けがわ。
2025-01-23 12:25:53
2693文字
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吸血鬼になってから勃起しなくなっちゃった孤児くんを慰める吸血鬼さんのお話

バイヴァン/ユキモモ

タイトルの通りの内容です。
全年齢ですが、多少いかがわしいです。

「モモ、そんな端に立ってどうしたの? こっちへおいで」
「ぅ、うん……
 中々ベッドに入ろうとしないモモを手招くと、ゆっくりとした足取りで僕の側までやってくるから、その手を引いてベッドに引き込んだ。
「わっ!」
 ぼすんと音を立ててうつ伏せでベッドに沈み込んだモモは、半分だけ顔を覗かせると、じっと僕を見つめてくる。
「どうしたの? 今日は元気ないね? その体にもだいぶ馴染んできたと思ったんだけど……まだ、慣れない?」
 モモはひと月前、吸血鬼になった。いや、違うな。僕が吸血鬼にしてしまった。僕は、自分のしたことを後悔はしていないけれど、それでもモモに対しての後ろめたさはあるんだ。モモは「ありがとう」と言ってくれたけど、僕は自分を許したわけじゃない。
「んー、わかんない……。ねぇ、ユキ……
「うん?」
「僕のこと抱きたいって思う?」
 唐突にそんな事を言うモモに少し驚きはしたものの、僕とモモの関係を考えれば不思議なことではない。
 僕たちはモモが人間だった頃から好き合っていて、その時からモモの柔らかな肢体を幾度か抱いた。だけど、モモが吸血鬼になってから体力が保たなくなって、頻繁に眠ってしまうことが増えたから、モモの体に吸血鬼としての血が馴染むまでは手を出すつもりはなかった。
……そうね。モモが吸血鬼の体に慣れてきたら、考えようかな?」
「そっか…………
「モモ?」
 モモはもぞもぞとゆったりとした動きで布団に潜ると、僕に背を向けた状態で体を丸めた。それから、チラチラと僕を伺うように目線を寄越してくるから、僕も添い寝する形でモモを後ろから包み込んだ。
「どうしたの?」
「あのね……ユキ……
「うん」
「僕……その、た、勃たなくなっちゃって……
……え?」
 モモから発せられた言葉を上手く処理できなくて思わず聞き返してしまった。
「〜〜〜〜っ、だから! 吸血鬼になってから、僕、勃たなくなっちゃったの!!」
 勢いに任せて大きく叫ぶと、よほど恥ずかしかったのか、頭まで布団を被ってしまった。
 そうか、勃たなく……。勃たなく? いや、でもモモは元々人間だもんな。
 僕たち吸血鬼にも心臓のポンプ機能は一応あるし、ゆっくりだけど鼓動も感じる。勿論、血液も流れている。だけど、所謂勃起というものは、性的興奮から身体中の血液が陰茎に集まって起こる現象で、心臓から送られる血液が非常にゆっくり体内を巡っている僕たちは……まぁ……そう、勃起しにくいのだ。
 僕はモモとは違い純粋な吸血鬼だから、人間の体のことはわからないけれど、少なくとも吸血鬼よりは性に敏感であることくらいはわかる。だって、僕たち吸血鬼は人間とは違い不老不死なのだから、子孫を残す必要はないんだ。だけど、人間はそうもいかないだろう。
「あの……ユキ……?」
 暫く考え込んでいると、モモが布団から頭を出して不安そうに声を掛けてくる。
「ん、あぁ、大丈夫だよ。モモは勃たなくても気持ちよくなれるじゃない」
「っもう! そういうことじゃないんだってば!!」
 怒らせてしまったみたいだ。
 僕はどうやら人間の感情の機微に疎いらしい。長く生きていると感情というものもすり減ってくるから仕方がない。とはいえ、モモと出会う前はもっと酷かったように思うから、これでもだいぶマシになった方だ。まぁ、以前の僕のことはもう忘れてしまったけれど。
「ごめん」
「ぁ、えっと、僕もごめんなさい、その……別に本気で怒ったとかじゃなくて……
 優しいモモは僕を気遣ってくれる。
 身じろいで、背中を向けていたモモは僕の方を向いてくれた。
 困ったように微笑んで、僕の頬に軽く触れる。どこまでも清廉で、優しい子。
「モモが勃たなくて不安だって言うなら、慣れていけばいいじゃない。実際に僕はモモでちゃんと勃つわけだし、吸血鬼になったからといって、性交ができなくなるわけじゃない」
「せ……っ!」
「ん?」
 明らかに恥ずかしがっているのに、人間だった頃に比べて頬は淡く色づくだけだ。また、庭先に咲く薔薇のように真っ赤に染まる君が見たい。
「モモ」
「な、なに……?」
「勃たなくなったのって、自分で触って気が付いたの?」
「っ!」
 僕がモモに質問した途端にまた勢いよく布団を頭からかぶってしまった。どうやらそこには触れないで欲しかったらしい。
 どうしたものか……
 あれ、でもそれって僕がモモを気持ちよくできればなんの問題もないんじゃないか?
……ごめんね」
 ミノムシ状態のモモには届かないであろう謝罪を口にして、思い切り布団を剥いだ。
「ふぇ!? ゅ——んッ!!」
 驚いたモモが僕の名前を呼ぼうとしていたが遮ってしまった。
 勢いよく口を塞いでしまったから互いの牙が微かにカチカチと音を立てている。
「むっん、は……んんッ!!」
「ッ、は……っん……、」
 僕の下敷きになっているモモは、涙目になりつつも一生懸命受け入れてくれるから、僕もつい手加減を忘れてしまいそうになる。
 無理やり舌をねじ込んで僕の唾液を送り込むと、モモがのどを鳴らす。そのたびに興奮して、緩やかだった鼓動も加速していく。
 この瞬間が一番、”生きている”と実感することができるんだ。
 何度も角度を変えて貪って、溢れた唾液は僕が掬い取る。
 互いの呼吸が荒くなっていけば自ずと体も反応を示すだろう。僕がそうであるように。モモだって、僕で興奮するんじゃないのか?
「ん、ふ……っ、ん……っぷぁ……♡」
「は……っ、」
「はぁ……っはぁ……、」
 口を離してあげれば、胸を上下させて必死に呼吸を整えている。熟れた皮膚は鮮やかな赤に染まり、ルビーの瞳は蜜のようにどろりと解ける。
 こんなにも無垢で可愛らしい子を、僕はつくりかえてしまった。だからこそ、僕はありったけの愛情をこの子に注ぐんだ。
 震える指先から力が抜けて、僕の服を握りしめていた手がシーツに落ちていく。それを追いかけるように繋ぎとめて赤く染まった耳の淵を柔く噛んだ。
 プツリと牙が耳に食い込むと、微かに舌の上に鉄の味が広がって、ペロリと舌で拭いとる。
「ぁ……っ♡ ゅき……♡」
 小さな刺激にすら反応して感じ入った甘い声を漏らす。そんなモモの足の間に割り入っていた太ももを、服の上からぐりぐりと押すように刺激すれば、確かに硬度を増したものが当たるのを感じた。途端に口角が上がり、モモの耳朶を舐めて吐息を絡めた声音で低く囁く。

 ——なんだ、ちゃんと勃つじゃない。