ぽふむん
2025-01-25 22:13:00
2547文字
Public ワンドロ
 

二形

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
しの童風味の氷柱if
「面影」をお借りしました。
書きかけでとまっていたちまどま期のお話のアレンジだったりします(そちらは、そのまま鬼になりますので)
朝チュンから始まりますし、童磨のことをしのぶちゃん思いっきり「色小姓」呼ばわりしてます

明けの鴉の鳴き声が騒がしい。
なんだろう。
身体が重い。
そしていい匂いがする。

むわっ

この表現が正しいのだろうか?
乳香とジャスミンだろうか、それとも金木犀?

いや、これは男の体臭だ。

しのぶは薄く目を開いた。

(なんだろう)

視界に入ったのは、月見硝子から差し込む陽の光に輝く白橡の……

(!!!!)

事態を理解し、飛び起きそうになったが、それは出来ない。
太い腕。大柄で引き締まった、むっちりした筋肉に抑え込まれているから。

何故?


しのぶの脳裏に記憶が蘇ってきた。

これは

そうだ。
この男を強姦したんだ。

そりゃあ、この体格差だからリベンジはされた。
だが、あんなことやこんなこと。
あれだけして散々煽って、童磨の鎮静剤でも打ったかのような雄の部分を覚醒させてしまったんだ。


(……ちゃんと身体拭いてくれてあるし……そういや、私おもらししてしまって布団を……
布団まで交換してある)

潮を噴いて汚してしまった布団が部屋の隅に丸めてある。

(お酒の勢いとは言え……めっちゃ気まずい……逃げま)

何とかその腕から逃れようとしたその時

「おはよぉ……しのぶちゃん♡」

微かに腕に力が入り、普段より掠れた甘い声がした。

「捕まえた♡この、淫魔……ふふふ」

しのぶは、赤くなり童磨の胸に顔を埋めた。




あれは昨夜のことだった。
数名の隊士を引き連れ任務地から帰営する途中で日が暮れてきた。
童磨の寺で休ませてもらおう。
そう思い、寺院へ向かっている道中、二つ並んだ墓らしきものの前に佇む一人の男がいた。
童磨だ。

寺院の本堂からはやや離れた、鬱蒼とした山中。

何をしているのだろう。
それ以前に、こんな山の中にひっそりと建てられた墓は、公には出来ない仏を埋葬したのだろう。
ただし、貧しい者の墓では無いと見える。
小さいものだが、使われている石は上等な御影石だから。

その墓と背中合わせの墓には、金網がかかっている。
まるで罪人。

じゃり

足元の石を踏み鳴らしてしまい、その音に気づいた童磨が振り返った。

「あれ?しのぶちゃん達何してるんだい」
「一晩宿をお借りしたくて……そんなことより、あなたこそ何を」

「ろくさんが、祥月命日だから行ってこいってうるさいから。
墓参りと言っても何したらいいんだろ……ねぇ?困っちゃってねぇ。もうこんな時間か。やだなぁ。ははは」

朗らかに笑うものだから呆れた。
本当に途方に暮れていたのだ。

「あなた宗教家のくせにそんなことも知らないんですか?」

明らかに馬鹿にしたのに、童磨は大真面目に腕組みして首を傾げた。

「一般的な所作は知っているさでも、普通親の墓参りとなれば何か思ってあげるものなんだよねぇ」

本人が語らないが、噂では聞いていた。
これが心中したという両親の……
しのぶは固唾を飲んだ。

「お………在りし日の面影を偲んで手を合わせるとかでいいんじゃないですか?」
それよりも

「小さいながら立派な御影石。戒名もお見事。お父様のお墓ですね……こちらは」
並んだ金網の中の墓は、御影石の墓と背中合わせで拵えられている。
御影石の墓とは比べ物にならない粗末な土まんじゅうに、その辺の石を置いただけに見える。
申し訳程度に、急場しのぎで埋葬されたようだ。

「ん~?ああ、これ。母親」

ケロッと童磨は応えてくれた。
それ以上は、聞かずとも察しが付いた。
死してもなお……元教主殺しの大罪人ということなんだろう。
だが、その後に聞き捨てならないことを童磨はさらりと言った。

「『男』の嫉妬って怖いねえ。
本当は別の場所に捨てられたんだ。そしたら、あの人の隣が良いと化けて出たという者が続出してね……
ははは、お化け、怨霊なんているものか。馬鹿馬鹿しい」

呵呵大笑しているが

(男……って何を言って??)
「あなたのお母様ですよね?」
「うん、そうだよ。俺の戸籍上の母親と名乗る男。
羅切(去勢)したから女??父親に愛されたくて一番の人になりたくて」
切ったと言う。
童磨の育ての父は、男色家ではなかったから。
童磨の母は、ただの傍仕えの稚児に過ぎなかったと言う。
妻には決してなれない者。
それでも……元教主のことを愛しすぎてしまったから。
女になろうと切った。
養い子の養育にも精を出した。
にも関わらず「母親」とはみなされることも無く、むしろ皆の笑いもの。
ついには発狂し……養い子の目の前で惨劇を繰り広げた。
元々女色を禁ずる宗派の僧のくせに。
女に溺れた生臭坊主と罵りながら。
人の男同士に、生物学的子どもが授かるわけは無い。
では、しのぶの目の前にいるこの男は……

「あなたの本当のご両親は……
「知らなぁい。生まれて直ぐにこの寺に捨てるように預けられたらしいから。アハハハハ、良くあることでしょ 」
ケラケラケラケラ、実に楽しそうに話してくれた

身分あるものの隠し子等が、世間の目を憚り預けられることがあるという噂は聞いていたが……そういうことか。



寺に戻ってからも、この話題は続いた。

本当にちっとも気にしていないのだろう。
いや、相手がしのぶだから平気なのだろうか。
決して美味い酒の肴ではないようなことを、他にも人耳があるのに楽しそうに話してくれる。
間の悪い時に来てしまったとは言え、これは飲まずにはおれなかった。
急ピッチで飲みすぎて、童磨の失言に煽られた
「男女より、男色の痴情のもつれの方が怖いとはよく言ったもの……
もしかして、しのぶちゃんも珍種の男かもねぇ?」
童磨の軽口に過ぎない。
冗談のつもりだったのだろうが

今宵の酒は悪酔いしやすいものだったようだ。

「な・ん・だ・とぉ!そこへなおれい。この私の専属色小姓。
今からお前を犯す」

しのぶはすっくと立ち上がり、童磨の着物をひん剥いた。

「へ?は??きゃ〜♡布団連れてくから思う存分どうぞ」
童磨はあんあんよがりながら、しのぶに思う存分胸を揉ませ、吸わせながらしのぶを寝所に運び

その一部始終は見られていたことは言うまでもない。