まきわ
2025-01-25 15:12:03
5096文字
Public クロリン
 

魅惑のもふもふ

けもクロリンなのでなんの理由もなくクロリンにけもみみしっぽがあります注意
あと今回は全けも化してますので注意
起承転結などは無いです
先輩はタスレムでお仕事、たまに帰ってきてる創後設定です

「帰ったぜ~
連絡があってから今か今かとクロウの帰りを待っていたリィンはその声を聞くなりソファから立ち上がって玄関へと駆けた。
跳ねるような足取りに合わせて長い尻尾が弧を描いて流れる。
尻尾でバランスを取ることでリビングから出て玄関へ曲がる角も最速で駆け抜けることができるのだ。
「クロウっ!……えっ」
玄関が視界に入って、そこに立つクロウの姿を見て目が輝かせた次の瞬間リィンは思わずぴたっと足を止めて驚きの表情でクロウを見た。
「どどうしたんだクロウ?!」
そこにいるのは間違いなくクロウだ。
何があっても見間違えることはない。
けれどいつもと違って顔も首も、シャツから覗く胸元も、コートの袖口から伸びた腕も全てが灰銀の毛並みで覆われていた。
獣人ではあるものの耳と尻尾がある程度であるのが一般的だが、今のクロウは完全に二足で歩く狼だった。
「いやーやっちまったぜ
「やっちまったって
クロウの言葉を繰り返したリィンの頭にふっと昔本で読んだある知識が蘇った。
獣人達は強いストレスに晒されて強く苛立つと完全にケモノ化する、というものだ。
そもそも皆子供の頃はより獣に近い姿をしており、成長するにつれて毛がなくなり、耳と尻尾だけが残る。
だがケモノの因子は体の中に残っていて、強い感情の元に晒されるとそれが表に出てくるのだろう、という内容だった。
クロウがここに帰ってくるまでに獣化するほどの強いストレスに晒されたのだと察してリィンは眉を下げた。
「クロウ一体何が
「いやーなんつーか参ったぜ、飛空艇の中でも列車の中でも白い目で見られるしよ」
「そんな
リィンは慰めるようにクロウの顔に両手を伸ばして触れた。
「かわいそうに辛かったんだよな。こんなこんなにもふ
普段なら滑らかな肌にあたるはずのクロウの頬に伸ばしたリィンの両手が灰銀の毛並みに沈む。
首回りは急所を守るように特にふわふわと心地よく、リィンは思わずそれを堪能するようにもふもふとクロウの首元を両手で何度も押さえた。
こら、楽しむのか慰めんのかどっちかにしろよ」
「わっ、す、すまない!クロウは辛い目にあったのに、つい!気持ちよくて!」
慌てて毛並みを楽しんでいた両手を離すとクロウはため息をつきつつ首を振った。
「いや別に可哀想っつーか、こんなことになってなさけねぇっつーか
「情けないことなんてないだろう」
「いやー子供っぽいっつーかなんつーか
何か言いづらそうに歯切れの悪いクロウに首を傾げる。
とはいえ、クロウはこれまでの生い立ちからどうも人に弱いところを見せるのが苦手なようだった。
「その、別に無理に聞こうとは思わないからな。でもせめてゆっくり休んでくれ」
「あーいや、そういう類のもんでもねぇんだけどな単に恥ずかしいっつーか
もごもごと言い淀みながらクロウはコートを脱ぎ始めた。
手は完全に狼の前足というわけではなく、人の手の形は保ったまま毛を纏って手のひらの弾力が増し、少し大振りになって鋭い爪がやや伸びている。
だからクロウはコートに爪を引っ掛けないよう、慎重にコートから腕を抜いた。
なんとなく扱いづらそうだったのでリィンはそのコートを受け取って代わりにコート掛けに掛けてやった。
