つまるところ血鬼術とは(1)

呪術廻戦における、各家に代々伝わる術式的な位置付けで良いのではないかと考察してたら、17巻巻末のキメツ学園設定に「(クロスオーバーやっても)いいよ」って言われた気がしたので(幻聴と幻覚)我慢できなくなりました(ここまでがタイトル)




 日本国内での怪死者、行方不明者は、年平均一万人を越える。

 その被害のほとんどがひとの「負の感情」から溢れ出して形を成した「呪い」による被害だ───と、されている。
……なぁ、伏黒」
「なんだよ」
 伏黒はぶっきらぼうに返した。二人の視線は目の前の壺から動かない。
「俺さ、頭吹っ飛ばしたよな」
 ゆっくりと確認する虎杖の言葉をかき消すように、ずるりずるりと濡れた物体が地を這う音がひどく大きく感じられる。
「あぁ」
 間違いなく致命傷だった筈だ。伏黒は、腰を低く落として構えた。











 ひとが垂れ流す負の感情は、流れ流れて感情にまつわる場所に落ち着くことが多い。たとえば学校であったり、職場であったり、駅や公共施設であったり。
 その中でも学校という場所は、特に多くのひとの感情が定期的に集積する。ひとが入れ替われば感情も入れ替わるからだ。その度に呪いが新しく誕生する。
 呪いを呪いで祓うことを生業としている呪術師の職場は、学校であることが多かった。
 その例に漏れず、日本に二校しかない宗教系の東京都立呪術高等専門学校で呪術師としての研鑽を日々積み重ねている虎杖悠仁と伏黒恵、釘崎野薔薇は、とある夜の学校を舞台に、今日も今日とて異形と戦闘を繰り広げていた。
「その学校には壺があるらしいんだけど、その壺の位置が定期的に変わるんだって。誰も触っていないのにだよ」
 三人の担任の先生をしている呪術師、五条悟は、いつものようにてきとうな姿勢を崩さずに今回の仕事を説明した。
 成人男性の腰のあたりまである教卓に腰掛け、その長い足を悠々と寛がせて、口の中でチュッパチャップスを転がしているその姿は最早お馴染みである。仮にも教師だろうがと伏黒が目を据わらせているのもいつもの事だ。
「で、その壺、すげえ魚臭いからさ、捨てたんだって。でもまた学校に戻ってきてるらしくてさ。割っても割っても戻ってくるし、魚が飛び出してきて云々みたいな噂もちらほらあるから、ま、てきとーにぱぱっと祓っておいでよ」
 魚が飛び出してきて云々の噂のくだり、実は重要なんじゃなかろうか。三人は揃ってそう思ったが、何かを言う前に「じゃ、僕、仕事あるから、頑張ってね」と五条はこれまたいつものようにさっさと教室を出て行った。
 実際に戦闘をする虎杖達を全面的にサポートする補助監督として呪術高専に所属している伊地知に連れられて、三人は夜の学校へ赴いた。
 三人で手分けして件の壺を探し───伊地知が実物の写真を用意してくれていた───すんなり発見されたそれは、なんと一つだけではなかった。
「柄が変わる時があるそうです」伊地知は運転しながら言った。「似たような色、形、大きさですが、共通するのは『魚くさい』ということ」
 その手かがりに従って、結果見つかった壺の数は計二十に届かんばかり。発見次第連絡を取る手筈だったのでトークアプリで通話を開始した三人は、すぐに様子がおかしい事に気付いた。
 壺から、呪力が一切感じられないのだ。
 呪力とは文字通り、感情が形を変えた呪いが持つ力、エネルギーである。エネルギーの痕跡を残穢という。大抵黒ずんでいて、呪術師であればすぐ分かる。なお、一般人には見る事ができない。今回のように呪いが絡んでいる場合、物には呪力が宿り、呪物と化しているはずなのだ。
「呪力が一切感じられないって事は、それぐらい呪力をコントロールするのが上手いか、ただの魚くさい壺か……
「前者なら私達の手に負えないでしょ。五条先生呼ぶ?」
 呪いに知性はない。大抵人外の異形を形どり、意味不明な呻き声や言葉を発しながら自身を認識した人間から襲う。力を増せば増すほど知性が増し、会話が可能になる。前者であるならば、生徒である虎杖たちの手には負えない。
 しかし、現在三人が把握している壺に関しては、「魚くさい」「似たようなのがたくさんある」「呪物ではなさそう」ということだけだった。何か起こるわけでもない。
「呪物ではなさそうだから、取り憑いてる、というわけではないかもしれない」
「どうやって祓うの?」
「無いものは祓えないわよ、馬鹿ね」
「ひでぇ」
 容赦ない野薔薇の言葉に、虎杖は普通にへこんだ。
「それで、全部回収するの? 私嫌よ、魚くさいのが移るわ」
 オシャレに気を使う現代女子高生釘崎野薔薇は、露骨に顔を歪めて腕を組んだ。手を出さないの意思表示だ。伏黒はお前ふざけてんのかと目を眇めたが、虎杖は「あんまりくさいと気持ち悪いよな」と苦笑した。
「取り敢えず、一つ壊してみるか」
 伏黒は嘆息して、気を取り直すように言った。器物破損の許可は伊地知が学校から既に得ている。
「じゃあ、俺やるよ」
 虎杖が迷いなく壺の方に足を進める。その背中を見送った野薔薇の口が勝手に動いた。「ちょっと待ちなさい」
「え、なに」
 振り返った虎杖の視線は釘崎と交わらなかった。
 釘崎は、虎杖の向こうにある花壇から視線を少しもそらさなかった。
