かいえ
2025-01-23 00:18:02
3299文字
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【蘭武】愛しのヒヨコちゃん 下【R-18】

某ゲームにおける蘭君の「ヒヨコちゃん」発言で、気が狂って書いたお話
パロで武道がアイドルしていて、蘭君は一般人です
成人向けなのでR-18以下の方は読まないで下さい
蘭視点
3,292文字

 花垣は俯いたままずっと無言で歩いている。
 急いているのか、いつもより歩く速度が早い。
 武道は人気絶頂のアイドルで多忙だったから、こんな昼間に時間が空く事は珍しかった。所属事務所によって、朝から晩まで馬鹿みたいにスケジュールを入れられているからだ。
 そういう訳で、最近はお互いの顔を見て話すこともままならず、声が聞ける日もあったりなかったりという感じだ。武道の移動時間にメッセージを送り合ったとしても、途中で突然返信が止まることがある。そんな時は、武道が大抵寝落ちしていて、翌朝謝りのメッセージが届く。けれども、その時間帯のオレは寝ているから、そのメッセージを読むのは正午過ぎになって、返信したところで武道からのメッセージは収録中とか打ち合わせのせいで、また数時間後になったりした。
 俺だったら、絶対ごめんだと思う仕事量で、自由時間がほぼない生活を武道はしていた。それなのに、TV画面の向こうにいる武道は、疲れた顔を一つ見せず、ずっと元気全開で、愛想良く周囲に笑顔を振りまいているのだから、半ば呆れながらも感心していた。
 そうして今、武道はスケジュールの合間をぬってオレに会いに来ていた。
 腹が空いているだろうから、美味しいものでも食べさせてやろうかと思ったのに機嫌を損ねたのか、俺の家に行きたいという。腹が減っていないのか、二人っきりにならないと出来ない事がしたいのか、その答えは玄関を入ってすぐの場所で分かった。
 先に入った花垣はオレの方へ振り返ると、爪先立ってオレの首に両手を回し、性急に唇を押し付けてきたからだ。
 ちゅっちゅっと啄むようなバードキスの合間に「蘭君」と甘い声を出し、必死にオレを誘う花垣はすげぇ健気で、これ以上なくぞくぞくさせられた。アイドルが恥も自尊心も捨てて、オレを求めてくるのは堪らないものがある。待ち合わせのカフェの前で目が合った時の、嫉妬にまみれた武道の瞳を思い出して、思わず零れた笑みを噛み殺す。見知らぬ女たちと少し話しただけで、武道は嫉妬したのだ。あの時と同様の優越感に浸りながら「オレは逃げねーよ」と笑えば、武道は「だって蘭君モテるんだもん」と、拗ねた声を出す。何万人の女と浮気している奴に言われたくないと思ったけれど、ヤキモチをやく花垣はカワイイから許した。
 男にしては細い腰に腕を回して引き寄せてやると、触れた唇の隙間から吐息が漏れる。薄く開いた唇の隙間にそっと舌を差し入れ、歯列をなぞると花垣はくぐもった声を上げた。そのまま舌の表面を撫で上げながら絡ませて吸い上げれば「んっんっ」と、花垣は切なげな声を出した。キスしかしていないのに、膝から下はがくがくしていて、オレの支えがなければ床に座り込むに違いない。そんなに時間が無いというのに、玄関先で抱き合っているのもなんだから、キスしたまま花垣を抱き上げてベッドルームに連れ込んだ。勢いよくベッドに縺れ込んで、夢中になってお互いの唇をより深く貪る。唾液を交換するようなキスは数週間ぶりで、甘くて切なく、愛おしい気持ちにさせられた。
 この時期は正月用の収録が多く、普段より圧倒的に仕事量が多くなっていた。こんな風に抱き合ってしまえば、花垣だけじゃなくて、オレもがっつきたくなる。服を脱がし合いながら、上から下にとお互いの位置が変わり、オレの腹の上を跨いでいる花垣が、物欲しそうに見下ろしている。
「欲しかったら、自分で挿れてみろ」
 意地が悪いオレの言葉に、上気した顔を更に赤らめながらも、花垣は自ら下着を脱ぎ捨てオレのズボンにも手をかけた。そっと腰を浮かせてやると、足首まで引っ張るように脱がしていく。暖房を入れていないベッドルームの、ひんやりとした空気に晒された屹立したそれに、花垣はごくりと息をのんだ。花垣が四つん這いになって重なってきて、何とか自身で挿入しようと試み始めた。必死で腰を落とそうとしている武道の様子は、オレの加虐心を煽るのに十分な姿だった。
