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三毛田
2025-01-25 23:08:57
1085文字
Public
1000字2
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83 083. 愛を囁く駒鳥
83日目
愛を囁く俺は、コマドリ
まるで馬の嘶き。だけど、この星にその馬は居ないはず。ならばと探すと、小鳥。
写真に収めて、列車に戻ってから丹恒に見せる。
「馬の嘶きみたいなのが聞こえたと思ったら、こんな鳥が居たんだ。丹恒、知ってる?」
今日は資料室に居た彼は、俺が差し出したスマホを受け取ると、アーカイブの端末を起動して。
「この鳥だろう。時期的に繁殖期なのかもしれないな」
「えーと? 繁殖期に、美しい声で鳴く。それが馬の嘶きのように聞こえると。へ〜」
勉強になった。
「なあ、丹恒」
「どうした。まだわからないことがあるのか」
「この鳥みたいに、お前に愛を囁いたら、お前はどうする?」
一瞬、時間が止まったように感じられた。
「俺は
……
」
丹恒は何かを告げようとして、すぐに口を閉じてしまい。
でも、ほんの微かに表情が変わっているようにも見え。
「お前の好意に応えられるほど、出来た人間じゃない」
「そんなの関係ない」
きっぱり言い切ると、困ったような表情を浮かべ。
「穹」
そして、咎めるような声色で俺を呼ぶ。
「好きだ」
丹恒の手を取って、しっかり目を見つめ思いを告げ。
手を引っ込めようとするけれど、俺が掴んでいる力の方が強いから逃げられない。
それを悟り、力を抜いて。
「なんで、俺が好きなんだ」
「誰かを好きになることに、理由なんかいらない。俺だって、理由がわからないんだ」
「なら」
「それでも、この思いは本物だ。それだけは、胸を張って言える」
「
……
」
「丹恒」
「そんな顔をするな」
「そんな顔って、どんな顔だよ」
自分の顔なんて、見えないんだ。そう言われたって、こっちが困る。
「今にも泣きそうだ」
「そうさせてるのは、丹恒だ」
「わかっている。でも、俺はお前の気持ちに応えられない」
頑なだ。
その理由を知ったのは、羅浮の問題を解決してから。
「丹恒、好きだ」
「穹、だから」
「あの姿も、お前だ。それもひっくるめて、好きなんだ」
彼の手を取り、そっと握り。
黒髪が揺れ、動揺が見て取れ。
「好き」
唇が開閉して、それから諦めたような表情。
「降参だ。俺の負けだから、好きにしろ」
「じゃあ、抱きしめる。いいよな?」
「ああ」
力を抜くので、抱きしめる。
首元に顔を埋めて、深呼吸。
海の匂いがした。
「好き」
「お前は変わっているな」
「変わってるって思ってていいよ。それが、俺だから」
「そうか」
「うん」
抱きしめ合っていても、彼は決して好意は口にしない。
ますます好きだという気持ちが募っていって。
ずっと愛を囁く。
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