「あそこに、壺なんて、あった?」
 三人の緊張が俄かに高まった。一見大した事がないような任務でも気を抜くような事は絶対に無いが、この任務の内容に不穏さがいや増した。
……
 ひとつ、呼吸を深くした虎杖が跳躍して瞬き一つで壺に手を添えた。そのままアイアンでゴルフボールを打ち放すが如く右腕を振り抜く。
 壺は見事に花壇の壺と衝突し、派手な音を立てて大破した。
 風が吹く。塵も残さず、まるでボロ切れのように、壺は消えた。やはりただの壺ではなかった。
 いつ何が来てもいいように、三人は腰を落とした。野薔薇は五寸釘とハートマークが刻まれた可愛らしい金槌を取り出し、伏黒は手を交差させていつでも式神を召喚できるように呪力を廻らせる。
 直後、伏黒は野薔薇を突き飛ばしてその場を飛び退いた。
「っだぁ!!」
「釘崎!!」
 虎杖が反射的に動き、野薔薇が地面とぶつかる寸前で支える。「鵺!!」伏黒が声を張り上げた。寸前まで彼が居た場所に、異形の腕がめり込んでいた。
 伏黒の影から飛び出した異形が容赦なく鉤爪でそれを攻撃する。鵺はすぐに羽を打って空へと羽ばたき、攻撃対象になった主人に己の足を掴ませて退避した。
「おのれェ……!!」
 伏黒への攻撃を外した異形がその身をうねらせる。野薔薇は我慢できずに、腹の底から、全力で、「キッッッッッッモ!!!!! キッモち悪ッッッッッ!!!!!!」怒鳴った。
 壺から丸い肉塊が連なって飛び出ている。肉塊からは短い手がいくつも生えていて、それは伸びたり縮んだりするようだった。耳からも手が生えている。どういうことだってばよ。顔らしい部位には目があるはずの場所に舌をしまい忘れた口が、顎と額にそれぞれ目があった。
 虎杖はもんげ、と口を開けて呆けてしまった。今まで散々気持ち悪い形をした呪いを見てきたが、知性のあるらしい呪霊でここまで変なのは見なかった。まるで幼い子供が画用紙に全力で描きなぐったおれのかんがえるさいきょうのもんすたーである。
「釘崎!! お前、学校にある壺、全部割れ!!」
「ハァ!?」
「させるものかァ!!」
 怒り狂って声が裏返っている異形が野薔薇と虎杖に向かって腕を放つ。虎杖はさっと野薔薇を横抱きにすると、器用に後方へ跳躍し、攻撃を避けながら身を反転させて校庭の方へ飛び出した。
 虎杖が地を蹴った反動で、音を立てて砂地が飛ぶ。もはや爆発後の飛散物並みの殺傷力を持ったそれに、異形は呆気なく飲み込まれた。この隙を逃さず、伏黒は二人と合流した。
「いいか、本体はおそらく中身だが、壺を移動できる可能性もなくはない。俺と虎杖で本体をここに引きずり出しておく。お前は壺を見つけたら割れ。とにかく一斉に割れ」
「しょうがないわね!!」
 一斉に同じものを攻撃するなら野薔薇の十八番である。野薔薇はそっと自分を降ろした虎杖に「アリガト」ぼそりと礼を言うと、すぐに校舎へ走り出した。
「よくも……よくも私の芸術をォーーー!!!」
 よく通る声だな、と虎杖がぼやく。中庭から校庭までは100メートルは離れている。伏黒は自分の陰からトンファーを取り出した。
「破壊するだけでなく!! 魚くさいなどと侮蔑し!! 砂で汚すとはあぁああッアァアあぁ!!!!!」
 のたうち回る異形がいくつかの手に壺を構えたのを認めた瞬間、虎杖は態勢を低くして凄まじい瞬発力でもって異形との距離を詰めた。伏黒も、野薔薇が校舎に入ったのを横目で確認しながら虎杖の後に続く。
「死ねぇ!!!!」
 異質な気配がぐわりと膨らんだ。呪霊が呪術を使う時とはまた違う禍々しさが二人を圧倒する。
 壺から間抜けな音を立てて飛び出した出目金の頰がぷくりと風船のように膨らんだ。
 虎杖は止まらない。しっかりと目を見開いて異形を視認したまま、呪力を廻らせ、背中から腕を引く。
「血鬼術!! 千本針───魚殺!!!」
 なんだそれ、と伏黒が思った時には彼の体は鵺の足に掴まれて宙空にあった。眼下で出目金が膨らんだ口から大量の針を一斉に射出する。虎杖の体を針が何本か貫いた。
「虎杖!!」
 伏黒が叫ぶ。ほぼ同じ瞬間、虎杖の逕庭拳が炸裂した。
「プヒョ!?」
 打撃の半瞬後、虎杖の呪力がぶつかった。ぱぁんと軽快な音を立てて異形の首が弾け飛ぶ。
 びしりと動きを止めた金魚達がはらはらと崩れていく。
……
 終わったのか、と伏黒は一旦地面に降り立った。異形の胴体もどさりと大地に横になった。
 ひとまず虎杖の怪我を診なければならない。虎杖はできるだけ慎重に、それでも躊躇なく、腕や腹、足に刺さった針を抜いた。
「おい、大丈夫か」
「うん、なんともねえ。そんなに深く刺さらなかったし、神経も傷ついてないっぽい」
 動かせる、と肩を回そうとする虎杖を、伏黒は慌てて止めた。「馬鹿、傷が開く」
「帰ったら家入先生起きてるかな。釘崎呼ばねーと、……
……
 二人は努めて深く息をした。
……なぁ、伏黒」
「なんだよ」
 伏黒はぶっきらぼうに返した。二人の視線は目の前の壺から動かない。
「俺さ、頭吹っ飛ばしたよな」
 ゆっくりと確認する虎杖の言葉をかき消すように、ずるりずるりと濡れた物体が地を這う音がひどく大きく感じられる。
「あぁ」
 間違いなく、致命傷だった筈だ。伏黒は、腰を低く落として構えた。











