三毛田
2025-01-26 14:05:05
3677文字
Public 穹丹
 

水面に広がる蒼を腕に抱き

第2回穹丹ドロライ
お題:【夢】【お風呂】
#caehengdrwr
飲月姿だとカントボーイの丹恒

 外出して帰ってきて、さて風呂に入ろうかと考えていると、衣擦れの音がして。
 そちらを向くと、丹恒が脱衣エリアで服を脱いでいた。
 俺が誘った時は、すげなく断っていたのになぁ。って気持ちが強くなる。

「珍しいじゃん」
「そうだな。邪魔をする」
「どうぞ~」

 服の下から現れる、鍛えられていると一目でわかる肉体。
 それを惜しげもなくさらし、シャワーブースの仕切りも締めることなく全開で全身を洗っていて。
 まったく隠す気もなさそうで、堂々としている。そこは見習いたい。いや、見習っていいのだろうか。
 まあ、彼の裸体は見慣れているからいいけど。

「丹恒、服洗う?」
「頼んでもいいか」

 濡れた髪を耳にかけ、頷く。すごく色っぽい。

「いいよ~」

 かごに入っている丹恒の服を洗濯機に入れ、長湯してもいいように飲み物を取りに行く。
 戻って来ると、彼はゆっくりと爪先から浴槽へと入っていくところで。
 その姿の美しさに、やろうとしていたことも忘れて見惚れる。

「お前は、入らないのか」

 お湯に体を沈めてから俺の視線に気づいて、そう問いかけてきて。

「服脱いで、乾燥までセットしたら、入る。これから洗濯するから、乾燥するまで風呂に入ってるだろ? これ、あげる」
「ありがとう」

 笑みを浮かべ、水を受け取る。美人すぎるだろ。
 下半身に熱が集まりそうになるのをどうにかしようと、服を脱いで洗濯機に投げ入れて、洗剤を入れてからスイッチを入れる。
 精神統一も兼ねて、いつもより時間をかけて髪を洗っていると、柔らかな鼻歌と共に、時折耳慣れない音が届く。
 ここには俺と丹恒しかいないし、機械類も故障している様子はない。
 体も隅々まで洗って髪の毛の水気を軽く払ってから、浴槽の方へ。
 そして、音の出どころに気づく。
 丹恒だ。
 鼻歌と共に、喉を鳴らしている。
 横に長く、尖った耳。サラサラの、碧いインナーカラーの入った長い髪。額からは透明な角。
 時折水面を軽く叩く、透明な尻尾。

「丹恒。飲月になるくらい、気持ちがいい?」
「っ?!」

 俺の声に、彼は慌てたように己の額に触れ。それから、顔を真っ赤にする。
 驚いたのか、尻尾は水面を叩いて。
 その動きも含め、可愛い。

「じゃあ、俺も失礼してっと。ちめたい!」

 爪先を入れたところで、想定外の冷たさに慌てて足を引っ込める。
 温度計を見上げると、今の水温はほぼ水。

「す、すまない穹。その……たまには、水風呂に入りたくて」
「それを先に言って! びっくりした……

 爪先だけでよかった。全身入っていたら、飛び上がっていただろう。

「もう出るから、温めて入ってくれ」
「待って待って。んんっ」

 ザバッと出てきた丹恒の下半身を直視してしまい、さっと視線を逸らす。
 普段は気にしていなかったけど、飲月の時は俺の前で裸になりたがらない理由がちょっとだけわかってしまった。

「丹恒。丹恒が我慢できなくなる温度まで、一緒に入ろうよ」
「だが、そうするとお前が風邪を引く」

 困ったように眉を下げる。それと同時に、ぺしょっと耳も下がって。

「俺が入れる温度になるまで丹恒が入ってて、入れるようになったら。少しだけ、な?」

 どう返答しようか悩み様子で、毛先を指に巻き付け。
 俺は彼が逃げる前にスイッチを入れ、浴槽の縁に腰かける。
 こちらが折れないと悟り、丹恒は渋々水の中へと戻って。

