バイトの面接にきたらアイドルになったらしい。しかも割りとガチのやつ。コンビも組んでしまうらしい。お相手は金髪のどえらい美少年。「パートナーとはこれですか?! ま、まあ見た目だけは良いようですが」生意気でも許されて生きてきたって感じだ。もしくは普通に贔屓。家族経営事務所らしいから。面接してきたどえらい美丈夫が兄貴らしい。似てねー。
「この事務所の存続はお前たちにかかっている」
しかも無駄にいい声だ。
「ふん! ぼくひとりで十分ですのに」
こちらはキャンキャンと吠える声変わりしたのかも怪しいアルト。まあ、ビジュアルとかは勝負できるって思うよ。うちのおふくろが見たら天使だって騒ぎそうな顔面してるもん。でも人気商売は愛想が大事。野球選手だってさ? バッティングだけじゃ人気は出ねえのよ。守備も上手くないと!
思考の海を漂っていると「聞いているのか?!」と覗き込まれる。あ、会話する気あったの? さっきから嫌みしか出てきてねーけど。
「コミュニケーションする気あったんだ?」
「なんだと?!」
オブラートに包もうかと思ったけどそれなりに低い沸点的に割りとおれも限界だったらしい。ぼろっと言ってしまった本音に早速ポメラニアンは噛みついてきた。
怒っても顔は可愛いな。印象はもう最悪だけど。
「なんだよ?! そもそもおまえがさあ?!」
息を吸う。トルコ行進曲なめんなよ。
「いい加減にしろ!」
「ぐっ」
一括に吸った息は吐くしかなかった。やっぱ贔屓だろ。まじで。完全にバイト先間違った感がある。
「明日から学校も同じ、クラスも同じだ。仲良くしろとは言わんが雑誌に不仲説で抜かれない程度にはしろ」
「「……」」
そう言われれば押し黙るしかなかった。しかめられたエメラルドグリーンと顔を見合わせる。なんだよ。その顔。不満なのはこっちの方なんですけど。
「「ふん!」」
深いため息は背中で聞いた。いい声だとため息の音もいいんだな。まあ、ムカつくもんはムカつくけどな!
でもまあ、仕方ない。
前金を貰ってしまっている。何なら転校に伴って学費を面倒みて貰えることになったのでその分の両親からの小遣いも。「あらまあ! 大助かり!! 頑張るのよーっこれ餞別ね!!!」機嫌のいいおふくろから渡された諭吉さんたちは新しい防具に消えた。
とかくこの世は金がかかるのだ。
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