 伊地知は、帳を降ろす程度にしか呪術を扱えない、いわゆる低級術師である。
 大した力を持っていない呪霊であれば、伊地知でも捕獲できるし、対処可能だ。けれども伊地知は補助監督として、高専所属の呪術師へ事務的なサポートを行う方に適性があった。
 危険な場所に送り出すことしかできないほど、自分は弱い。たとえ相手がまだこどもでも、偉そうに何かを言える立場ではないのだ。
 けれども、伊地知はもう決めている。二度と間違えないことを決めている。
……もうすぐ40分か……
 帳はまだ上がらない。任務が終われば、夜の学校を覆っている闇色の帳は中から開けられる。一時間経っても三人が戻って来なければ、伊地知は高専に連絡し、自分にできることをしなければならない。

 しかして伊地知は術師として、生徒にさえ及ばない。

「ん?」
「あれ?」
「む、どうした、二人とも」

 「帳」は結界だ。内と外を明確に線引きするものだ。呪霊が暴れていても虎杖が派手に校舎を壊しても、その騒音が近隣に漏れる事はない。ただいつも通りの夜が広がっているだけだ。それほどに帳は目くらましとして強力なのである。
 曲がりなりにも結界であるので、誰かがその薄い膜を通り抜ければ、それは即座に術者に違和感として伝わるのだが、伊地知はそれを認識できるほどの術者では無かった。

