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桜霞
2024-04-24 09:45:15
7107文字
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【大量クロスオーバー】なにもない清涼学園
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【なに清】一月
※大量クロスオーバー現パロ
※読んだ後の苦情は受け付けません。
※大量地雷製造機です。爆散しない人だけ読んでください。
【登場人物】
片岡桜:主人公(?) 学生の中ではほぼ最強。
お師匠:ただものではない。
沖田総司(薄桜鬼):小学校低学年の頃、近藤さんの道場に連れてこられた桜さんにコテンパンに負かされて以来、幼馴染をやっている。桜とは同い年。
土方歳三(薄桜鬼):清涼学園で古文を担当している。謎に仕事が減らない苦労人。
近藤勇(薄桜鬼):清涼学園高等部学園長。また道場やりたい。
原田左之助(薄桜鬼):清涼学園保健体育教師。昔住んでたとこでヤンチャしてこの街に引っ越してきた。
騰蛇(少年陰陽師):桜の住んでいるアパートに住んでいる大学生。いつの間にかアパートの賄いさん兼保護者ポジになってしまった。
一月
きん、とどこか厳かな空気に、自然と背筋が正される。吐く息は白く、肌が出ている部分が少しだけ痛かった。
寒い。張り詰めているのではないこの静かな雰囲気が好きだ。雪が降りそうだなと思う。
独特の雰囲気を持っている冬を、桜は嫌いではなかった。冬はすべてが静かだ。夜は特に。
「あぁ、いた」
不意に声をかけられて、桜は瞬いた。研ぎ澄まされていた心の内が、ほろほろと崩れていく。
「瞑想でもしていたのかい」
ゆるりと微笑んで、彼女は腕を組んだ。もこもこの半纏は、見ているだけで暖かそうだ。
桜は少しだけ首を傾げた。瞑想をしているように見えたのだろうか。そんなつもりはなかったのだが。
彼女は息を吐いて、目を細めたらしかった。目元まですっぽりと覆い隠す前髪が、少しだけ動いた。
「いいねぇ
……
」
何がだろう。桜はまたしても首を傾げる。
「あんた、冬がいっとう似合うね。いい。良い。きれいでも、美しいでもないな」
桜は少しだけ眉根を寄せた。それは褒められているのだろうか。彼女はふ、と口端を釣り上げると、ついといでと身を翻した。
中庭に棒立ちになっていた足は冷えて固まっていた。土の感触も、冷たい板張りの廊下の踏み心地も大して変わらない。血が通っていないのではないだろうか。
途端に体が冷えを自覚して、桜は何度か身震いした。慣れているとはいえ、この時間に着物と袴でいるべきではなかったかもしれない。
彼女に連れてこられたのは土蔵だった。鉄の塊である大きな南京錠は、氷のように冷たかった。下手をすると皮膚が引っ付いたまま剥がれてしまいそうだ。
半纏に手をしまったまま、器用に南京錠を持ち上げて、大きく長い鍵で錠を外す。彼女が手をかけなかった方の扉に手をかけて、桜は全体重をかけた。
ぎぎ、ぎ、と昼時分ならともかく、まだ夜も明けきらない早朝では近所迷惑にしかならない音が響く。古い土蔵の扉は重かった。
「
……
」
「まっくろくろすけでも出そうだな」
奇しくも似たようなことを思っていた桜は、思わず彼女の方に顔ごと視線を向けた。彼女はごそごそと懐を漁っていたが、やがて「やべ、懐中電灯忘れた」あーあ、と脱力した声を出した。
土蔵は暗い。闇よりも深く、暗く、そして濃い闇を讃えている。そのまま別世界へ繋がっていそうだ。物陰も何も見えたものではない。