少し身軽になったクロウは自分の体を見回してもう一度ため息をついた。
そして観念したように口を開く。
「今回の仕事が終わったら帰るっつったろ」
「うん、聞いた」
「んでだ、ラストの仕事をしてたわけなんだがな。依頼人がもう仕事完了って時になって追加で頼み事してきやがってな一本乗れる飛空艇が遅れるって思ってイラっとした瞬間この有様でよ
「え
気まずそうに首元を掻きながら告げられた言葉にリィンは思わず目を瞠った。
するとクロウはその反応を別の意味に取ったのか慌てて取り繕うように手を振った。
「いや!そこまでもな、結構その場その場で面倒な追加依頼をしてくるような依頼人だったんだよ。仕事だし終わったらお前に逢えるって思って耐えてたんだが、お前に逢えんのが遅くなるって思った瞬間爆発しちまったっつーか
言い訳のような言葉を聞きながらもリィンはどんどん自分の顔が緩んでいくのを抑えられなかった。
全て言い終わる頃には口元は思い切り笑みの形に広がり、耳も尻尾の先端も嬉しそうにぴくぴくと動いていた。
「そうか、そんなに俺に逢えるの楽しみにしてくれてたんだな」
そりゃお前に逢えるのはいつだって楽しみに決まってんだろ」
甘さを乗せた声でそう言われてリィンは嬉しそうにクロウの首に腕を回して抱きついた。
優しく抱き返されるといつもと違ってふわふわもふもふした感触が服越しに伝わってくる。
甘えるようにぎゅっとリィンを抱き締めるとクロウは大きくため息をついた。
「それにしても参ったぜ。獣化すると苛立ちのまま暴れるヤツとかもいるらしくてよ。飛空艇でも列車でも距離置かれたり、なんなら隔離されたりしてよ恥ずかしいったらねぇぜ」
「ふふっそうか、大変だったな。お疲れクロウ」
拗ねているような声音がなんだか可愛く思えてリィンは宥めるように顔を毛並みに擦り寄せた。
「ん香水つけたのか?体毛からもクロウの香りがする
「ぶふっお前なかなかオツな誘い文句覚えたじゃねーか
「別に誘い文句じゃないから」
「でもさすがにつけてねーぞ。服からしてんじゃねぇのか?」
「そうか?」
リィンは改めてクロウの胸元に顔を埋めて鼻をひくつかせ、それからシャツの裾に手を差し入れてそのままぐいっと押し上げ、直接毛を纏った胸板に顔を寄せた。
「うおっマジで熱烈だな?」
クロウはどこか嬉しそうに尻尾を一振りするといつもやや感触の違う長い舌でリィンの耳を頭に押し付けるように舐めた。
自分が大胆な事をしているのに気付いてリィンは
耳をぴぃんと立てた後慌てて一歩下がった。
「わっ、いやごめん違う!なんだかその姿だといつもより抵抗がなくなるっていうか。と、とにかく長旅で疲れてるだろうし少し休んでくれ」
「ちぇ」
お誘いではないとわかってわざとらしく拗ねた素振りをするクロウを宥めて二人はリビングへと移動した。

「しっかしいつ戻んのかねこれ」
ソファに腰を下ろして息をついたクロウは後に続いてリビングに入ってきたリィンが目を輝かせてクロウを見ていることに気付いた。
……ほれ、来ていいぞ」
両腕を広げて招いてやると、リィンはぱっと顔を輝かせた後躊躇いなくクロウの膝の上に向かい合わせで座った。
そのまま抱きつくと嬉しそうにクロウの毛並みに頭を擦り付けてくる。
(本物の犬かなんかとごっちゃになってんじゃねーのか
そうは思ってもリィンが嬉しそうなのはクロウにとっても良い事だった。
触りたいように任せているとリィンは次第に匂いをつける時のように体全体を擦り付けるようにしてきた。
(ぐ、さすがに久しぶりなとこにこれは!)