「なんか、音が……
「お前も聞こえたか」
「ふむ。竈門少年、君はどうだ?」
「鬼の匂いは微かにしますけど……善逸、なんの音か分かるか?」

 だから、伊地知は気付かなかった。
 帳を越えて、四人もの人間が学校の敷地内に───あまつさえ校舎内に入った事に、とうとう最後まで気付けなかった。











 釘崎野薔薇の術式は、遠隔操作の類である。名称は「芻霊呪法」という。
 藁人形に憎い相手の髪を絡めて五寸釘を打ち付ける、古典的な呪術である。古くは平安の頃にまで遡るもので、丑三つ時に蝋燭を立てた鉄冠を被り、藁人形に五寸釘を金槌で打ち込んで恨みが届くようにと行う儀式だ。
「あぁった!!」
 あんなにぽこじゃがあったのに、いつの間にか消え失せていたものだから、探し当てるのに時間がかかってしまった。廊下に貼り付けられている洗面所、そのシンクの下。バケツや雑巾に紛れて、陶器の壺が置かれている。
 野薔薇は階段を駆け上がったそのスピードのまま腰を落として器用に廊下を滑り、シンクの下へ足を滑り込ませて壺を蹴り出した。凄まじいスピードで壺が壁に当たる。
 がたがたと震えた壺から、ぬるん、と異様にでこぼことした出目金が現れた。
「ウゲッ!!!」
 あまりの気持ち悪さと魚臭さに、野薔薇は素直に顔を引きつらせた。
「キモいんだよ!!」
 金槌で壺を破壊してから呪術を使う予定だったが変更せざるをえない。河豚のような金魚はぼこぼこと膨らみ、鱗や鰭を増やし、びちゃびちゃと不快な音をさせてこちらに寄ってくる。
 野薔薇は素早く五寸釘を放った。表面は陶器だが、それでも彼女の五寸釘は跳ね返されなかった。
「簪!!」
 野薔薇の呪力が五寸釘を伝って流れ込み、対象を破壊する。蛙が潰れた時のような形容しがたい断末魔をあげて、出目金がのたうち回った。
「やばい、」
 先ほどの壺はチリも残さず消えていた。野薔薇は慌てて破片に五寸釘を刺し直し、金槌を構える。
「共鳴り!!!」
 少し焦ったからか呪術が多少乱れたが、手応えはあった。なんとなく、学校の至るところにあった壺が割れた気がするし、どこか遠くないところでぱりんと小さく音がした。ぎゃあと悲鳴を聞いた気がして、野薔薇はほっとしたのも束の間顔をしかめてあたりを見回した。
……今の、虎杖?」
 伏黒は絶対にそんな悲鳴をあげないだろう。なので消去法で自動的に今の悲鳴は虎杖があげたという事になるのだが。

 虎杖が、ぎゃあと悲鳴をあげる。戦闘中に。

……あるか……?」
 野薔薇の知る戦闘中の虎杖は、とても静かな表情をしている。いつもにこやかな笑みを浮かべている表情筋は消え去り、目は集中のためか見開かれていて、敵である呪霊の動きをひとつとして取りこぼさないように全身全霊をかけている。
 その虎杖が、ぎゃあと言う様を、野薔薇はなかなか想像できなかった。ありそうだけれども。
 ひとまず中庭に戻らなければ。野薔薇は駆け上がってきた階段とは真反対にある階段を一足で踊り場に飛び降りた。だあん、と音がするが聞き咎める人間などいるはずもないので気にしないで「ヒィ!!! ダアンっていった!!!!!」
「!!」
 虎杖の声じゃない、誰か別の人間の声だ。先ほどのぎゃあという悲鳴と似ている気がする。

(嘘でしょ、まさか一般人!? なんでこんなところに、というか帳を降ろす前に確認しなかったの!? なんで夜の学校なんかにひとがいるのよ!!)

「ちょっと!!」
 再び一足で階段を飛ばし、廊下に着地して、野薔薇はその光景に目を丸くした。
「四人!? ハァ、ふざけんじゃないわよ!!」
 反射的にびくりと体を強張らせた四人に対し、野薔薇は文字通り頭を抱えた。
 目立つ容貌をした男が四人も廊下に立っていたのだ。服装は皆ばらばらで、共通点はカジュアルで動きやすそうといった程度である。明らかに学校関係者ではない。腰に差しているのは刀だろうか。大男は大刀らしきものを二つも背負っている。
 
───やだ、(おそらく)いい歳して厨二病?

 野薔薇は天を仰いで溜息をついた。
 こういう一般人に対応するのは虎杖の人誑しの雰囲気や伏黒の淡々とした説明が効力を発揮するのだ。しかし、ここで無視するという訳にもいかない。何があるか分からないのが戦場だ。
「ちょっと、あんた達!!」
「は、はいっ!!」
 額に痣があり、花札のようなピアスをつけている少年が元気よく返事をした。よく見てみると、彼らは呪力の流れが呪術師らしくはない。つまりはやはり、ただの一般人である。野薔薇は彼らの背後にある、裏道へ通じる古いサッシの扉を指し示した。
「いい、なんでこんなとこに来てんのか知らないけど、今すぐこっから出て行きなさい!!」
「そういう訳にもいかないんです、すみません!」
「、は、はぁ!?」
 少年は曇りなきまなこで真っ向から否定し、謝った。あっこれ話を聞かない奴だと野薔薇は早々に匙を投げたくなった。そういう訳にもいかないとかいう話ではない。
 うむ、とどこを見ているのか分からない男も腕を組んで胸を張る。
「俺たちは此処に鬼を斬りにやってきた!! 少女の方こそ、ここから速やかに退避すべきだ!!」
……は?」
 野薔薇はぽかんと口を開けた。
「もうやだ、守秘義務とか知らないんじゃないのこの柱」
……まぁ、煉獄の言う通りではあるが……
 夜目にもわかるほど黄色い頭をした少年と、フードを被った大男が眉間を指でおさえている。対する野薔薇は相好を崩した。
「なぁんだ、高専関係者なの? まぁそりゃそうか、帳、降りたままだしね。応援に来てくれたんですか?」
……
 四人は不自然に沈黙した。
 その沈黙に野薔薇は瞬いた。
 あれ、鬼を斬りに来たと言うからてっきりそういう形を取っている呪術師かなと思ったのだが。少年達は同世代くらいだろうが、全ての呪術師が野薔薇が所属する呪術高専を通るわけではない。
「いえ、俺たちは───」
「そーそーそうです!! 応援に来たの俺たち!!」
「んむ!?」
 何かを言いかけた少年を、先程まで死んだ魚のような目をしていた少年が遮った。煉獄と呼ばれていた男が口を開きかけるが、それより先に大男が身を乗り出す。
「遅れちまって悪かったな、もう始まってんのか? 今回の獲物はどこにいる」
「本体らしき呪霊は中庭よ。今、私の同期が対応中。連絡ないからまだ戦闘中かも。ついてきて」
 野薔薇は身を翻した。じゅれい、と悲鳴のような声が聞こえた気がしたが、敢えて聞こえなかったふりをする。
 四人分の足音が後ろから少しの間を置いてついてきた。
(呪力が感じられないにしても、真希さんみたいに天与呪縛でフィジカルが化け物な呪術師なのかもしれないし)
 敵意も感じないので、ひとまず味方であるのだろう。万が一、いざとなれば五寸釘の錆にするだけである。


