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溶けかけ。
2025-01-20 22:12:34
898文字
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ほぼ日刊
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昏々
朝寝坊するヌヴィレットとフリーナのお話。
※恋人軸
かちこちと時を刻む仕掛け時計から鳩が飛び出し、十回鳴いた。フリーナは時計を振り返って時間を確認すると、スチームバード新聞を閉じ、飲んでいた珈琲の入ったマグカップを机の端へと追いやった。
さて、とフリーナは腕を組む。
朝食には遅く、昼食には早いこの時間でも起きてこない彼をそろそろ起こすべきなのかと考える。多忙な彼をぎりぎりまで寝かせておきたいフリーナと街に出てデートをしたいフリーナがせめぎ合う。
──眠っているヌヴィレットを起こしてはいけない。彼は普段から忙しいんだから。
──でも、折角買ったワンピースをヌヴィレットに見せたいし、腕を組んでフォンテーヌ廷を歩いたって良いじゃないか。
組んだ腕を解き、机に両肘を突いて頭を抱える。どちらもフリーナとしては真剣な問題なのだ。
「うぅ
……
」
悩みに悩んだ末に、フリーナは立ち上がると寝室へと足を運ぶ。扉を開けて、足音を極力立てないようにベッドへと腰掛けると絹のような銀の髪を掬う。
朝焼け色の瞳は固く閉じられていて、少しだけ寂しい気持ちになってしまう。
「起きてよ
……
」
囁くような声で唇を尖らせながらフリーナはヌヴィレットの頬をつつく。彼がこれくらいで起きるのなら苦労はしない。
「あんまり起きないならキスするぞ
……
! するからな
……
!」
フリーナは邪魔な髪を耳に掛けるとゆっくりとヌヴィレットの唇に己の唇を重ねる。心臓の鼓動が耳元で聞こえている気がして、顔に全身の熱が集まっていく。
「ふんっ
……
これでも起きないなん
……
って、うわぁ
……
!?」
気がつけば彼の腕の中に閉じ込められていた。
「キミ、実は起きているんだろう!?」
「
…………
」
ヌヴィレットはじたばたと暴れるフリーナの腰に腕を回したまま、寝返りをうつと幸せそうに腕の中の彼女に頬擦りをした。
「あー
……
はいはい。僕は抱き枕ってことかい」
どうやっても抜け出せない拘束に早々に白旗を上げたフリーナは諦めて動きを止める。背後に感じる体温にとろとろと目蓋が重くなっていく。
────今日は惰眠を貪ることにしよう。キミとなら、たまにはこんな日も悪くない。
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