「取りに行くのも面倒だな」
彼女が腕を組んで思案している間、桜は土蔵の壁に手を這わしながら中へ進んだ。蟹のように横ばいで進む。少しして、かちり、という音と共に、蔵の中に光が満ちた。
「お、」
じじ、と音を立てて裸電球がやんわりと明滅する。消えそうだなぁ、と彼女がぼやいた。
「しかし、電気なんていつ通したっけね」
「
……
」
家主なら覚えておけよ、という桜の半眼なぞどこ吹く風で、彼女は土蔵の探索を始めた。
「おまえ、餅つき用の杵と臼、どこにしまったか覚えてないかい」
杵と臼。手持無沙汰になりそうだった桜は、瞬きして、土蔵の奥へ一歩進んだ。
「餅つき」
「あぁ、今年もするよ。去年の、お前、気に入りだったろう」
「うん」
桜の目が心なしか輝いているのを見て、彼女は笑みを深めた。
「そら、餅が食いたきゃ発掘作業だ! お前、ちょっと二階を見ておいで」
「うん」
急な傾斜になっている狭い階段を、桜は身軽に上って行った。
二階は、小さな天窓があって、少しだけ光が指していた。一階にあったものと似たような白い小さなプラスチックの箱が壁に張り付いているのを見つけて、手を伸ばす。
かち、という音から少し遅れて、淡い橙色の光がふわりと広がった。一階と違って天井が低いからだろうか、とても狭く感じる。
普段滅多に入らない蔵はとても埃っぽい。しかし先日大掃除の折にこの土蔵も片付けて掃除をしておいたので、くしゃみをすることもない。桜は大掃除の時の達成感を思い出しながら、きょろきょろと辺りを見回した。
そもそも大掃除の時に蔵の物はある程度虫干しと称して外に出しておいたはずである。一階に置いてある桐の箪笥などは重すぎるため運び出さなかったが、臼と杵程度ならそのまま外に出しておけば良かったものを。
桜は物陰を覗き込み、布を避け、木箱っぽいものの蓋を開けようと奮戦したが、目的のものは見つからない。
「おぉい」
階下から彼女の声が聞こえて、桜は階段用にぽっかりと空けられた穴から顔だけを出して下を覗き込んだ。項で結んでいた髪が垂れる。
「臼あったわ。杵は?」
「無い」
「えぇー? まさかぁ」
「大掃除の時に、どこにしまったんだ」
「あぁ、そういやあらかた出して手入れしたね、」
あ、と彼女は何かを閃いたように目を見開いた。
「紫の、ふわふわしてるでかい布に包まれたのがあるだろう」
「うん」
「あれの中かも。あっ開けるな、いま上に行くから、動かさずに待ってなさい」
彼女の言葉を皆まで聞かずに引っ込んだ頭に、彼女は慌てて階段に足をかけた。
桜は身の丈の倍ほどもある紫の布に包まれているものを取り出しやすいように、手前に置かれた小さな箱類をどかしていた。
「いい、ゆっくりだからね」
「うん」
二人で息を合わせて、紫の、ずっしりとした重さのそれを横に倒し、平たく潰れた大きな蝶々結びをほどいて、布を開く。その先にあるものに、桜はぎょっとして思わず手を引いた。
烏の濡れ羽色の漆で覆われた、いくつもの細長い棒のようなもの。そしてその先にあるのは、それぞれ見事な衣装が施された覆い。
「
……
」
絶句する桜に、彼女は言っていなかったっけ、と意外そうに眼を瞬かせた。
「二階は武器庫だよ。これは槍。あと薙刀、」
「見れば分かる」
「そしてこれは棍棒か何かだと思った杵」
ばさ、と彼女は勢いよく布をめくった。
「
…………
」
複数の槍や薙刀と紐で一緒くたに縛られていた木製の杵を見て、桜は思わず己の師匠を据わった目で見やった。
「いやー、いつの間に? と思ったけどまぁ気にしない方向で纏めたのをついさっき思い出してね! そっかー餅つき用の杵だったかー」