 中庭は、惨憺たる光景を呈していた。
 校舎の所々が溶けている。そしてそこにはぬめぬめと脂のようなものを纏った大量の魚が跳ねていた。異形の姿も、虎杖たちの姿も見当たらない。
「虎杖! 伏黒!? ちょっと、どこにいるのよ!!」
「釘崎!!」
「!!」
 上の方から声がして、野薔薇はばっと顔を上げた。鵺の足に捕まって空を移動している伏黒は、所々怪我を負っていた。
「校庭だ、それには触るな!! たぶん毒がある!!」
「指示されたって触らねえわこんなもん!!」
 言い捨てて、野薔薇はさっさと校庭の方へ体の向きを切り替えた。体育館への渡り廊下を越えて、魚の生臭さに顔をしかめながら外に出る。
 校庭では、砂埃をあげながら、虎杖と異形が戦っていた。野薔薇が壺を破壊したから、異形の尾の方には何も無かった。腕が足のように動いたり、鰭が刃物のように鋭かったりで、大分気持ち悪い事になっている。
 直後、加勢しようと踏み出しかけた野薔薇の傍を、三つの気配があっという間に駆け抜けた。
「っ!?」
 野薔薇は思わず立ち止まった。うわあうわあこんなことあるの死んじゃうよやばいよあの男子と喚いている蒲公英のような頭の少年はもうぼろぼろと泣き始めていた。パーカーの袖がぐっしょりと濡れている。
「釘崎、なんだこいつら!! 呪術師じゃねえだろう!!」
「知らないわよ、応援だって言ってたわよ!?」
「ハァ!?」
 上弦だ!! と大男がそれはもう楽しそうに叫んだ。「善逸、さっさとこっちに来やがれ!!」
「ふっざけんな女の子を放って行けるか!!!」
 どうやらこの少年は善逸と言うらしかった。えぐえぐ泣いてる善逸は、それでも野薔薇の前、いや横に立つ。その腰は引けていた。
「あんた……怖いなら無理しない方がいいわよ」
 ダッサイわね、とは流石の野薔薇も可哀想すぎて言えなかった。泣いてるやつにさらなる追撃を加えていいのは、その対象が野薔薇の嫌いな奴か、呪霊か、同期だけである。
「あんた、刀持ってんなら戦えるんでしょ。自分でどうにかしなさいよ、私は行くから」
「ハア゛ッ!?!? 行くの!? 行っちゃうの!? やめといた方がいいよ危ないよ!! ここにいてここにいてくださいお願いします俺ほんとに弱いし何もできないしめちゃくちゃ怖いけど女の子は守るから、守りたいから、ここから動かないでよ、頼むよォ゙ーーー!!!」
 あまりの勢いと汚い高音に、野薔薇は思わず瞠目して身を引いた。恥を晒すな善逸、という叱声がぼんやりと野薔薇の耳に届いた。剣戟に言葉の輪郭が削り取られたようだった。
 闖入者はともかくとして大分消耗している虎杖を回収しようとしていた伏黒も唖然とした。ここまであけっぴろげに素直な人間を、伏黒は初めて見た。
 ごう、と風が唸りを上げる。はっと野薔薇と伏黒が視線を戻した先にはイワシの大群かと見間違うばかりの魚群と、楽しそうに口端を吊り上げた男が対峙していた。
 目にも留まらぬ速さで男が大刀を振るう。直後、彼の斬撃が届いた場所から見ている者の度肝を抜く爆発音が轟いた。
「ハッハー!!」
「うわ……派手なことするな、アンタ……
「おっ、この派手さが分かるか!! 見る目あるなお前!!」
 男の背中に押しやられた虎杖は、快活な声にへへへと頰を緩めた。
「宇髄、気を抜くな!!」
 魚群は未だに健在だった。宇髄に並んだ煉獄が身の丈以上に刀を振るう。
 炎の大虎が牙を剥いたのを、伏黒と虎杖は確かに見た。
 魚群は燃え尽きなかったが、宇髄達に降りかかるはずだった魚群は全て大地に叩きつけられた。魚人はわなわなと震えている。伏黒は鵺の足を握り締めた。
 虎杖に視線を走らせる。彼もこちらを見ていたが、虎杖がひとつゆっくりと瞬いたのを見て、伏黒は肚に気合を据え直した。
 主人の意図を汲んだ鵺がばさりと翼をはためかせる。
「おのれ……おのれ……さては鬼殺隊か、貴様らは!!! のこのこ喰われにやってきた人間を喰う玉壺さまの計画が台無しだ!!! 刀を持っていないくせになんなんだ!!!」
 キェェエッ!!!!
 魚人は耳をつんざかんばかりに仰け反って、その反動をもってびしりと自分を振り回した男を指した。
「特に貴様ァ!!! ……あ?」
 水掻きのある腕で指差した先に居るはずの虎杖は、いつの間にか宇髄の背後から消えていた。

