないのが人生。
産まれてから大半の年月を牢の中に留まることしか許されなかったが、追放という形で外に出ることが叶い。
追いかけてくる男から逃げ、たどり着いたのはここ、星穹列車。
先に乗っていたナナシビトたちと共に、開拓していく間にも不条理はたくさんあって。
でも、彼らは決して立ち止まらなかった。
挫けそうになっても諦めず、前を向いていて。
彼らのように、諦めたくないと思う心を持てるようになっていた。
「丹恒」
「どうした」
「お前は、自分の名前は好き?」
「そうだな。お前や三月が呼んでくれると、〝俺〟が〝俺〟であると再確認できるからな」
「ふうん」
「そういうお前はどうなんだ」
「嫌いじゃない」
でも、どう答えたらいいのかわからない。そんな表情だ。
宇宙ステーションで出会った、星核を宿した青年、穹。
好奇心旺盛で、奇行とも取れる行動をするところも、反対に物静かでどこか諦観している表情を浮かべる時も。
どれも彼なのだろう。
「そうか」
「丹恒」
名前を呼ばれ、穹を見る。
「穹?」
「呼んだだけ」
「そうか」
携帯から顔を上げて嬉しそうにニシシと笑う。
それにつられて、俺も口元に笑みを浮かべ。
「お前がいれば、ちょっとくらいの障害は乗り越えられそうだな」
「ちょっとだけかよ~」
拗ねたような声。唇を曲げ、こちらを見上げ。
「今は、だ」
「ぶー」
抗議の声を上げるけれど、すぐに携帯へと視線を戻し。
「ちょっとだけじゃなかったな」
『お前は、お前だろ?』
飲月君の姿を見せても、彼はそう言ってくれて。
泣きそうになるくらい、嬉しかった。
三月も、俺の姿に色々言うことなく俺を俺のまま扱ってくれたから。
「丹恒、好きだ」
「ああ。俺も、お前が好きだ」
穹からの好意も、しっかり受け止められることが出来るようになった。
それに対し、返すことも。
「
……
」
「穹?」
返答がない。どうしたのだろうか。
「嬉しすぎて、一瞬フリーズした」
「そうなるのか」
なるほど。そういうこともあるのか。
「本当に、好き?」
「ああ。お前からの好意を嬉しく思う」
「こ、恋人になってくれますか」
「構わない。わっ」
頷いたら、思いきり抱き締められて。
その強さと、背中に回された手の熱に驚いて声が出た。
でも、嫌じゃないことにも気づいて。
そっと背中に腕を回す。
「丹恒、大好き」
「俺もお前が好きだ」
好意に、好意を返す。
とても、幸せな事なのだ。
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