そっかー、ではない。
押さえておいてね、と言われた通りに、まとめているものが崩れないように抱え込んで待機する。杵を取り出し、改めて紐で括り、彼女はてきぱきと長大な武器達を再び布で覆った。
「ほんとは警察に届けなきゃならないんだろうけど、面倒でな」
え。
「
…
は?」
「ん?」
布で覆った武器をを壁に立てかけ、動かした箱などを元の位置に戻す。その際にあっけらかんと言われた言葉に、桜は思わず動きを止めた。
彼女は杵を肩にかけ、陽気にこちらを顧みる。
「ついでに言っとくとそこに入ってんのは刀で、あれはその手入れ道具」
「、」
今まで自分が移動させていたそれを指されて、桜は思わず半歩それから遠ざかった。
「あれはなんだったかな。鎖鎌だったか? 後はあれも刀だ。揃いの二刀はそこ、仕込み用の細いのがあれで、あそこら辺のこまごました奴は暗器」
「あんき」
「暗器だ」
もっともらしく頷いて、彼女は階段に足を置いた。
「誰にも言うなよ」
「
…………
」
この屋敷に本物の刀や武器があることは知っていた。それが人を殺すことのできる道具で、いま自分はその道具を使って人を殺す術を学んでいる事を、桜は自覚している。
自覚している、けれども。
「
……
」
おーい、と外から自分を急かす声が響いている。桜は振り切るようにして蔵を後にした。
◆
「明けまして!」
「おめでと
―――
っ!!」
カンパーイ!! と場が湧いた。
新年明けまして二日目の昼である。桜の通う道場には、様々な人が入り浸っては、新年が明けた挨拶などをして定期的に賑やかになる。
全てこの道場を取り仕切る師匠の顔の広さ故だ。時には有名企業の社長、今でなお財閥と呼ばれるその筋の有名人、見た目からして堅気ではない方々、等々。
桜は手伝いとして前日の夜から泊まり込み、下準備に走り回る。酒やおせち、口直しの用意など。かと言って、桜が何かを作るわけではない。
おせち料理とはそもそも、年中忙しい奥方が正月くらいは水仕事をせずに済むように考案された保存食の集大成である。桜は料理の配膳と、酒が切れないように補充する役を担っていた。
「桜」
ひと段落ついて、三和土にしゃがみ込んで休んでいた桜は、声のした方を見て立ち上がった。
「左之さん」
「おう、明けましておめでとうさん」
「おめでとうございます」
「これはご丁寧に」
ぺこ、と頭を下げた桜に、左之も体を折り畳む。
「今年もよろしくな」
「よろしく」
にか、と笑った左之に、桜はうん、と頷いた。
「忙しそうだな」
「うん」
「昼、食ったか」
「まだ」
「昼飯、持ってきてねえのか」
「騰蛇が」
「あぁ、挨拶ついでに持ってくるのか。じゃ、着替えてくる」
「?」
首を傾げる桜に、左之は苦笑した。
「俺も手伝うさ。名目上、師範は俺だしな。一番弟子の姉さんにばっかりいろいろさせるわけにゃいかねぇよ」
桜は片眉を跳ね上げた。左之はいつもの調子で奥に消える。
この道場の一番弟子は桜である。だからこそ、師匠の言いつけを細々とした雑務までこなさなければならない。
とは言え桜はまだ学生なので、二番弟子だが既に成人し、教師という職をきちんと得ている左之が表立って師範の名を背負っているのだ。
年齢はそうでなくても、左之にとって桜は姉弟子であり、桜にとって左之は弟弟子だ。立場的振る舞いを強制しない道場だが、それ故か、門人の多くは時折からかうように桜の事を姉と呼ぶ。
その度に桜は少しだけ眉を跳ねさせて、居心地悪そうにする。姉弟子だからと何かをしたこともないし、するつもりもない上、何かしなければならないと言われたこともないからだ。