 黒い呪力が、ばちりと爆ぜる。虎杖は、玉壺の間合いに、既に居た。

 なんだ、これは。

 直後、玉壺の頭部を、鵺の翼が強かに打った。鵺の翼は帯電しているため、半瞬、玉壺の動きが鈍る。
 それでも完全な隙とは言えないことを、この二人は短時間で嫌という程学んでいた。
 虎杖の拳が異形の胸にまっすぐ吸い込まれる。黒い光が閃く瞬間、伏黒は跳躍して拳を繰り出した虎杖にタックルした。異形の体は半分弾け飛んでいるが、それでも油断できない。攻撃は来る。伏黒が虎杖ごと倒れたのと入れ替わるように、五寸釘が異形に突き刺さる。
「貴様はァアあぁあァア!!! 喰ってやる、喰ってやる!!!! 絶対喰ってやる、キサマアアアあぁああぁッッッ!!!!」
「るっさいわね、やかましい!!」
 言うが早いか、野薔薇の呪力が五寸釘を媒介に炸裂した。「ギャアアア!!!!」のたうつ異形を尻目に、どうにか立った虎杖と伏黒が異形から距離を取る。
 この隙を逃す煉獄と宇髄では無かった。凄まじい脚力で距離を詰め、流れるような連携で刃を振るう。
 しかし、斬り刻んだのはただの皮だった。
「!?」
「脱皮!!」
「釘崎!!」
 野薔薇の体は動いていた。真正面に異形が迫る。生臭さが鼻をつく。
「女゛ァア゛アッ゛ガッ!!?」
 異形の背を叩き割ったのは、花札の耳飾りをつけた少年だった。
 野薔薇の耳が、鋭い呼吸音を捉える。煉獄が、宇髄が、こちらに突進してくるのが視界の端に入り込む。
「善逸!!」

 いかずちが、疾った。

 異形の頸が宙を舞う。
 雷が落ちたのだ、だってそれぐらいの光があったし、どんという重い衝撃が野薔薇を襲って、まともに五寸釘を放てなった。
 あいつ、あんなに泣いていたのに。野薔薇は唖然とした。
 いつの間に身を翻したのか、少年が跳躍する。あぁもう今日は眩しいものばかり見る日だわ。野薔薇は思わず腕を顔の前にかざした。
 飛んだ頭は真っ二つ。残された体は宇髄と煉獄によって斜め十字に斬り裂かれ、今度こそ、一欠片も残さず、異形は消え去った。

……
 どさり、音がする。野薔薇は息を呑んで音のした方へ顔を巡らせた。
「虎杖!!」
「くそッ」伏黒が吐き捨てる。「傷は深くないが出血がひどい」
「アンタ早く肩貸しなさい!! おっも!!」
「大丈夫ですか!!」
 少年が駆け寄りながら、背負っていたウエストバックから救急の道具一式を取り出した。
「善逸、水汲んでこい!!」
「はっ、はい!!」
 宇髄の声に弾かれるようにして善逸が走り出す。
「少年、貸せ」
「お願いします」
 腕まくりをした煉獄が少年から手拭いらしきものを受け取った。虎杖の汚れが手際よく拭われていく。
 伏黒はひとまず難しい事を考えるのはやめて、虎杖の上の服を乱暴に脱がしていった。服の下にも傷はある。
「いてて、」
「何か噛んでおくか」
「平気っス、……ねみぃ……
「バカ、寝るんじゃないわよ!! 寝たら釘ぶっ刺してやる!!」
「怖……
 野薔薇は伏黒のポケットを勝手に漁ってロックを解除させ、伊地知を呼び出した。
「伊地知さん? 終わりました。虎杖が怪我してます」
『分かりました、すぐに手配を』
「いや、これは普通の怪我でも毒でも無いから、俺達が手配する施設に来てもらった方がいいだろう!」
『えっ、誰かいらっしゃるんですか?』
「!?」
 伊地知の言葉に、三人の時が止まる。手を動かしているのは生真面目な顔をした少年と、煉獄と、「水汲んできました!」と俊足で戻ってきた善逸だった。
「ん? ……えっ、なにこの音、なにこの空気」
……アンタ……
「ヒェッ」
 野薔薇の顔は、女子高生がしていい表情では無かった。おどろおどろしい疑心の音がぎしぎしと善逸を襲う。唇を戦慄かせた善逸に、「お前は絶妙なタイミングで戻ってくるなあ」と自分のことを棚に上げた宇髄が意地悪く笑った。