その上なんだか胸元からは悩ましげな艶のあるため息すら聞こえてくる気がする。
願望による幻聴かもしれないが。
クロウはむらむらと湧き上がってきた情欲に任せて舌を伸ばしてリィンの首筋を舐め上げた。
「んん
色のある声をあげるとリィンはそれに応えるようにグルーミングするように愛おしげにクロウの肩口に舌を這わせてきた。
リィンは熱に浮かされたようにとろんとした顔つきでクロウの胸元から、そして頭の方までグルーミングを続けていく。
その感触に浸り切ろうとしていたクロウはハっと我に返って慌ててリィンを引き離した。
「ん、なんで
「いやダメだろ!ヒトの状態で毛を飲み込んだら吐き出せねーだろ。毛繕いはだめだっての。つーかなんかお前変じゃねぇか?」
前にマタタビでおかしくなったことがあったが、その時になんだか似ている。
指摘されてリィンも額を抑えるようにしながら首を傾げた。
「そういえばなんだか頭がぼーっとしてた
「なんかで読んだことあるな。獣化してる間はフェロモンが強めに出るからツガイは注意、みてーなそれか?」
「そうかもしれない
自覚したからかリィンの瞳には少し理性が戻ったようだが、それでもやけにきらきらした目でクロウの毛並みを見つめている。
「こりゃだめだな。とりあえず戻るまでは少し距離置いて
「なんでダメなんだ?」
「へっ?」
クロウの言葉を遮り、リィンはずいっと身を乗り出した。
押されるようにクロウは上半身を背もたれに押し付けた。
「ダメな理由、あるか?」
「そりゃ
言われてみれば、クロウとリィンは恋人同士だ。
発情したところでその先の行為に及んではいけない理由はどこにもない。
クロウの理性が飛んで乱暴にしてしまうというのであれば避けた方がいいのかもしれないが、理性を失いかけているのは獣化していないリィンの方だ。
激しく求められる分には何も構うところがない、というか嬉しい。
「ねぇな
「ならいいじゃないか」
許しを得て嬉しそうにリィンはまたぽふりとクロウの胸板に顔を乗せた。
「外では良くないかもしれないが、二人なら構わないだろう?」
言いながらリィンは頬を擦り寄せ、舌を伸ばして毛並みを舐める。
正直ヒトの舌では毛が湿るだけではあるのだが。
「というかむしろ外に出ちゃ駄目だ。こんな状態で外に出すわけにはいかない。皆をおかしくさせてしまう」
「ええそりゃお前がオレのツガイだからだろ」
擦り寄るリィンの頭とぱたぱたと動く耳を撫でながら返すとリィンは顔を上げてどこか熱の籠った強い瞳でクロウを真っすぐ見つめた。
「いや、そんなことない。きっと今のクロウを見たら皆変な気分になってしまうに決まってる」
「んなこと言っても飛空艇でも列車でも怯えられはしたが艶のある目で見てきたヤツなんざいなかったぞ?」
「それはクロウが気付いてないだけだ!自分のことには疎いんだから他の人がクロウを見てこんな気持ちになるなんてダメだ。絶対にダメだ」
「お、おい?」
リィンの声に次第に異様な力と熱がこもっていく。
目もなんだかぐるぐると浮かされたような混沌じみた色合いに変わり両手がぎゅうっとクロウの胸の毛を掴む。
「だから誰にも見せるわけにはいかない!絶対に、外には出させないから!!」
最高潮にリィンの熱が高まったように思えたその瞬間、ぼふっという妙な音と共にリィンの姿が変わった。
黒い斑点のある黄味がかった白い体毛に全身を覆われたユキヒョウの獣の姿に。
「ああれ?」
「お前もかよ!?」
リィンは戸惑ったように自分の体を見下ろしている。
どうやらクロウのフェロモンに当てられて一時的に強く興奮した結果獣化したようだ。
「ストレスを感じたってわけじゃないけどやっぱりツガイは影響を受けやすいのかな
リィンは興味深そうに自分の体を見回して、腕の毛並みをぺろぺろと毛繕いしてみている。
クロウは脱力したように肩を落とした後、気を取り直して口元を緩ませるとリィンの頬の毛並みを撫でた。
「これで揃って外に出るわけにはいかなくなったな~♪」
「そ、そうだな何があったか説明できないしというか
リィンはややきょとんとした顔で自分の頬の毛並みを舐めるクロウを見返した。
「ん?」
「なんだか自分も獣化したら落ち着いてしまった。さっきまでの変な興奮がすとんとなくなったみたいだ」
「はぁ!?」
ここまで煽ってむらむらさせておいて、本人はなんだかすっきりしたような無垢な顔をしている。
クロウは拳を握って肩を震わせた後、リィンを肩に担ぎ上げて立ち上がった。
「うわぁ!?」
リィンは反射的に動いてテーブルを打った尻尾を慌てて押さえてからクロウにしがみついた。
「ちょ、何するんだ!」
「今更落ち着きましたは聞かねぇからな!がっつり盛ってやるから覚悟しろ」
ぶおんぶおんと興奮を表すように激しく振られる尻尾の動きを無意識に目で追いながらリィンはぽんぽんとクロウの背中を叩いた。
「わ、わかった、わかったから、それは嫌じゃないから下ろしてくれクロウ!自分で歩ける!」
抗議には構わず問答無用で寝室へリィンを抱えていったクロウは宣言通り盛り上がったモノをそのままリィンにぶつけた。
そしてそれから数時間後、どちらも獣化していたせいでベッドが毛だらけになり二人で頭を抱えることになるのだった