フレーメンちう
2025-01-26 11:48:03
1232文字
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チャイナタウン『ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画』

チャイナタウンのお題をお借りしました!(+10分)ヨダナPと音声ビマがチャイナタウンをふらふらしている話です。

 紙袋から取り出した大きな中華まんに目を輝かせるビーマは、嬉しそうに齧り付く。
 仕事中に着ているつなぎのイメージが強かったが、今日はジーンズと薄手のダウンジャケットを身につけていた。ビーマなりの精一杯のお洒落なのかと思うと微笑ましい。

 だが、それよりもビーマの態度が気に食わない。わし様が誘って、仕事の手伝いをさせてやろうと呼び出して出かけているというのに、ビーマの奴は食い物にしか見ていない。普段立ち寄る事が無い中華街をうろつけば、新しい案でも思い付くかと思ったのだが。いや、決してビーマの奴が「ほろほろに煮込んだ角煮を挟んだ割包を食ってみたい」とか言っていたのを聞いたからでない。決して。

 口の端に付いた肉汁をペロリと舐め取るビーマの姿に呆れながら、ドゥリーヨダナはビーマをじとりと睨む。
「貴様、わし様の仕事を手伝うつもりがあるのか?」
「あ? お前がついて来いって言っただけだろうが。それに、俺がお前の仕事の何を手伝えってんだ?」
 囓った中華まんの断面からふわりと湯気が立ち上り、冷めないうちにとビーマはもう一口頬張る。ドゥリーヨダナの仕事はビーマの仕事と性質が違う。企画と技術。ビーマがドゥリーヨダナの仕事を手伝えるとは到底思えない。
「わし様が言った意味をそのまま受け取るな! 仕事の下見に来ているのだから、お前も何か案を出せ!」
「何だ、企画のスランプか? 俺にネタを出させた所で、食い歩き企画しか出せないぜ?」
「そんな使い擦られ過ぎたチープな企画など使えるか! ……いや、芸人を使った喧しい食い歩きは論外だが、静かな旅番組に食い気を混ぜた企画ならばアリだろうな……この手の趣向も国営放送局で擦られ過ぎてはいるが、企画を詰めていけば……
 普段の煩いドゥリーヨダナは影を潜め、誰かに聞かせる訳でもなく呟いている。普段でであれば企画案を他人に聞かせる事などない。だが、無意識に口に出しているという事は、相当追い詰められているのだろうか。
 ビーマは小さな溜息をひとつ吐くと、紙袋から中華まんを取り出した。未だに小さく動くドゥリーヨダナの口へ、中華まんを押し付ける。
「んむ?!」
「ネタが思い浮かんだら、さっさと手帳にでもメモしておけ。食いながら色々と見て回れば、他のネタも思い付くだろう。それとも、俺と一緒に歩くのは飽きたか?」
 ほんの少しだけ悲しそうな表情を浮かべてドゥリーヨダナの顔を覗き込めば、ドゥリーヨダナの頬に赤みが差す。
「あ、飽きるとかないわ! 今日はあくまでも仕事の下見だからな?!」
 ビーマから中華まんを奪い取ったドゥリーヨダナは、表情を隠すように中華まんを口いっぱいに頬張った。
 あの様な表情を向けてくるなど、卑怯にも程がある。
 慣れない照れ隠しの為に必死に食べるドゥリーヨダナの横顔。普段は上品な仕草が滲むのに、今は焦りと照れしか無い仕事中には見せないドゥリーヨダナの仕草に、ビーマは頬を緩ませた。