桜は気持ちを切り替えるために勝手場から屋敷に上がって、広間の方へ行くことにした。
左之も手伝いに加わり、桜は多少楽ができるようになった。酒の補充は左之が率先して行ってくれたからだ。
仕方がないことだとわかっていても、自分より倍多く瓶を抱える彼に、桜は少しだけ悔しく思った。
「あ、いた。姉さーん」
「む」
新しい料理をせっせと運びこんでいた桜は、自分を呼んだ人物を認めてそそくさとそちらへ移動した。
「明けましておめでとう。今年もよろしくね」
「よろしく。飯は」
幕末の剣豪と同じ名を持つ彼は、猫のような目を細めて、おかしそうにくすりと笑った。
「あるよ、はい、お手伝いお疲れ様。騰蛇さんは挨拶に行ったから、少ししたら戻ってくると思うけど。ここで食べてく?」
「いや」
紙袋を受け取って、桜は首を横に振った。
「じゃぁ、僕もそうしよ」
言って、総司は取り皿に次々と料理をひょいひょい乗せていく。なんだかんだ食べ盛りの高校生である。器用に両手で皿を三枚持つと、二人は立ちあがって広間を後にした。
「この家、ストーブあったんだね」
勝手場に入って、総司が口にした一言目だ。石油ストーブは赤々と火を焚いて、その周りだけあたたかな空気を提供している。
総司がストーブを見て意外そうにするのも無理からぬ、と桜は思った。
電化製品が当たり前、むしろその電化製品の省エネがなんとやらともてはやされる時代に、この家にはエアコンの一つも存在しないのである。
夏はすだれをかけて、冬は火釜を出して、鉄の灰掻き棒で炭を燃やすのだ。勿論外に面して設置されている勝手場にも暖房は存在しない。
しかし、張り出している板張りの腰かけに燃え移らないように程よく離れた場所に置かなければならないため、桜はあまりその恩恵を感じたことはない。それでも無いよりマシである。
騰蛇が用意してくれた弁当を食べ、総司が取ってきた皿からつまみ食いをする。総司が飲み物も取ってくれば良かったな、とぼやいたが、ここは勝手場である。桜はもごもごと口を動かしたまま鉄やかんを取り出した。
「うわ、それ何?」
「やかん」
「やかん? あ、南部鉄器ってやつ?」
「いっぱいある」
「なんでいっぱいあるの」
「知らん」
水を入れて、石油ストーブの上に置く。あとは沸騰するまで待つだけだ。その間に茶葉を急須にはめてある茶こしに入れて、蓋をしておく。
「向こうの飲み物はどうしてるの?」
「さぁ。そこまでは」
「毎回思うけど、毎年すごいよね。やっぱり会社とかに頼んでるの?」
「用意してくれる人がいるらしい」
詳しいことは桜は知らないが、師匠が手ずからおせちを作るのは身内の分だけだ。ここまで大勢のものとなると用意しきれない。そのため、師匠が今まで世話をしたうちの一人が毎年手を回してくれているそうだ。
「私は料理だけ」
「ふーん」
「お、総司じゃねぇか。おめでとうさん」
「左之さん」
少しだけ慌ただしく勝手場にやってきた左之に、総司はおめでとう、とにこやかに返した。空の瓶をラックに手際よく入れた左之は、新しい瓶をまたいくつか腕の中に抱えた。
「総司が来てるってことは、近藤さんも来てるのか」
「うん、理事長代理だって。おつきの土方さんもいるよ。僕はおまけ」
「そうか、なら、挨拶してくっかな。桜、それ食べ終わったら、もち米見とけ」
「!」
それまでもくもくと食事をしていた桜の目が輝いた。
「あぁ、もちつき?」
総司が瞬く。去年の美味しかったもんね、と言うその声は多少上ずっていた。
「その為に俺が呼ばれたようなもんだからな」
「そんなこと言って、去年はお師匠さんにいいとこ見せようと取り合いになったじゃん」