 数時間後、虎杖は都内のこじんまりとしたクリニックらしき場所で花のような女医の診察を受けていた。彼女は胡蝶カナエと名乗った。
 呪術高専にも主に治療を担当してくれる保健医、家入が勤務しているが、この時間帯で起きているかどうかは怪しい。彼女も十分美人だけど、また別方向の綺麗な人だなあ、と虎杖はにこにこしながら治療を受けた。
 家入はどちらかというと気が抜けない。「ここ解剖していい?」とか普通に聞いてくるし、「解剖しないでくださいね」と先手を打たないと傷を開かれるときがあるからだ。
「はい、もういいですよ」
「ありがとうございました」
「随分丈夫な体なのねえ。本当に痺れも何も無いのね?」
「っス、平気っす」
 俺、毒効かないので、とは流石に言えなかった。
 一般人ではなさそうだが、呪術師というわけでもなさそうである。自分が取り込んでいる特級呪霊の宿儺の事は、そうそう他人に言いふらしていいことでは無い。
「血が足りて無いから、しばらくは安静にね。眠くても、きちんと食べること。念のため、鉄分の薬を出しておくわね。アレルギーはない?」
「うん、無いです。たぶん」
「たぶん?」
「おれ、風邪引いたことないから」
 まぁ、とカナエは目を丸くした後、元気なのはいいことよ、と花が綻ぶように微笑んだ。
「それじゃ、お大事に」
「ありがとうございました」
 今度こそ虎杖は立ち上がって、きちんと頭を下げた。ちょうどその時、診察室の扉がノックされる。「どうぞ」とカナエが答えると、静かに扉が開かれた。ドアノブに手をかけているのはカナエの妹であるしのぶだが、その向こうには虎杖の見慣れた黒ずくめの長身が軽薄に笑っていた。
「あっ、五条先生!」
「や。おつかれ、悠仁。よく頑張ったね」
「へへへ」
 あっ、すいません、と虎杖はしのぶに会釈して診察室から廊下に移動した。入れ替わるようにして、微笑んだしのぶが診察室に入っていった。ぱたん、扉が閉められる。
「伏黒と釘崎は?」
「そこで待ってるよ」
「ほんとだ。お待たせ!」
 怪我をしているとは微塵も感じさせないほど溌剌に、いやいつも通りに、虎杖は少し離れた場所にいた二人と合流した。
「おっ、終わったか」
「あ、派手な兄ちゃん」
 おうよ、と宇髄は得意げに笑った。確かに派手だな、と皆が思う。宇髄は目元に特徴的なメイクを施し、額には大振りの宝石が嵌め込まれている額当てがあてがわれていた。よく見れば手のネイルも赤と緑でひとつずつ違うし、とにかく何かとじゃらじゃらしている。それら全てが嫌味でないので、野薔薇は顔がクソいいのね、と半ば呆れた。
「兄ちゃん、さっきは庇ってくれてありがとな」
「ハッハ、崇め奉れ。お前もド派手だったぜ。お前達もな」
「あら、それはどーも」
……
 伏黒は小さく会釈するに留まった。
「お前ら三人、鬼殺隊に勧誘したいくらいだ。派手にな。さっきの戦いっぷりを見るに、化け物には慣れてるんだろう?」
 伏黒と野薔薇は虎杖を見た。正確には虎杖が取り込んでいる状態の宿儺を思った。虎杖はあっけらかんと素直に「まぁね」と答えた。五条は吹き出すのを奥歯を噛んで堪えた。
「つか、きさつたい? って、なに?」
「字面のまんまだよ。鬼を殺す部隊さ。戦国の御代からあるらしいぜ」
「鬼?」
「お前が何度も頸ぶっ飛ばして腹に穴を空けた化け物だ」
 あぁ、と虎杖は納得した様子を見せた。呪霊じゃなかったのかよ、と伏黒は五条を睨みつけて、その視線を感じた五条は口元だけを生真面目に整えて片手を軽く立てた。めんごとでも言わんばかりである。
「アレ、虎杖が頭をもいでも体ぶっ飛ばしても祓えなかったじゃない。どうして?」
「派手にいい質問だ、娘」
 むすめ?
 野薔薇の形のいい眉が歪む。天元はびしりと野薔薇を指していた。やだこの2m級巨人、人を指さすなって教わらなかったのかしら。巨人だから仕方ないわね。
 野薔薇が失礼な事を考えているとは露知らず、宇髄は鬼の弱点を簡潔に述べた。