「我慢できなくなったら、すぐに出るからな」
「それでいいよ」

 髪の毛をそっと撫でると、気持ちよさそうに目を細め。
 くるくると、小さく喉を鳴らす。

「角、触っていい?」
「少しだけだ」

 そっと頭を前に倒し、角を差し出して。
 ちょっと手の温度が高い気がするので、一度浴槽の中に手を入れて温度を下げてから、触れる。

「冷たい」
「そうか」
「舐めたら、怒る?」
「それはさすがにやめてくれ」
「うん。やらない」

 優しく、指の腹で表面を撫で付け根に触れると、

「んっ」

 ぴくりと肩が揺れ。

「気持ちいい?」
「お前に、胸を触られているような感覚に近い」
「性感帯?」
「違うと信じたい」

 両方の角の付け根から皮膚との境目を、指先でなぞっていると頬が紅潮していって。瞳もとろんと蕩けていく。
 可愛いと思うと同時に、下半身に熱が集まっていくのを感じ。

「丹恒、お前の中に入りたい」
「この姿じゃ駄目だ」
「その姿のお前に、入りたいんだ」

 駄目だと軽く首を横に振るけれど、俺が欲情しているのは〝今〟のこの姿なのだ。

……考えさせてくれ」
「俺が風呂を出るまでに、考えてて」

 そっと角から手を離し、浴槽の中に手を入れるとそろそろ入れそうな温度になっているのに気づく。

「丹恒は、出る?」
「出たい……心の準備を、させてくれ」

 懇願するように俺を見つめてくる瞳は、普段と違い光を宿しているものの、蕩けているままで。
 パシンと、尻尾が水面を叩き。

「わぶっ」
「お前のせいだ」

 水をたくさんくっつけたまま、尻尾で俺の頭を叩いて。
 そして水のボトルを持って、脱衣エリアに置いておいたバスローブを羽織って出ていく。

「あの下半身、エッチすぎるだろ……

 キュッと締まったお尻は、何度見てもセクシーだし、滑らかな下生えの一切ないそこはかぶりつきたいくらい美味しそうで。
 叩かれた箇所をさすってから、浴槽の中へ入る。
 さっきとは違い、適温になったお湯は心地よい。

「ん?」

 水面にキラキラしているものが浮いていて、拾い上げると青緑色の鱗。

「あー……腰の辺りに、鱗があったな」

 もしかしたら、それが剥れて浮いたのだろう。

「そもそも、あの鱗って剥れるのか?」

 霊砂にも鱗があったが、デリケートな事だろうと思って聞いてないんだよな。
 チャットで聞いてみるか。病気とかだったら、大変だろうし。
 アロマを焚き、スラーダを飲みながら、リラックスする。

「あ、終わった。丹恒、洗濯機止まった~」

 扉の方へと声を張り上げると、洗面所側の扉が開いて丹恒は洗濯機から服を取り出して、皺を伸ばして持っていく。

「っ!?」

 チラッとこちらを見て、それからバスローブの合わせ目から太腿を見せ、更にはちょっとだけ下半身を見せて出ていく。

「い、今のは狡いっ」

 一瞬しか見えないし、多分太ももの付け根しか見えなかったかもしれない。でも、それが余計俺の妄想を駆り立て。
 出たらすぐ合体したい。
 でも、髪の毛を乾かさないと嫌がられるので、それだけはきちんとしないと。
 スラーダを飲み切って、脱衣エリアへ。バスタオルで体を拭いて、タオルで髪を拭きながら部屋へ戻ると、バスローブ姿の丹恒がベッドに座っていた。

「服は、そこのデスクに畳んで置いてある」
「ありがとう。部屋の鍵は?」

 とりあえず、シャツと下着だけ身に着け近寄る。

「まだかけてない。パムに軽食と飲み物を頼んだ」
「そうなんだ。軽くつまんでから、いい?」

 髪の毛を掬い上げ、口づけながら問いかける。
 と、丹恒は俺の頭を掴み。

「ん?」

 髪に触れると、乾いていた。

「雲吟の応用で、髪を乾かした」

 どこか誇らしげに、胸を張っている。可愛い。

「お前、意外とずぼらだよな」
「こう、髪が長いとドライヤーで乾かすのも大変だ。だから、使っている」
「雲吟の術、使うのが嫌とかないんだ」
「お前には過去を知られ、俺の背負わせられた罪も知られている。もう、隠すことはない」

 と堂々としているけれど、脚を組んで太腿を擦り合わせているので色々ちょっとだけ台無しな気が。
 なんて思っていると、ノックの音。
 扉を開けると、パムがワゴンを運んできていた。
 軽食と飲み物を受け取り、しばらくは呼ばれても対応できないと告げると『ほどほどにな』と言われてしまった。ごめん、パム。
 軽く腹を満たし、喉も潤してからバスローブに手をかける。

「いつもよりすごかった……
「俺も、いつもよりお前を感じられた気がする」

 互いの体液まみれになった体を綺麗にしようと、ぐちゃぐちゃのシーツを洗濯機に入れてからシャワーを浴びて浴槽に体を沈め。
 お湯に黒髪が広がって綺麗だなって思いながら、抱きしめる。

「丹恒が嫌じゃなければ、時々この姿のお前とエッチなことしたい。いいかな」
「そうだな。まだ厭う気持ちはあるが、その……穹が喜ぶのなら、構わないと思う気持ちもある」
「そっか。というか、いつもより吸い付きがすごかったんだけど」
「知らない」

 プイっとそっぽを向く。耳の先は真っ赤だ。
 こんな綺麗な人が、俺ので喘ぐ姿に心の中でほのかな優越感が広がっていく。

「丹恒、大好き」
「俺もお前が好きだ」

 想いを伝えあい、キスをする。