去年の騒動を思い出して、総司は肩を揺らした。左之はあぁ、と視線を彷徨わせる。去年は餅つきが始まってしばらくしてから参加したので、よく知らないし、覚えていない。
流されるままに数度餅をついて、頂いたような、そうでないような。
「そうなったらなったで、まぁ仕方ないな」
「左之さんのがいい」
間髪入れず、桜が口を開いた。総司が追いかける。
「僕も左之さんのがいいなぁ」
「なんだよ、わかったよ」
片眉を跳ね上げて、左之はそれでも嬉しそうに笑った。そうして踵を返し、新しい酒を届けに広間に戻る。
「きなこと、砂糖醤油と、」
「あんみつは?」
「無い。いやまて。
……
あっ
……
た
…
?」
「う~ん、なさそう」
指折り数え、首を傾げる桜に、総司は仕方ないかと苦笑した。
食に貪欲な桜の事だ。あったら覚えているに決まっている。こうも記憶があやふやなのは、似たような見た目の違う種類のものを記憶しているからだろう。
綺麗に平らげた皿を勝手場の洗い場に、弁当箱を袋に入れ直して、総司は広間へ戻って行った。桜はもち米を見るために、いつも食材を置いている板間へ駆けて行った。
総司が広間に戻った時には、既に土方と近藤の姿もそこにあった。
「おぉ、総司。どこに行ってたんだ」
「姉さんと勝手場にいました」
「そうか、片岡君も来ているのか! そう言えば、彼女はここの一番弟子だったな」
酒が入っているからか、近藤の顔はうっすらと赤い。表情もどこか緩んでおり、総司もつられて微笑んだ。
「それにしても、早いもんだなぁ。総司が片岡君の事を姉と呼ぶようになってもう
……
五年か?」
「今年で、五年目だな」
土方が静かに訂正する。近藤は大らかに笑った。
「はっはっは、そうか、もう五年になるか! どうりで総司がこんなに大きくなるわけだ!」
「でかくなったよなぁ
…
」
感慨深いのか、呆れているのか、どちらとも取れるがどちらとも取れない嘆息交じりの言葉に、総司は飄々と返した。
「僕としては土方さんを抜かせたんで、もう満足なんですけどね」
「ん? だめだぞ、総司。満足というのは、そんな簡単にするものではない」
「え」
瞬いた総司を、まっすぐな光を宿した近藤の瞳が貫いた。
「お前はまだまだこれからだ。現状に満足なんてせずに、もっともっと大きくなれ」
そうでなければ、お前の姉から一本取る事は夢のまた夢だな。
最期に悪戯っぽく付け足して、近藤はにやりと笑って見せた。
「
……
はい」
総司は力強く頷いた。
「今年こそは、姉さんから一本取りますよ」
「おぉっ、その調子だぞ、総司!」
「是非そうしてくれ」
苦虫を噛み潰したような表情で、土方がそう絞り出した。それに重なるようにして、餅つきやるよ、と庭の方から声が響く。
「お、今年もやるのか」
「そういや、さっき原田が言ってたな」
「僕、取ってきますよ。土方さんはきなこだけでいいですよね」
「ちゃんと餅も持ってきてくれ」
「土方さんは醤油だけですね、分かりました」
「餅!! 餅ちゃんと持って来い!!」
「えっ海苔だけ?」
「白い!! 餅!!!!」
最期まで土方の言葉を聞かずに、総司はひらりと身を翻した。あの野郎、と嘆息する土方の目に宿る光は、しかし柔和なものである。
二人のやり取りを眺めていた近藤も、ことのほか嬉しそうに眼を細めた。
「なぁ、トシ」
「なんだ、近藤さん」
「今年も、いい一年になるといいなぁ」
「
……
あぁ、
…
そうだな」
ほら、と土方が徳利を傾ける。近藤が嬉しそうに盃で受けた。
庭の方からは、賑やかな歓声が沸き起こっていた。
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