「日の光に照らすか、それを浴びて変質した玉鋼から鍛えられた『日輪刀』で頸を斬る。それしか鬼を殺す方法は無い」
「じゃ、兄ちゃん達が来てくれなかったら朝まで戦う事になってたんだ」
「感謝しろよ」
 いわゆるドヤ顔を整えた宇髄にありがとうと笑ったのは虎杖だけで、野薔薇はお世話になりましたと言葉だけは殊勝に言った。伏黒は無言で頭を下げた。
「で、お前らは、なんだと思って鬼と派手に闘ってたんだ」
 虎杖たちは揃って五条を見やった。五条はあっさりと「呪霊っていう化け物だよ」と答えた。
「呪霊? 地味に訳わかんねぇな」
「普通の人には見えないからね。分かりやすく言うと怨霊とか。僕達はそれを祓う呪術師をやってる」
……陰陽師じゃねぇのか?」
「ちょっと違うかな。神様の力は借りれないから」
 ふうん、と宇髄は探るように五条を見やったが、彼は目元を黒いネックウォーマーのようなもので覆っているので、軽薄さ以外に把握出来ることは少なかった。
……お前達の名前やら背格好やら詳しい事は伏せるが、呪術師だとかいうのは上に報告させてもらうぜ。構わねぇな」
「いいよ。お互い、いい関係が築けるだろうしね」
 そうかよ、と宇髄は鼻で笑って、虎杖の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。
「じゃあな。今夜は助かったぜ。時間取っちまって悪かった。もう遅いが、ゆっくり休めよ」
 三人に向けて言い置いて、宇髄は虎杖たちを通り過ぎた。そのまま、奥の部屋へと入っていく。
「あ」
「なによ」
 不意に虎杖が声を上げた。
「他の人達、どうしたのかな」
「それなら、あのどこ見てるか分かんない人の車でとっとと帰ってたわよ」
「そっか、良かった。手当してくれた礼、言いそびれたな」
「伏黒が代わりにやってたから大丈夫よ」
「マジ? サンキューな、伏黒」
 何故言った、という伏黒の視線をものともせず、野薔薇は颯爽と玄関から外へ出た。表には伊地知の車が停まっている。伊地知さん、と虎杖も駆け出した。血が足りない人間とは思えない。
「恵」
……なんですか」
 あら、と五条は目隠しの下で瞬いた。
「怒ってんの?」
「別件かどうかくらい、あんたなら判断できたでしょうが!!」
「えぇ〜? 無理無理、さすがにそこまで暇じゃないよ」
「っ……
 伏黒は、どうにか百万語を飲み下した。ぐるぐると喉が鳴っている気さえする。五条の姿を視界に入れるだけで何かが飛び出してしまいそうで、伏黒はぷいと彼から顔を背けた。
「ところでさ」
……
「影に入れて持ち運べる物の量、今のところの制限ってどれくらい?」
……まだ把握してねぇけど、持ち運びだけなら……武器庫の物ならほとんどいけます」
「そっか。重畳、重畳」
 顔を背けつつもきちんとぼそぼそ答えた教え子の背中を軽く叩き、五条は車に乗るよう促した。
「あれ、先生は? 乗んないの?」
「僕はこれから仕事。おやすみ、三人とも」
「おやすみなさい! 任務、がんばってね!」
「とんだブラックね。ちゃんと休めって人のこと言えないじゃない。はいこれ」
「え、チョコ? くれんの? ありがと、野薔薇」
 伏黒が車に乗り込んで、伊地知が車のエンジンをかけた。
「じゃあ、気を付けてね」
「先生もね!」
 伊地知がゆっくりと車を発進させた。五条が手を振っているが、全身黒ずくめなのですぐさま闇に溶けてよく分からなくなる。
 100メートル先、右方向ですとカーナビの声が雑音混じりのラジオの合間に滑り込んだ。
「ついたら起こしてあげますから、眠っても大丈夫ですよ。ここから一時間はかかりますから」
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「すみません」
 伊地知の運転は丁寧だ。静かな車の振動と、ささやかな音量のFMラジオはくたくたの体をすぐに眠りに誘った。



 後日、呪術高専宛にいくつか日輪刀が納められたり鬼殺隊のメンバーが数人、高専に押しかけたりと様々あったが、それはまた別のお話。