 普段のファンに向けられる陽気な笑顔はなく、眉間に皺を寄せた情欲にまみれた切ない表情は、清純なアイドルに不似合いでゾクゾクしてしまう。さすがに、何も塗らずに入るわけがないと思っていたのに、先端にぬるりとした感触を感じて、花垣が穴の準備をしてからオレに会いに来たのだと知って、思わず目を見開く。
「蘭君
 湧き上がる色香に、不意打ちを食らった。
 無意識に花垣の腰を両手で掴むと、オレは思いっきり落して奥まで突き入れていた。
「はあっ!」
 いきなりの挿入に苦しそうな声を出したが、濡れた内壁は滑らかで、きつくはあったが最奥まで難なく入ってしまった。
 温かい胎内に締め付けられて、最高に気持ちがイイ。
「ほら、動けよ。これが欲しかったんだろ?」
 花垣がオレとする為に、テレビ局のトイレで穴の準備をしてきたのかと思うと、昂ぶりが止められなかった。それは花垣も同じようで潤んだ瞳でオレを見下ろしながら「あらんくんすきすき」とオレの下腹に両手を着いて腰を揺らしている。イケそうもないヘタクソ過ぎる動きなのに、視覚だけでイキそうになる。ゆらゆらと自分の上で揺れる金髪は柔らかいくせ毛で、触ると手のひらに優しく馴染む。一緒に歩いている時も、いつもひょこひょこと動いていたから、いつもヒヨコみたいだと思っていた。
「おれいがいみないで
 懇願するように言われて、オマエはどうなのだと問い返したくなる。オレに好きだと言い、自分以外見るなと強請りながら、オマエは何万にという女に笑顔と愛敬を振りまいているくせにと。
 花垣が別の奴と話すだけでも相手を殺したくなる。笑いかけるのはオレだけにしろよと、何度喉元から出そうになったか分からない。花垣と付き合うまで、自分がこんなに独占欲の強い男だとは知らなかった。
 それなのに、花垣はアイドルなんかしているのだ。自分以外のファンに見せる全ての表情に腹が立って、何度も別れようと思ってた。けれども、他の奴に渡すのはもっと癪だと思ってしまう自分がいた。どうにも怒りが治まらず、たまの逢瀬に意地悪をしてしまう自覚はあった。
 だから、いつも限界ギリギリまでよがらせて、泣くまで止めなかった。そういう訳で、花垣は何度もイッてオレのベッドで泥のように眠っている。
 瞼を閉じた武道は、先ほどまでの色香はまるで無いどころかひどく幼く見えて、庇護欲が湧いてくる。そして、この時間だけは、この年下のアイドルはオレだけのものだった。
 こめかみにそっと口づける。
 細い白い首筋が薄闇に浮かんで、見えるところに所有印を刻めたらと思わなくもない。そこは我慢して、足の付け根近くの太もも内側に赤い花を散らしたのは、花垣も他の誰も見られない自分だけが見える場所にわざと付けて留飲を下げた。
 サイドテーブルに置いてあったバターキャラメルミルフィーユフラペチーノが目に入った。 この新作を花垣と一緒に飲もうと思っていたのに、会える日を待っていたら発売日からすごく日にちが経過してしまった。このカフェの新作は販売期間中でも売り切れる場合があるから、今回は飲めないかもしれないと思っていた。
 一口口に含むと、バターキャラメルミルフィーユフラペチーノはすっかり溶けてしまっていて、緩くなった甘さだけが口の中に広がって美味しくなかった。けれども、後味は最初にしたキスの味で、武道からの性急なキスを思い出して、オレの口角は自然と上がる。
 横で寝ている花垣は起きる気配もなく、眠りこけている。そんな風に眠っていられる残り時間はあとわずかだが、数十分でも寝かしてやろうと、ベッドから出て花垣の服を拾って歩いた。ひとまとめにして、一人掛けのソファの肘かけに置いてやる。それから、自分の香水を吹きかける。
 きっと、敏感なマイキー辺りが香水の匂いに気が付き「灰谷臭い」と眉間に皺を寄せるだろう。オレより長い時間、花垣の横にいるやつらへの、せめてもの嫌がらせだ。
 花垣と会えなくて辛いのは、オレもなのだから。